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初めての味
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すっかり朝は冷え込んで、朝食の後洗濯物を干そうとした春川はかごに入れた洗濯物を彼女は庭に持って行き、冷たくなった手を息で暖める。その様子を縁側にやってきた祥吾が声をかけた。
「寒いかな?」
着流しに半纏だけだが、寒くないのだろうか。彼女はそう思いながら、少し微笑んだ。
「そうですね。寒くなりました。厚手のジャンパーで出かけないといけませんね。」
「あぁ。今日は私も出かけようと思っているが。」
「珍しいですね。どちらへ行かれますか?」
洗濯物を干しながら彼女は聞く。
「本格的に「蓮の花」が映画になる話が進んでいる。監督が私に話を聞きたいらしい。」
「誰ですか?」
「言ってわかるだろうか?君はあまり人には興味がなさそうだからね。」
「そんなことはありませんよ。」
彼女はそういって頬を膨らませた。その様子が可愛い。思わず抱きしめたくなるが、主婦としての仕事をしているときにちょっかいは出したくない。
「そうかな。だが新しい出会いは、君の刺激になっているようだ。夏の頃と比べると別人のようだね。」
「夏ですか?」
思わず手が止まる。夏頃といえば、桂と出会った頃のことだ。彼と出会って確かに気持ちも変わった気がする。心が辛く、痛い。体を重ねて以来、メッセージのやりとりや電話をすることはあるが、実際に会うことはない。お互い忙しすぎたのだ。
「髪も伸びた。」
「あぁ。少しうっとうしくなりました。切らないといけませんね。」
「そのまま伸ばしてみればいいのに。」
「乾かすのが面倒ですよ。」
洗濯物を干し終わり、かごを手に縁側にあがった。
「もう出かけるかな?」
「そうですね。そろそろ出かけますか。明日は少しゆっくりする時間があるので、シーツを洗いましょう。」
「君は仕事をしているときもいい顔をしているが、そうやって主婦をしているときもいい。春。そういう姿は君が誰と出会っても、私にしか見せていないんだね。」
「えぇ。こんな姿をだれた好んで見ましょうか。」
「私は見たいよ。」
「……変わってますね。」
「昔からよく言われていたよ。あまり着飾った女性には魅力を感じなくてね。」
「だったら……。」
言い掛けた言葉を飲み込んだ。彼は昔、牧原絹恵の恋人だったのだ。映画の撮影現場でしか絹恵に会ったことはないが、どう見ても春川とは正反対に見える。昔はそういう女性が好きだったのだろう。
いや、今でも好きなはずだ。有川を見ていればわかるし、有川以外のあの口紅のついた煙草の吸い殻を見れば、どれだけ派手な人と体を重ねているかわかるのだから。
「どうしたのかな。」
不思議そうに彼女をみる祥吾。それに気づかれないように、彼女は少し微笑んだ。
「何でもないです。今日集める資料は、精神疾患の資料でしたね。」
「あぁ。昔の……大正時代の精神疾患の患者が入院していた「瘋癲病院」について知りたい。」
「わかりました。でも図書館とかにありますかね。大学とかへいった方が詳しくありそう。」
「君なら行けるだろう?大学生に紛れて食事をしていてもきっとわからないよ。」
からかうように彼はいうと、彼女は少し頬を膨らませた。
「子供ってことですか?」
「そうじゃないよ。可愛いってことだ。」
彼はそういって彼女の肩に触れようとした。しかし彼女はその塀をみる。
「ここから外へ丸見えですよ。」
「だったら中だったら君に触れていいかな。」
そのとき玄関から声が聞こえた。
「ごめんくださいまし。」
近所の人の声だった。彼女は足早に玄関へ向かう。触れられなくて良かった。そう思う自分がとても卑怯だと思う。
春川が外へ出て行った後、祥吾は着替えを始めた。出版社へ行かなければいけないのは事実で、「蓮の花」の映画化にむけて監督と話をしに行かなければいけない。
監督はすでに大御所と言われている監督で、原敦。彼もよく知っている人だった。大学が一緒で、学部は違っていたが原は良くも悪くも目立っていた。
あのころ周りは騒がしかった。大学生が元気で、本気で学生の力で世の中を変えられると信じていたのだ。シュプレヒコールをあげて壁を作った。今ではそんな世の中を作ってきた彼らが、また下のものに反抗されようとしている。世の中は回る。いつしか彼も時代に取り残されるのだろう。
そのときだった。
「ごめんくださいませ。」
女性の声がした。彼は慌てて帯を締めると、玄関へ向かった。
「……君……。」
そこにいたのは牧原絹恵だった。和服のイメージが強い絹恵なので、ワンピースやコートを着ていると別人のようだと思ったが、それでも美しいのは変わりない。
「お久しぶりですね。」
「そうだね。急にどうしたのかな。」
「言付けをいただいたわ。あなたの助手という方にね。いつでもお見えになって下さい。と書いていたのは、近いうちに見えて欲しいということでしょう?」
「よくわかったね。今助手はいないが、上がるかい?」
「えぇ。そうするつもりです。台所を借りていいかしら。」
「何をする気だ。」
「お茶を入れるんです。あなたは昔のとおりでしたら、お茶一つ入れることは出来ないでしょう?」
「そのとおりだ。君は相変わらず私のことをよくわかっている。」
冗談を言い合いながら、彼女は家の中に上がっていく。その一つ一つの所作もすべてが美しいと思う。だがそれは内面からでる美しさではなく、作られたものだ。一皮剥けば、彼女だってどんな顔を見せるのかわからない。
お茶を入れて、居間に通された。灰皿とお茶を用意した絹恵は、向かい合って祥吾をみる。変わらない男だ。きっと女は沸いて出るものくらいにしか思っていないのだろう。
大学生の時、彼を初めて見た。いつでも違う女が彼の側にいる。だが文学部の中でのエリートでもうすでに小説家としてデビューしているし、その本が高名な賞をもらっていることも彼がもてる一因になっていた。
「もうすぐ、遠藤の命日です。」
「あぁ。そうだったね。」
彼女も煙草に火を付けるとその煙を吐き出した。
「遠藤は疑ってましたわね。」
「君との関係か?フフ。君と恋人だった時期は、学生の頃の一時期だけだった。それを知っていたのかな。」
「しかもあなたは私の手に触れることもありませんでしたね。この時期くらいでしたか。食事をして、公園を散歩して……家に送って下さいましたわ。表向きにはね。」
「……。」
「あなた、奥様は?」
「……いないよ。助手と家政婦が来てくれている。それで仕事も家のことも事足りているがね。」
「助手……あぁ。秋野さんとおっしゃってました。映画の現場で何度かお見かけしましたが、ライターですの?」
「あぁ。性風俗についての言葉を書いているようだ。」
「それだけではないのでしょう?」
「何がだ。」
彼は煙草をくわえると、火を付ける。そのジッポーライターをまだ使っているのかと、彼女は少し笑った。
「昔のあなたに似てますわ。作家として、見たものをすべて経験にし文章にしようという姿勢がね。」
「……彼女は作家としてはまだまだだ。」
彼女はあきれたように煙草を消した。
「純文学ではないと作家ではないという考えは、まだ消えてませんのね。遠藤もミステリー作家としてデビューしたとき、あなたは「人殺しの作家」といって見下していましたもの。遠藤はそれが気に入らないと言ってましたわ。」
「あいつに気に入られようとは思っていないよ。」
変わらない。すべてにおいて自分が優位ではないと気が済まない男だ。それが人を遠ざけているのだとまだ気がついていない。
そして女性はそう言う強さにひどくもろい。あの秋野という女も、きっとこの男の手込めにされたのだろうか。
「寒いかな?」
着流しに半纏だけだが、寒くないのだろうか。彼女はそう思いながら、少し微笑んだ。
「そうですね。寒くなりました。厚手のジャンパーで出かけないといけませんね。」
「あぁ。今日は私も出かけようと思っているが。」
「珍しいですね。どちらへ行かれますか?」
洗濯物を干しながら彼女は聞く。
「本格的に「蓮の花」が映画になる話が進んでいる。監督が私に話を聞きたいらしい。」
「誰ですか?」
「言ってわかるだろうか?君はあまり人には興味がなさそうだからね。」
「そんなことはありませんよ。」
彼女はそういって頬を膨らませた。その様子が可愛い。思わず抱きしめたくなるが、主婦としての仕事をしているときにちょっかいは出したくない。
「そうかな。だが新しい出会いは、君の刺激になっているようだ。夏の頃と比べると別人のようだね。」
「夏ですか?」
思わず手が止まる。夏頃といえば、桂と出会った頃のことだ。彼と出会って確かに気持ちも変わった気がする。心が辛く、痛い。体を重ねて以来、メッセージのやりとりや電話をすることはあるが、実際に会うことはない。お互い忙しすぎたのだ。
「髪も伸びた。」
「あぁ。少しうっとうしくなりました。切らないといけませんね。」
「そのまま伸ばしてみればいいのに。」
「乾かすのが面倒ですよ。」
洗濯物を干し終わり、かごを手に縁側にあがった。
「もう出かけるかな?」
「そうですね。そろそろ出かけますか。明日は少しゆっくりする時間があるので、シーツを洗いましょう。」
「君は仕事をしているときもいい顔をしているが、そうやって主婦をしているときもいい。春。そういう姿は君が誰と出会っても、私にしか見せていないんだね。」
「えぇ。こんな姿をだれた好んで見ましょうか。」
「私は見たいよ。」
「……変わってますね。」
「昔からよく言われていたよ。あまり着飾った女性には魅力を感じなくてね。」
「だったら……。」
言い掛けた言葉を飲み込んだ。彼は昔、牧原絹恵の恋人だったのだ。映画の撮影現場でしか絹恵に会ったことはないが、どう見ても春川とは正反対に見える。昔はそういう女性が好きだったのだろう。
いや、今でも好きなはずだ。有川を見ていればわかるし、有川以外のあの口紅のついた煙草の吸い殻を見れば、どれだけ派手な人と体を重ねているかわかるのだから。
「どうしたのかな。」
不思議そうに彼女をみる祥吾。それに気づかれないように、彼女は少し微笑んだ。
「何でもないです。今日集める資料は、精神疾患の資料でしたね。」
「あぁ。昔の……大正時代の精神疾患の患者が入院していた「瘋癲病院」について知りたい。」
「わかりました。でも図書館とかにありますかね。大学とかへいった方が詳しくありそう。」
「君なら行けるだろう?大学生に紛れて食事をしていてもきっとわからないよ。」
からかうように彼はいうと、彼女は少し頬を膨らませた。
「子供ってことですか?」
「そうじゃないよ。可愛いってことだ。」
彼はそういって彼女の肩に触れようとした。しかし彼女はその塀をみる。
「ここから外へ丸見えですよ。」
「だったら中だったら君に触れていいかな。」
そのとき玄関から声が聞こえた。
「ごめんくださいまし。」
近所の人の声だった。彼女は足早に玄関へ向かう。触れられなくて良かった。そう思う自分がとても卑怯だと思う。
春川が外へ出て行った後、祥吾は着替えを始めた。出版社へ行かなければいけないのは事実で、「蓮の花」の映画化にむけて監督と話をしに行かなければいけない。
監督はすでに大御所と言われている監督で、原敦。彼もよく知っている人だった。大学が一緒で、学部は違っていたが原は良くも悪くも目立っていた。
あのころ周りは騒がしかった。大学生が元気で、本気で学生の力で世の中を変えられると信じていたのだ。シュプレヒコールをあげて壁を作った。今ではそんな世の中を作ってきた彼らが、また下のものに反抗されようとしている。世の中は回る。いつしか彼も時代に取り残されるのだろう。
そのときだった。
「ごめんくださいませ。」
女性の声がした。彼は慌てて帯を締めると、玄関へ向かった。
「……君……。」
そこにいたのは牧原絹恵だった。和服のイメージが強い絹恵なので、ワンピースやコートを着ていると別人のようだと思ったが、それでも美しいのは変わりない。
「お久しぶりですね。」
「そうだね。急にどうしたのかな。」
「言付けをいただいたわ。あなたの助手という方にね。いつでもお見えになって下さい。と書いていたのは、近いうちに見えて欲しいということでしょう?」
「よくわかったね。今助手はいないが、上がるかい?」
「えぇ。そうするつもりです。台所を借りていいかしら。」
「何をする気だ。」
「お茶を入れるんです。あなたは昔のとおりでしたら、お茶一つ入れることは出来ないでしょう?」
「そのとおりだ。君は相変わらず私のことをよくわかっている。」
冗談を言い合いながら、彼女は家の中に上がっていく。その一つ一つの所作もすべてが美しいと思う。だがそれは内面からでる美しさではなく、作られたものだ。一皮剥けば、彼女だってどんな顔を見せるのかわからない。
お茶を入れて、居間に通された。灰皿とお茶を用意した絹恵は、向かい合って祥吾をみる。変わらない男だ。きっと女は沸いて出るものくらいにしか思っていないのだろう。
大学生の時、彼を初めて見た。いつでも違う女が彼の側にいる。だが文学部の中でのエリートでもうすでに小説家としてデビューしているし、その本が高名な賞をもらっていることも彼がもてる一因になっていた。
「もうすぐ、遠藤の命日です。」
「あぁ。そうだったね。」
彼女も煙草に火を付けるとその煙を吐き出した。
「遠藤は疑ってましたわね。」
「君との関係か?フフ。君と恋人だった時期は、学生の頃の一時期だけだった。それを知っていたのかな。」
「しかもあなたは私の手に触れることもありませんでしたね。この時期くらいでしたか。食事をして、公園を散歩して……家に送って下さいましたわ。表向きにはね。」
「……。」
「あなた、奥様は?」
「……いないよ。助手と家政婦が来てくれている。それで仕事も家のことも事足りているがね。」
「助手……あぁ。秋野さんとおっしゃってました。映画の現場で何度かお見かけしましたが、ライターですの?」
「あぁ。性風俗についての言葉を書いているようだ。」
「それだけではないのでしょう?」
「何がだ。」
彼は煙草をくわえると、火を付ける。そのジッポーライターをまだ使っているのかと、彼女は少し笑った。
「昔のあなたに似てますわ。作家として、見たものをすべて経験にし文章にしようという姿勢がね。」
「……彼女は作家としてはまだまだだ。」
彼女はあきれたように煙草を消した。
「純文学ではないと作家ではないという考えは、まだ消えてませんのね。遠藤もミステリー作家としてデビューしたとき、あなたは「人殺しの作家」といって見下していましたもの。遠藤はそれが気に入らないと言ってましたわ。」
「あいつに気に入られようとは思っていないよ。」
変わらない。すべてにおいて自分が優位ではないと気が済まない男だ。それが人を遠ざけているのだとまだ気がついていない。
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