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第69話 出会いがしらで聖女(自称)からプロポーズされた件
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◇◇
ダンジョン探索を自動化していたとはいえ、エアリスたちがまさか第99層までたどり着いていたなんて、全く考えていなかった。
かつてニックたちのパーティーにいた頃は、第1層から第50層までの道のりで約10日もかかったからな。
第53層から第99層までは比べ物にならないほど道のりは険しいわけで……。
正直言って普通に攻略すれば20日はかかるはず。
しかし俺とサンはものの半日でたどり着いた。
そのわけは……。
「ピートさん! すごいです! 私たち飛んでます!!」
そうそう。『飛翔』のスキルがあったからだ。
どんな迷宮でも飛んでしまえばあっという間に越えられる。
『飛翔』が使えないサンを抱えながらダンジョンを一直線に飛んでいったわけだ。
まっとうにダンジョン攻略に勤しんでいる冒険者に対する罪悪感はないのかって?
いや、ちょっとはあるよ。
はっきり言って反則だと思う。
でもそんなことを気にしてる場合じゃない。
今はとにかく一刻も早くエアリスたちを助けにいかなくちゃいけないからな。
「ピートさん、あそこに教会があります」
第99層はどことなく俺たち拠点のある第53層の草原のフロアと雰囲気が似ている。
青い空があって、花畑には色とりどりの花が咲き誇っている。
周りにモンスターの気配すらない。
そのど真ん中にポツンと建てられた教会。
「なんか『いかにも』って感じだよなぁ」
「ええ、私なら絶対に近づきません」
「俺もだ」
しかしエアリス、カーリー、ピピは3人とも好奇心のかたまりのようなもの。
立ち寄ったに違いない。
そして直感が正しければ教会の中のどこかで囚われている……。
「行ってみよう」
「はい」
俺たちは意を決して教会の方へ足を向けたのだった。
◇◇
「ふふ。ようこそいらっしゃいました。私は無敵の聖女ソフィ」
教会の中にいたのは青い修道服を着た若い女だった。
自分から『無敵の聖女』と名乗るあたり、ちょっとヤバめの人であることは間違いなさそうだな。
関わったらいけないオーラが漂っている。
このままクルリと反転して外に出てしまいたい。
……が、祭壇のすぐ隣にはエアリス、カーリー、ピピが光の檻で閉じ込められているのがバッチリ目に入ってるしなぁ。
「みんな大丈夫か?」
「ご主人さまぁ!!」
「ぴーとぉぉぉ!!」
「……やっぱりきてくれた。嬉しい」
3人とも無傷か。
だとしたらなぜ囚われてしまったのか……。
光の檻の周囲には全身を鎧で覆ったモンスターがたむろしているが、こいつらがやたら強かったということか?
だが俺やサンを襲うつもりはなさそうだ。
どういうことだ?
この修道服の女が使役しているのか?
「ふふ。さあ、こちらにいらしてください」
ニタァとした笑顔で手招きする自称聖女。
怪しい。怪しすぎる。
だが彼女の言う通りにしなければエアリスたちは解放されないだろう。
ならば仕方ないな。
俺はサンを連れて祭壇に足を踏み入れようとした。
が、その瞬間、甲高い声が響いた。
「あ、その女はダメですわ」
ソフィがキリっとした顔つきでサンを睨みつける。
俺は無意識のうちにサンをかばいながら言った。
「どうしてサンはダメなんだ?」
「だって彼女、モンスターでしょ?」
「ああ、でもサンは俺をいつも助けてくれる大事な仲間だ。彼女だけじゃないぞ。そこにいる3人も同じだ。彼女たちが無礼なことをしてしまったなら謝る。だから解放してくれないか」
「ふふ。もちろんこの子たちのことはお返しするつもりですわ。でもその前に私たちにはやらねばならないことがあるでしょう?」
やらねばならないこと?
意味が分からない。そもそも初対面だし。
……って、サンよ。
なぜそこで突き刺すような冷たい視線を俺に向けるんだ?
「私は今日という日を心待ちにしていたのです! さあ、早くこちらへいらして! その女を置いて!」
両手を広げながら興奮気味のソフィ。
いったい何なんだ?
微妙に話が通じていないみたいだし。
「本当にソフィさんとは顔見知りではないのですね?」
「当たり前だろ。俺の知り合いなんてごく限られているのはサンだってよく知ってるじゃんか」
「まあ、それはそうですけど……」
「とりあえず一人で行くしかなさそうだ」
俺は心配そうにしているサンを置いて、恐る恐る祭壇に上がった。
その様子を見てニコリと微笑んだソフィは、俺の手をぎゅっと握り強引に隣に立たせる。
そしてとんでもないことを言い放ったのだった。
「では結婚式を始めましょう!」
「は? いや、誰と誰が結婚するんだ?」
「ふふふ。私とあなたに決まってるじゃないですか!」
いきなり結婚って正気か!?
まだこっちは名前すら名乗ってないんだぞ!
ダンジョン探索を自動化していたとはいえ、エアリスたちがまさか第99層までたどり着いていたなんて、全く考えていなかった。
かつてニックたちのパーティーにいた頃は、第1層から第50層までの道のりで約10日もかかったからな。
第53層から第99層までは比べ物にならないほど道のりは険しいわけで……。
正直言って普通に攻略すれば20日はかかるはず。
しかし俺とサンはものの半日でたどり着いた。
そのわけは……。
「ピートさん! すごいです! 私たち飛んでます!!」
そうそう。『飛翔』のスキルがあったからだ。
どんな迷宮でも飛んでしまえばあっという間に越えられる。
『飛翔』が使えないサンを抱えながらダンジョンを一直線に飛んでいったわけだ。
まっとうにダンジョン攻略に勤しんでいる冒険者に対する罪悪感はないのかって?
いや、ちょっとはあるよ。
はっきり言って反則だと思う。
でもそんなことを気にしてる場合じゃない。
今はとにかく一刻も早くエアリスたちを助けにいかなくちゃいけないからな。
「ピートさん、あそこに教会があります」
第99層はどことなく俺たち拠点のある第53層の草原のフロアと雰囲気が似ている。
青い空があって、花畑には色とりどりの花が咲き誇っている。
周りにモンスターの気配すらない。
そのど真ん中にポツンと建てられた教会。
「なんか『いかにも』って感じだよなぁ」
「ええ、私なら絶対に近づきません」
「俺もだ」
しかしエアリス、カーリー、ピピは3人とも好奇心のかたまりのようなもの。
立ち寄ったに違いない。
そして直感が正しければ教会の中のどこかで囚われている……。
「行ってみよう」
「はい」
俺たちは意を決して教会の方へ足を向けたのだった。
◇◇
「ふふ。ようこそいらっしゃいました。私は無敵の聖女ソフィ」
教会の中にいたのは青い修道服を着た若い女だった。
自分から『無敵の聖女』と名乗るあたり、ちょっとヤバめの人であることは間違いなさそうだな。
関わったらいけないオーラが漂っている。
このままクルリと反転して外に出てしまいたい。
……が、祭壇のすぐ隣にはエアリス、カーリー、ピピが光の檻で閉じ込められているのがバッチリ目に入ってるしなぁ。
「みんな大丈夫か?」
「ご主人さまぁ!!」
「ぴーとぉぉぉ!!」
「……やっぱりきてくれた。嬉しい」
3人とも無傷か。
だとしたらなぜ囚われてしまったのか……。
光の檻の周囲には全身を鎧で覆ったモンスターがたむろしているが、こいつらがやたら強かったということか?
だが俺やサンを襲うつもりはなさそうだ。
どういうことだ?
この修道服の女が使役しているのか?
「ふふ。さあ、こちらにいらしてください」
ニタァとした笑顔で手招きする自称聖女。
怪しい。怪しすぎる。
だが彼女の言う通りにしなければエアリスたちは解放されないだろう。
ならば仕方ないな。
俺はサンを連れて祭壇に足を踏み入れようとした。
が、その瞬間、甲高い声が響いた。
「あ、その女はダメですわ」
ソフィがキリっとした顔つきでサンを睨みつける。
俺は無意識のうちにサンをかばいながら言った。
「どうしてサンはダメなんだ?」
「だって彼女、モンスターでしょ?」
「ああ、でもサンは俺をいつも助けてくれる大事な仲間だ。彼女だけじゃないぞ。そこにいる3人も同じだ。彼女たちが無礼なことをしてしまったなら謝る。だから解放してくれないか」
「ふふ。もちろんこの子たちのことはお返しするつもりですわ。でもその前に私たちにはやらねばならないことがあるでしょう?」
やらねばならないこと?
意味が分からない。そもそも初対面だし。
……って、サンよ。
なぜそこで突き刺すような冷たい視線を俺に向けるんだ?
「私は今日という日を心待ちにしていたのです! さあ、早くこちらへいらして! その女を置いて!」
両手を広げながら興奮気味のソフィ。
いったい何なんだ?
微妙に話が通じていないみたいだし。
「本当にソフィさんとは顔見知りではないのですね?」
「当たり前だろ。俺の知り合いなんてごく限られているのはサンだってよく知ってるじゃんか」
「まあ、それはそうですけど……」
「とりあえず一人で行くしかなさそうだ」
俺は心配そうにしているサンを置いて、恐る恐る祭壇に上がった。
その様子を見てニコリと微笑んだソフィは、俺の手をぎゅっと握り強引に隣に立たせる。
そしてとんでもないことを言い放ったのだった。
「では結婚式を始めましょう!」
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