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終章
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潔癖腹黒美人副会長×天然熱血王道くん……いいねっ!! 今ならワンコな氷川くんも、もれなくついてくるよおぉっ♪♪♪
「――い、おい郁人ッ」
「へあ? あれ、優ちゃん。ほっぺた赤いけどなんだか疲れた顔してるねって、うわあっ皆どうしちゃったの?!」
ほんの少し、ちょこーっとだけ俺が楽しく腐妄想をしていたあいだに一体何が起きたのか。
俺らを囲むように大勢の生徒達が集まって壁のようだったのが、そのほとんどが地面にうずくまったり倒れていたり、ぺたりと座り込んでる子達もいる。
倒れてる人はビクビクと痙攣(?)してるみたいで、えっと……股間を濡らしてるような。
多分見ないふりをするべきだよね、これ。
他にも股間を押さえてる人が多数……皆トイレ我慢してたのかな。でもって一斉におもらししちゃったの? それどんな謎現象?!
あとは鼻血なのか吐血なのか、顔や手や制服に赤色の液体を付着させてる人が大多数。
しかも苦しそうというより、恍惚とした表情を浮かべて白目向いて気絶してる人やよだれ垂らして惚けてる人、拝むように天を仰いで涙を流す人、等々……。
なな何この地獄絵図。ひいいいいっ。
「ゆゆゆ、優ちゃああん、何これ怖いいいっ」
「お前よりも俺のほうが怖いわッ。なんなんだその謎の殺傷威力爆増の仕組みは!? 祥太郎も直撃を受けて轟沈したしな!」
優ちゃんの指差す方向には、やや離れた場所でうずくまる祥ちゃんが見えた。
その近くには白目をむいて盛大に股間を濡らし、鼻血も垂らしながら仰向けで地面に寝ている(気絶している?)橘飛鳥会長の姿も。うわぁ、時々ビクンビクンしていて怖……っ。
「し、祥ちゃんッ」
「……ぎ、ギリ、セーフっす。大、丈夫です……」
「何が!?」
「大丈夫だけど……し、しばらく動けないので。放置で、お願いします……っ」
「そうか。よく耐えたな、見直したぞ祥太郎。男ならそっとしておいてやれ、郁人」
「どゆこと!?」
ハッと見回すと、片手で顔を覆ったまま立ち尽くすりっちゃん先輩の姿もあった。小声でぶつぶつ言っているけどよく聞こえません。だ、大丈夫なのかな。
「り、りっちゃん先輩?」
(くっ……か、可愛い……やはり郁人の微笑みは危険だな。しかし今日は特に可愛すぎて……ハァハァ……む、胸が苦しい)
親衛隊の子達も少し離れた場所でうずくまっている。
「皆大丈夫ー!?」
「ふ、郁人様ぁ……はぅん」ガクッ
「こ、腰が砕けまし……た……っ」
「無理無理無理、もう眼福すぎて無理ぃーッ!」
「うわあっどうしよぉ優ちゃあああん(泣)」
「いや、もうどうしようもないだろこんなの」
そんな焦る俺と、大きなため息を吐く優ちゃん。
そして周囲の惨状を見ながら
「こ、これが(敦兼からの)話に聞いてた郁人の殺人笑顔! 確かにとてつもなく凄まじい破壊力だね……なるほど。生半可な精神力では太刀打ちできず、けれども最低限これに耐えられないようじゃ、郁人の相手として相応しくはない。……ってことか」
と、頬を染めたアレクが謎の判断を下していたとは露知らず。
救いを求めてキョロキョロすれば、目が合ったノアが近づいてきた。よ、良かったぁ、ノアは無事みたい。
そう思っていたんだけど。
「郁人笑うと可愛いし楽しそう。だけどあんまり皆の前で笑っちゃダメ」
「え。うわっ、ノア?」
急に頭を強めに撫で回されてグラグラするぅ。
ちょっ、待って、目も回りそうになるからやめ――
チュッ
「は!?」
「んぅ……ふ、ぁ。ノ、ノア? えっ……と、なんで今俺にキスしたの?」
「わかんない。ムカムカして、なんだか俺も郁人にキスしたくなったから」
「はあ!?」
「んー……。そっかぁ、わかんないのかー。ええと。だったら仕方ない……の、かな?」
「はああぁあ!?」
「あ」
優ちゃんが大声を上げ、と同時に校舎から先生達が駆けてくるのが見えた。
「こらー! お前ら登校中に何をやってるんだ、集まって騒いでないで解散しろ今すぐ――ひっ、なななんだ、何が起きたんだ一体!?」
「うっわ、なんだこの惨劇現場。朝っぱらからまたやりやがったのか郁人。お前な、さすがに加減しろよ毎回毎回」
「あ、千葉ちゃん」
「やばいっ逃げるぞ郁人。あとは任せたからなエセ教師」
「えっ優ちゃん?」
「おう、さっさと学校に行け。急がねぇと遅刻するぞー。あと俺は正真正銘の教師だからなー」
「ま、待てお前ら逃げるなー! せめて事情を説明してくれえぇ!?」
優ちゃんに手をつながれたまま、わけもわからず俺は必死に走り出す。
どんどん遠のく悲鳴のような怒鳴り声。
キス魔な会長や、アレクの留学、ちょっぴり変だったノアのこと。
そして何より副会長と歩くんの溺愛っぷり、などなど。
他にも(嫌なことも含めて)考えたいことはたくさんあるはずなのに、今は足の速い優ちゃんについていくのに精一杯で。
うーん。でもまぁ、いいや。
あとでゆっくり時間をかけて考えればいいんだもんね。
だって、いつにも増してにぎやかな今日一日は、まだまだ始まったばかりなんだから。
【エピローグ/END】2025.11.9
(加筆修正:2025.11.25)
(再加筆修正:2026.2.23)
「――い、おい郁人ッ」
「へあ? あれ、優ちゃん。ほっぺた赤いけどなんだか疲れた顔してるねって、うわあっ皆どうしちゃったの?!」
ほんの少し、ちょこーっとだけ俺が楽しく腐妄想をしていたあいだに一体何が起きたのか。
俺らを囲むように大勢の生徒達が集まって壁のようだったのが、そのほとんどが地面にうずくまったり倒れていたり、ぺたりと座り込んでる子達もいる。
倒れてる人はビクビクと痙攣(?)してるみたいで、えっと……股間を濡らしてるような。
多分見ないふりをするべきだよね、これ。
他にも股間を押さえてる人が多数……皆トイレ我慢してたのかな。でもって一斉におもらししちゃったの? それどんな謎現象?!
あとは鼻血なのか吐血なのか、顔や手や制服に赤色の液体を付着させてる人が大多数。
しかも苦しそうというより、恍惚とした表情を浮かべて白目向いて気絶してる人やよだれ垂らして惚けてる人、拝むように天を仰いで涙を流す人、等々……。
なな何この地獄絵図。ひいいいいっ。
「ゆゆゆ、優ちゃああん、何これ怖いいいっ」
「お前よりも俺のほうが怖いわッ。なんなんだその謎の殺傷威力爆増の仕組みは!? 祥太郎も直撃を受けて轟沈したしな!」
優ちゃんの指差す方向には、やや離れた場所でうずくまる祥ちゃんが見えた。
その近くには白目をむいて盛大に股間を濡らし、鼻血も垂らしながら仰向けで地面に寝ている(気絶している?)橘飛鳥会長の姿も。うわぁ、時々ビクンビクンしていて怖……っ。
「し、祥ちゃんッ」
「……ぎ、ギリ、セーフっす。大、丈夫です……」
「何が!?」
「大丈夫だけど……し、しばらく動けないので。放置で、お願いします……っ」
「そうか。よく耐えたな、見直したぞ祥太郎。男ならそっとしておいてやれ、郁人」
「どゆこと!?」
ハッと見回すと、片手で顔を覆ったまま立ち尽くすりっちゃん先輩の姿もあった。小声でぶつぶつ言っているけどよく聞こえません。だ、大丈夫なのかな。
「り、りっちゃん先輩?」
(くっ……か、可愛い……やはり郁人の微笑みは危険だな。しかし今日は特に可愛すぎて……ハァハァ……む、胸が苦しい)
親衛隊の子達も少し離れた場所でうずくまっている。
「皆大丈夫ー!?」
「ふ、郁人様ぁ……はぅん」ガクッ
「こ、腰が砕けまし……た……っ」
「無理無理無理、もう眼福すぎて無理ぃーッ!」
「うわあっどうしよぉ優ちゃあああん(泣)」
「いや、もうどうしようもないだろこんなの」
そんな焦る俺と、大きなため息を吐く優ちゃん。
そして周囲の惨状を見ながら
「こ、これが(敦兼からの)話に聞いてた郁人の殺人笑顔! 確かにとてつもなく凄まじい破壊力だね……なるほど。生半可な精神力では太刀打ちできず、けれども最低限これに耐えられないようじゃ、郁人の相手として相応しくはない。……ってことか」
と、頬を染めたアレクが謎の判断を下していたとは露知らず。
救いを求めてキョロキョロすれば、目が合ったノアが近づいてきた。よ、良かったぁ、ノアは無事みたい。
そう思っていたんだけど。
「郁人笑うと可愛いし楽しそう。だけどあんまり皆の前で笑っちゃダメ」
「え。うわっ、ノア?」
急に頭を強めに撫で回されてグラグラするぅ。
ちょっ、待って、目も回りそうになるからやめ――
チュッ
「は!?」
「んぅ……ふ、ぁ。ノ、ノア? えっ……と、なんで今俺にキスしたの?」
「わかんない。ムカムカして、なんだか俺も郁人にキスしたくなったから」
「はあ!?」
「んー……。そっかぁ、わかんないのかー。ええと。だったら仕方ない……の、かな?」
「はああぁあ!?」
「あ」
優ちゃんが大声を上げ、と同時に校舎から先生達が駆けてくるのが見えた。
「こらー! お前ら登校中に何をやってるんだ、集まって騒いでないで解散しろ今すぐ――ひっ、なななんだ、何が起きたんだ一体!?」
「うっわ、なんだこの惨劇現場。朝っぱらからまたやりやがったのか郁人。お前な、さすがに加減しろよ毎回毎回」
「あ、千葉ちゃん」
「やばいっ逃げるぞ郁人。あとは任せたからなエセ教師」
「えっ優ちゃん?」
「おう、さっさと学校に行け。急がねぇと遅刻するぞー。あと俺は正真正銘の教師だからなー」
「ま、待てお前ら逃げるなー! せめて事情を説明してくれえぇ!?」
優ちゃんに手をつながれたまま、わけもわからず俺は必死に走り出す。
どんどん遠のく悲鳴のような怒鳴り声。
キス魔な会長や、アレクの留学、ちょっぴり変だったノアのこと。
そして何より副会長と歩くんの溺愛っぷり、などなど。
他にも(嫌なことも含めて)考えたいことはたくさんあるはずなのに、今は足の速い優ちゃんについていくのに精一杯で。
うーん。でもまぁ、いいや。
あとでゆっくり時間をかけて考えればいいんだもんね。
だって、いつにも増してにぎやかな今日一日は、まだまだ始まったばかりなんだから。
【エピローグ/END】2025.11.9
(加筆修正:2025.11.25)
(再加筆修正:2026.2.23)
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