88 / 88
第88話 アルゼオンを仲間にしよう!①
しおりを挟む
◇◇
今のところは敵意がない、と分かってくれたようで、アルゼオンはあっさりゾンビの包囲網を解くと、俺たちを城の中に通してくれた。
「おいおい、ずいぶんと豪勢だな」
どこから調達したんだ?
と言いたくなるような装飾品や内装の数々。
客間にはフカフカの絨毯が敷かれ、座ったとたんに吸い込まれてしまいそうになるような柔らかなソファが置かれている。
そのソファに俺とサンが並んで座り、その他の仲間たちは物珍しそうに広い部屋の中をうろうろしていた。
そんな中、ワインを片手にアルゼオンは俺と向き合うようにして腰をかけた。
「して、余を奴隷にしたいと貴様は申しておるのか?」
「奴隷じゃない。仲間だ」
アルゼオンが小さく首をかしげてニヤリと口角を上げる。
「余が断れば貴様はどうするつもりだ?」
アルゼオンが意味ありげにニタニタしている。
ああ、なるほどね。
これって部屋の外に軍勢を待機させているか、部屋自体にトラップが仕掛けられているパターンだな。
広い外で戦うよりは狭い部屋に閉じ込めてしまった方が戦いやすいってことか。
つまり城に入れた瞬間から生きて返すつもりはなかったってやつだ。
けど今さらそんなことを気にしていても仕方ない。
「逆に聞きたいんだが、断れると思ってるのか?」
アルゼオンだけでなくサンも目を丸くして俺の顔を覗き込む。
俺は淡々とした口調で続けた。
「あんたは『鎖の封印』を解かれない限りはここを動けない。つまり復活したはいいものの実態は封印されていた時と何ら変わらないってわけだ」
アルゼオンの顔から笑みが消える。
逆に俺の口元が自然と緩んだ。
「都合よくニックを使って封印を解こうとしたがそれも失敗。もはや打つ手なし。まあ、もしかしたら『もう一人』くらいはあんたの手足がいるかもしれないな。……たとえば『マリウスの故郷をめちゃくちゃにしたサイコ野郎』とか」
「貴様……」
「まあ、それも俺たちが片付けたわけだ。もはやあんたには『鎖の封印』を解く術はない。第二のニックがのこのこやってくるまで待つつもりか? それもいいと思うが、少なくとも俺やここにいる仲間たちが生きている間は好き勝手させるつもりはないぞ」
ついにアルゼオンの口から言葉すら消えた。
代わりに凄まじい殺気が灰色の瞳から放たれる。
サンがいつでも動けるように半身を乗り出し、他の仲間たちも表情を引き締めてこちらを見つめている。
重苦しい雰囲気の中、俺は努めて軽い口調で続けた。
「ちなみに俺の仲間になればフロアの移動が可能になる。もし【オートテイム】状態にしたならばダンジョンの外に出ることだって可能だ」
「ピートさん!?」
反論しようとするサンを片手で制す。
「けどな。あんたはダンジョンの外に出るつもりはないんだろ?」
アルゼオンのこめかみがピクリと動いた。
目がわずかに見開かれている。
「その反応……。やっぱりそうか……」
彼の反応で自分の考えが正しいことを確信した。
となればもたもたしている場合ではないな。
「協力してくれるよな? 魔王アルゼオン」
俺は右手を彼に差し出したのだった――。
今のところは敵意がない、と分かってくれたようで、アルゼオンはあっさりゾンビの包囲網を解くと、俺たちを城の中に通してくれた。
「おいおい、ずいぶんと豪勢だな」
どこから調達したんだ?
と言いたくなるような装飾品や内装の数々。
客間にはフカフカの絨毯が敷かれ、座ったとたんに吸い込まれてしまいそうになるような柔らかなソファが置かれている。
そのソファに俺とサンが並んで座り、その他の仲間たちは物珍しそうに広い部屋の中をうろうろしていた。
そんな中、ワインを片手にアルゼオンは俺と向き合うようにして腰をかけた。
「して、余を奴隷にしたいと貴様は申しておるのか?」
「奴隷じゃない。仲間だ」
アルゼオンが小さく首をかしげてニヤリと口角を上げる。
「余が断れば貴様はどうするつもりだ?」
アルゼオンが意味ありげにニタニタしている。
ああ、なるほどね。
これって部屋の外に軍勢を待機させているか、部屋自体にトラップが仕掛けられているパターンだな。
広い外で戦うよりは狭い部屋に閉じ込めてしまった方が戦いやすいってことか。
つまり城に入れた瞬間から生きて返すつもりはなかったってやつだ。
けど今さらそんなことを気にしていても仕方ない。
「逆に聞きたいんだが、断れると思ってるのか?」
アルゼオンだけでなくサンも目を丸くして俺の顔を覗き込む。
俺は淡々とした口調で続けた。
「あんたは『鎖の封印』を解かれない限りはここを動けない。つまり復活したはいいものの実態は封印されていた時と何ら変わらないってわけだ」
アルゼオンの顔から笑みが消える。
逆に俺の口元が自然と緩んだ。
「都合よくニックを使って封印を解こうとしたがそれも失敗。もはや打つ手なし。まあ、もしかしたら『もう一人』くらいはあんたの手足がいるかもしれないな。……たとえば『マリウスの故郷をめちゃくちゃにしたサイコ野郎』とか」
「貴様……」
「まあ、それも俺たちが片付けたわけだ。もはやあんたには『鎖の封印』を解く術はない。第二のニックがのこのこやってくるまで待つつもりか? それもいいと思うが、少なくとも俺やここにいる仲間たちが生きている間は好き勝手させるつもりはないぞ」
ついにアルゼオンの口から言葉すら消えた。
代わりに凄まじい殺気が灰色の瞳から放たれる。
サンがいつでも動けるように半身を乗り出し、他の仲間たちも表情を引き締めてこちらを見つめている。
重苦しい雰囲気の中、俺は努めて軽い口調で続けた。
「ちなみに俺の仲間になればフロアの移動が可能になる。もし【オートテイム】状態にしたならばダンジョンの外に出ることだって可能だ」
「ピートさん!?」
反論しようとするサンを片手で制す。
「けどな。あんたはダンジョンの外に出るつもりはないんだろ?」
アルゼオンのこめかみがピクリと動いた。
目がわずかに見開かれている。
「その反応……。やっぱりそうか……」
彼の反応で自分の考えが正しいことを確信した。
となればもたもたしている場合ではないな。
「協力してくれるよな? 魔王アルゼオン」
俺は右手を彼に差し出したのだった――。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(7件)
あなたにおすすめの小説
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます
エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】
「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」
そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。
彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。
傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。
「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」
釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。
魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。
やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。
「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」
これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー!
(※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!
雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。
ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。
観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中…
ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。
それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。
帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく…
さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
サモナーがレベルに応じて様々なモンスターを召喚するのであって
テイマーはモンスター従属レベルで従える数が増えて行く等だったはずだけど?
モンスターハウス…本当に作るのねW
餅は餅屋だな