王道くんと、俺。

葉津緒

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終章

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「とにかく、だ。それなら千賀郁人はまだ誰のモノでもないってことだよな。だったら俺様のモノに――ごぶっ!?」

「しれっと郁人さんに触れようとしてんじゃねぇよクソ会長が」

「おい、暴力行為は――」


頬を染めながら俺の腕をつかもうとした会長(意外とタフだね)が祥ちゃんに殴り飛ばされ、それを止めようとしかけたりっちゃん先輩がなぜか止めなかったり。


「ふ、郁人……やっぱり俺が消毒を」

「ま、待て歩っ」「歩!?」

「お前も何やろうとしてんの!?」
「ちょっ、こいつ鼻息荒いし」
「郁人様に近づくなーッ」


こちらへ走ってこようとする鼻息の荒い歩くんが、氷川くんや副会長、俺の親衛隊の子達に止められてる。


「郁人の浮気者っ」

「……」


それを見たアレクがぷんぷんするのは意味わかんないし。
ノアは相変わらず変な顔でボーッとしたままだし。



「もぉ皆好き勝手なことばっかり。あと俺、どうせ消毒するならこっちのほうが良いなー」

「へ?」


俺はほんの少しかがむと、隣にいる優ちゃんの顔に片手を添えて上向かせた。そして頬にチュッと口づける。


「……っ!?」

「ふふっ。優ちゃん、かーわい♪」


反対側の頬にも同様にキスをすれば、目を見開き真っ赤な顔で口をぱくぱくさせる優ちゃん。
指先で頬をするりと撫でれば、わずかに肩が揺れた……かな。


「お、おお、俺もしたい。それ、郁人の消毒のキス!」

「歩!?」「待ちなさい歩ッ」


氷川くんと副会長さんの制止を振り切り、親衛隊のガードもかわした歩くんが走り寄る。
あ。
耳の辺り、真っ黒もさもさなカツラの下から明るい色の髪がちょっぴり見えてるよー。せっかくの変装なんだから、まだ皆には秘密にしないとね。

目の前の歩くんに手を伸ばし、はみ出た髪を耳にかけるようにそっと隠してあげてと。うん、これで大丈夫。
真っ赤になった歩くんに俺は笑いながら話しかける。


「髪、少しだけ乱れてたよぉ歩くん?」

「えっ。あ、ありがとう郁人……っ」

「どういたしましてー。それとね、もし歩くんとするなら俺はぁ、もっと違う(一般生徒達の少ない)静かな場所で(他の攻め達が嫉妬しちゃうように見せつけながら)したい、な?」

「――――!」


人差し指を自分の唇に当てながら、思わせぶりにささやく。えへへ、我ながらチャラ男っぽいよね♪
すぐ隣の優ちゃんが何か言いたそうな目で見てるけど、今のは百点満点でしょ絶対。


「……郁人、俺……ふ、郁人のことが」

「あ、歩っ」

「歩から離れなさい千賀郁人!」

「うわっ、え、何、瑞穂にぃ!?」


副会長に腕をつかまれた歩くんが、またもや俺から引き離されました。


「飛鳥も埜吾も風紀委員長までをも狂わせて、次は歩を手玉に取ろうという魂胆ですか。ふざけるのもいい加減にしてください。貴方に歩は絶対に渡しませんよ、彼だけは私が必ず守ってみせます。せいぜい貴方は大人しくそこの『婚約者』とやらとだけまぐわっていなさい。
行きますよ歩、これ以上この最低最悪でくだらない“下半身バカ”に付き合ってなどいられません!」

「わわっ、ちょっ……郁人ッ、またあとで教室で会おうなー!」


つかまれた腕をそのまま引っ張られて、副会長と共に校舎へと向かう歩くん。氷川くんもそのあとを追っていく。
……………………。


「な、なんですかあれ!」
「さすがにちょっと、ひどすぎですよね副会長様」
「郁人様。あの、大丈夫――」



ねぇねぇ、皆ちゃんと聞きましたっ?
あの滝沢瑞穂副会長さんのとても素晴らしいお言葉を!
大切な愛する王道くんに絡む(偽)チャラ男への嫉妬心メラッメラで

『貴方に歩は絶対に渡しませんよ、彼だけは私が必ず守ってみせます』

だなんて、恋敵ライバルへの宣言と歩くんへの熱烈な愛の告白をたった今、俺の目の前でぶちかましてくれたんだよ!?
うわーうっわー、うっわあぁ嘘みたい。
何これ。いつのまにBL学園物語の世界に転生してたの俺ぇッ。やっばい、あとで絶対師匠に教えなきゃ!

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