王道くんと、俺。

葉津緒

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第六章

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でもってここは、優ちゃんの寮部屋でしたー。
正確には二人部屋だけどね。基本的にこの学園の寮は二人部屋です。
ちなみに生徒会役員や風紀委員長とかは広ぉい一人部屋らしいよ。

今、俺の目の前のテーブルには美味しそうなご飯やおかずが並んでます。
俺と優ちゃんもちょっぴりお手伝いしたけど、これほぼ全部、慎ちゃん先輩の手料理なんだよ。すごいでしょ。
わーい、いただきまーす♪

普段は寮の食堂で食べることが多いんだけど。
「今日は色々あったし、人の多い食堂よりも寮部屋のほうがゆっくり落ち着いて食べられるから」と優ちゃんに勧められて。
急遽、慎ちゃん先輩にお願いして作りに来てもらっちゃいました。先輩ごめんね、ありがとぉ。

部屋の冷蔵庫に入ってた食材は自由に使ってもらい、足りない分は優ちゃんがある人に買い出しをお願いした……と、あれ?
そういえばどこ行ったんだろ。


「ただいまーお腹すいたぁ、って、ひどい! 俺を待たずにもう食べてるしッ」


ガチャッと玄関扉を開けて入ってきたのは

“三宅 敦兼”(ミヤケノブカタ)

こと、のぶくん。俺と同じ二年生。
黒く真っ直ぐな、肩まで伸びる長髪で目元を隠し、ひょろりと伸びた高身長を猫背で縮めてます。素顔はかなりの美形さんなのに、人に見られるのが嫌なんだって。もったいないよね。
それから学園新聞も手掛ける新聞部員で、情報通。色んなことを教えてくれるよ。んーと、例えば定期テストの出題傾向対策とか。

実は敦くん、去年は俺と寮部屋が一緒でしたぁ。
そして部屋替えがあった今年は、なんと優ちゃんの同室者さんに。ご縁ありまくりだよね。


「ちゃんと頼まれた買い出しもクリアしたのに。急な用事で少し外出してるあいだに俺だけ仲間外れ……」


部屋の隅っこで体育座りしながらぶつぶつ独り言を呟きはじめる敦くん。そう、優ちゃんが買い出しをお願いした相手とは彼のことでした。お、お疲れさまですー。


「ごめんね敦くん。あ、そうだ。これめっちゃくちゃ美味しいよぉ。あーん、して?」

「ふ、郁人きゅんっ! いいい、いただきまひゅっ、あー……」

「敦兼。食う前に手を洗ってこい、ついでにうがいもな。郁人は軽々しくそういう真似をしない!」

「ゆ、優馬しゃん、ひどいっ……せっかくの郁人きゅんからの『あーん』が……」


うわぁ、本当によっぽどお腹がすいてたんだね。
敦くんがしょんぼりしててかわいそう。慎ちゃん先輩が背中をさすって『よしよし』してあげてます。
でも俺、わりと軽々しくトラちゃんや祥ちゃんや親衛隊の子達にも『あーん』しちゃうんだけどなぁ。


「えっと、じゃあ、優ちゃんにもやっちゃダメ?」

「……俺にならしても良い」

「異議あり! なんで優馬しゃんは良くて俺はダメなの。差別いくない、横暴反対ッ」

「うるさいっ。俺は郁人の幼なじみで親衛隊隊長で誰よりも一番仲が良いからいいんだよ。有象無象の他の奴らと一緒にするな」

「何それひどすぎ、独裁者反対ッ」

「ええと。ご飯冷めちゃうから皆で仲良く食べませんか?」

.
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