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第77話 運命の人に精一杯の恩返しを
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◇◇
――ああ、愛する我がゴーレムたちよ。光を失った目では君たちの顔すら見ることがかなわない。動かぬ手では君たちを抱きしめてあげることもできない。でも哀しむことはない。いつか必ずや君たちを大切にしてくれる人間があらわれる。そう約束しよう。
私たちをこの世に生み出してくれたあの人から頂いた最初で最後の言葉。
どんな顔をしていたのかすら覚えていない。
けどちょっぴりかすれた低い声に込められた深い愛情だけは心の奥に残っている。
だから私、サンはその人の言葉を信じていた。
でも……。
――なんだ? 古《いにしえ》から伝わるモンスターボックスだって言うから期待したのに、中に入っていたのはただのゴーレムじゃねえか。あのケチ臭い道具屋め。こんな使えないものを銀貨10枚で売りつけやがって!
――おい、ゴーレム野郎。てめえは俺の奴隷なんだ。だから雨が降ろうと風が吹こうと外で突っ立て俺の家を守れ。分かったな?
――モンスターは人間よりも下等な生き物なんだよ。
人間はみんな強欲で、排他的で、自分勝手で……。
どれだけ時が流れても私たちのことを大切に想ってくれる人に出逢えなかった。
――サン。あきらめましょう。いくら創造主様も正しい未来を予測するのは不可能だったということです。
――そうだよー。誰でも間違うことだってあるしね。ドンマイだよー。
――……期待するだけ無駄。
みんなは口々にそう言って、誰からの召喚にも応じようとせず、モンスターボックスから出てこなくなってしまった。
けど、私はどうしてもあきらめきれなかったの。
だからどんな理不尽な扱いをされても、必ず召喚に応じた。
今思えばただの意地だったのかもしれない。
ううん。違う。
私はどこか確信めいたものを感じていたのだ。
ピートさん。
あなたに出逢うことを――。
――サン……。うん、君の名前は、太陽の神様と同じサンがいい!
◇◇
「ここが『究極進化への試練』ね」
第99層。
私、エアリス、カーリー、それにピピの4人は、教会の奥にある古びた扉の前までやってきた。
「ピピは入れないからおるすばーん! みんな、がんばってね!」
ピピはすでに『究極進化』しているらしいから扉の先に進むことはできない。
だからここでいったんお別れ。
建前上は「ピピはダンジョンの先導役」ってピートさんは言ってたけど、きっと違う。
彼女を危険から遠ざけるための口実だと思うの。
「じゃあ、いってみよー!」
「……どんな試練にも負けない」
前のめりのエアリスとカーリー。
着いたばかりだと言うのに、もう行く気満々みたい。
でも本当に大丈夫かしら?
どんな試練が待ってるとも知らないのに……。
不安で足がすくむ。
こんな時、いつも隣にはピートさんがいてくれた。
だからどんな困難にも立ち向かえた。
でも今はピートさんがいない……。
怖い。
――サンは勇敢だなぁ。ほんと頼りになるよ。
違うの。
本当の私は臆病で、不器用で、何をやっても上手くいかなくて……。
自然とうつむきがちになってしまった私に、ピピがいつもの調子でニコリと笑顔を見せた。
「サンが強くなったら、ピート、ぜーったいに喜んでくれるね!」
無邪気な言葉にドキッと胸がうたれた。
そうね……。
怖がってる暇なんてない。
――ガルーに勝つには『究極進化』に賭けるしかない。サン。頼んだぞ!
私は絶対にピートさんの期待に応えてみせる。
私を大切にしてくれた、運命の人への恩返しだ――。
「みんな! 行きましょう!!」
「「おーっ!!」」
こうして私、エアリス、カーリーの3人は『究極進化への試練』へと足を踏み入れたのだった。
――ああ、愛する我がゴーレムたちよ。光を失った目では君たちの顔すら見ることがかなわない。動かぬ手では君たちを抱きしめてあげることもできない。でも哀しむことはない。いつか必ずや君たちを大切にしてくれる人間があらわれる。そう約束しよう。
私たちをこの世に生み出してくれたあの人から頂いた最初で最後の言葉。
どんな顔をしていたのかすら覚えていない。
けどちょっぴりかすれた低い声に込められた深い愛情だけは心の奥に残っている。
だから私、サンはその人の言葉を信じていた。
でも……。
――なんだ? 古《いにしえ》から伝わるモンスターボックスだって言うから期待したのに、中に入っていたのはただのゴーレムじゃねえか。あのケチ臭い道具屋め。こんな使えないものを銀貨10枚で売りつけやがって!
――おい、ゴーレム野郎。てめえは俺の奴隷なんだ。だから雨が降ろうと風が吹こうと外で突っ立て俺の家を守れ。分かったな?
――モンスターは人間よりも下等な生き物なんだよ。
人間はみんな強欲で、排他的で、自分勝手で……。
どれだけ時が流れても私たちのことを大切に想ってくれる人に出逢えなかった。
――サン。あきらめましょう。いくら創造主様も正しい未来を予測するのは不可能だったということです。
――そうだよー。誰でも間違うことだってあるしね。ドンマイだよー。
――……期待するだけ無駄。
みんなは口々にそう言って、誰からの召喚にも応じようとせず、モンスターボックスから出てこなくなってしまった。
けど、私はどうしてもあきらめきれなかったの。
だからどんな理不尽な扱いをされても、必ず召喚に応じた。
今思えばただの意地だったのかもしれない。
ううん。違う。
私はどこか確信めいたものを感じていたのだ。
ピートさん。
あなたに出逢うことを――。
――サン……。うん、君の名前は、太陽の神様と同じサンがいい!
◇◇
「ここが『究極進化への試練』ね」
第99層。
私、エアリス、カーリー、それにピピの4人は、教会の奥にある古びた扉の前までやってきた。
「ピピは入れないからおるすばーん! みんな、がんばってね!」
ピピはすでに『究極進化』しているらしいから扉の先に進むことはできない。
だからここでいったんお別れ。
建前上は「ピピはダンジョンの先導役」ってピートさんは言ってたけど、きっと違う。
彼女を危険から遠ざけるための口実だと思うの。
「じゃあ、いってみよー!」
「……どんな試練にも負けない」
前のめりのエアリスとカーリー。
着いたばかりだと言うのに、もう行く気満々みたい。
でも本当に大丈夫かしら?
どんな試練が待ってるとも知らないのに……。
不安で足がすくむ。
こんな時、いつも隣にはピートさんがいてくれた。
だからどんな困難にも立ち向かえた。
でも今はピートさんがいない……。
怖い。
――サンは勇敢だなぁ。ほんと頼りになるよ。
違うの。
本当の私は臆病で、不器用で、何をやっても上手くいかなくて……。
自然とうつむきがちになってしまった私に、ピピがいつもの調子でニコリと笑顔を見せた。
「サンが強くなったら、ピート、ぜーったいに喜んでくれるね!」
無邪気な言葉にドキッと胸がうたれた。
そうね……。
怖がってる暇なんてない。
――ガルーに勝つには『究極進化』に賭けるしかない。サン。頼んだぞ!
私は絶対にピートさんの期待に応えてみせる。
私を大切にしてくれた、運命の人への恩返しだ――。
「みんな! 行きましょう!!」
「「おーっ!!」」
こうして私、エアリス、カーリーの3人は『究極進化への試練』へと足を踏み入れたのだった。
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