セックスの価値

神崎

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告白

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 喪服を着た胸の大きな未亡人に扮した女優。それがローターやバイブで喘ぐシーンから始まる。
 桂はその道具を目にして、彼女に襲いかかる。そして最終的には、3Pをするという話。結局桂が持っていたローターは、未亡人の死んだ旦那の四十九回忌で喪服の中に仕込み、式の途中でスイッチを入れてその様子を見るという鬼畜なシーンに使われた。
「それにしても綺麗な女優さんですね。」
 東に聞くと、彼女は満足そうにうなづいた。
「ちょっと不安定なところはあるんですけど、元々役者をしてたみたいでこういうストーリーセックスは好きなんだそうですよ。」
 女性の喘ぎ声が響くスタジオで、桂はその女優に打ち込んでいる。あの大きなモノはつい一週間前、自分の中にあった。それを想像するだけで濡れてきそうだ。彼女はぐっと堪えるが、ため息をつく。
「どうしました?」
「あぁ。ちょっとね。」
「辛いですか?」
「え?」
「好きなんでしょ?」
「あ……そうじゃなくて……ごめんなさい。誤解させてしまって。」
 するとカメラマンが声を上げる。
「やばい。バッテリー切れた。ちょっと代えまーす。」
「おい。おい。バッテリーくらい撮影の前に代えておけって言ってるだろ?」
「すいません。」
 その間、春川は席を立つ。
「どうしました?」
「トイレ。やばい。生理始まったみたい。」
「あー。そう言うことですか。何だ。」
 つまらなそうに東は、行ってしまった春川の後ろ姿を見てため息をつく。
 そう言えばどうして嵐と春川は二人っきりで部屋にいたのだろう。何か話があったのだろうか。いやもしかして、嵐と何かあったのだろうか。
 確かに母とは別居状態だが、離婚はしていない。もしも春川と何かあったといったらそれは不倫になるだろう。いいや。春川も結婚しているという。ダブル不倫になるのかもしれない。
「……。」
 AVのネタなら面白いが、自分の身に降りかかるとなると洒落にならない。

 撮影が一応終わり、春川は席を立った。そして嵐のところへ行く。
「ありがとうございました。」
「いいや。こちらこそな。あんたが口添えしたから、ストーリーが自然になったわ。」
「役者さんが良かったんですよ。」
 そう言って快楽で動けない女優を見ていた。
「……あんた見てて辛くないのか?」
「別に。」
「肝が据わってるよな。あぁ。そういや、これやるよ。」
 嵐は足下にある紙袋を彼女に手渡す。
「何ですか?」
「メーカーが置いていったんだよ。新作だってさ。」
「バイブと……ローターですか?」
「それとローションな。」
「……。」
 必要ない。そう言いたかったが、資料として必要かもしれない。彼女はそう思い直して、その紙袋を受け取った。
「いただきます。」
「マジで持って帰るのか?」
「資料になりそうなんで。一応こういったモノは仕事部屋にはあるんですけど、もう旧作なんでしょうね。」
「本当に、熱心な奴。あ、飲み会明日あるんだけど、あんたも行かない?」
 その問いに、彼女は少し笑う。
「さすがにやめておきます。」
「だな。旦那が帰ってきたばっかだもんな。そういうのしねぇから、俺も別居したのかも。」
「あぁ。そうだったんですか。」
「……今度また連絡するわ。それから……なんかあったら相談してもらっていいから。」
「ありがとうございます。では。失礼します。」
「あぁ。それから、桂の楽屋な、俺の楽屋の隣。挨拶する?」
「あ、そういえばそうですね。」
 彼女はそういってスタジオをあとにする。するとやっと起きあがってきた女優が、嵐に近づいてきた。
「今日やばかったぁ。桂さん。なんかあったの?」
「え?」
「すごい激しいって言うかぁ。まぁこっちは気持ちいいからいいけど。」
 桂も見られると興奮するのかもしれない。いい情報だと、嵐は内心笑っていた。

 桂の楽屋の前について、春川はそのドアをノックする。しかし誰も出てこない。
「ん?いないのかな。」
 ドアノブを回してみるが、鍵がかかっている。どこかへ行っているのだろう。まぁいいや。彼女はその場をあとにしようとドアを背にする。そのとき急にドアが開いて、体を引き込まれた。
「黙れ。」
 目の前でドアが閉まる。そしてなじみのある腕が体を包み、手が口をふさぐ。シャワーを浴びてきた直後なのだろう。しっとりとしている手だった。
「こんなモノを持って。どうしたんだ。」
 口をふさぐ手がはずされる。彼が「こんなモノ」というのは、さっきもらった道具たちだろう。持っていたバッグを床に下ろされて、彼女の体の前でその荷物を開く。
「すごいな。今日使ったヤツだ。あんたに使ったらどうなるか、ずっと想像してた。春。ヤっていい?」
「駄目よ。こんなところでしたら……。」
「説得力無いから。ほら。あんたも俺の「演技」見て、ここ立ってる。」
 セーターや下着越しで胸を摘まれる。その乳首が立っているようで、それをつまみ上げられた。
「やっ……。啓治……。これ以上しないで。」
「なんで?こんなにビンビンに立ってるのに?」
「今日、出来ないから。」
「どうして?」
「生理来たの。」
 その言葉に彼の顔が少しほころんだ。そして彼女を自分の方に向かせると、その唇にキスをする。そしてセーターの中に手を入れた。
「や……。啓治……。」
「出来てなかったんなら、またセックス出来る。春。今度はこれ使うから。」
 そういって彼は紙袋の中から一つ、ローターを取り出した。
「これもらった?」
「うん。嵐さんから。」
「……随分気に入られているんだな。」
「違うわ。そんな意味じゃない。変なところで嫉妬しないでよ。」
「嫉妬するだろ?楽屋で二人っきりだったんだから。ほら。生理なら、おっぱいでイかせてやろうか?」
 そういって下着の中に手を入れてきた。
「さっき……してたのに……んっ……元気ねっ。」
 背中に手を回れて、下着を取られる。
「声あんまりあげるなよ。隣は嵐さんの楽屋だ。あんたが声を上げたら、あんたも出ないかって言われかねないから。」
「出れないでしょ?」
「いいや。すごいエロい。そんな顔、俺以外の前で見せるな。」
 赤くなる頬。固くなる乳首。そして苦しそうにあげる吐息。彼はその唇にまたキスを重ねた。
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