王道くんと、俺。

葉津緒

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終章

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ぎゅむっ、と誰かの腕の中に捕まえられた。


「ぅえ?」

「郁人ッ」


一瞬で遠ざかるびっくり顔の優ちゃん。
くるりと身体の向きを変えられた俺の真正面には、なぜか切なそうな表情を浮かべる橘飛鳥バ会長さんがいました。
さっき歩くんに殴り飛ばされたあと地面に倒れ、会長親衛隊の子達に介抱されてるのはチラッと見えてたけど。いつのまに復活したんだろ。
口端が切れて出血してますよー、大丈夫?

じっと見つめてたら会長の頬が赤く染まってきた。
もしや、さっきの接触キスで俺の風邪が移っちゃったとかじゃないよね。本当に大丈夫なのかなぁ。


「千賀郁人……お前やっぱり俺様のモノになれ」

「え、お断りしま」

「なるわけねーだろがッ」

「げふぉーっ!?」


『うおおおおッしゃー!』
『か、会長様ぁあ!?』


わあ、会長がキレイに真横に吹っ飛んでったよ。
勢いよく飛び蹴りを食らわしたのは、寝癖のついた祥ちゃんです。おはよー。


「ふう。今日からまた郁人さんと朝一緒に登校できるのが楽しみすぎて、昨夜なかなか眠れずうっかり寝坊したけど。俺、なんとか間に合いました!」

「いや、もうとっくに色々と間に合ってねーんだよ」


周囲の騒ぎが再び大きくなる中、良い笑顔の祥ちゃんに優ちゃんがぼそっとツッコミを入れてます。
さすが阿吽あうんの呼吸。やっぱり二人は相性ばっちり仲良しさん――。


『ふぁっ!? ふ、郁人様の今の笑顔やば』
『やっぱ病み上がりのせいか色気が凄まじすぎて……』
『い、いや、まだだ。まだ俺は耐えられるはずッ』


ん?
ヨロヨロしながら胸を押さえたり、顔を覆ったり、うずくまる生徒が何人かいるね。
貧血かなぁ。朝から騒ぎすぎだもんね皆、落ち着けー。


「くっ、俺様の誘いを二度も断るとはなんて奴だ、千賀郁人! だが俺様はもう絶対に諦めねぇぞッ」

「おおっ、会長が立ち上がった。というか前にも郁人に告白して振られたのかぁ。でもさ、しつこい男は嫌われるらしいぞ?」


うんうん、歩くんのありがたい助言をちゃんと聞いてほしいよね会長さん。それに『俺様のモノ』ってどゆこと。(偽)チャラ男は自由を愛するので誰のものにもなりませーん。そゆことは王道の歩くんにだけ熱烈に言ってほしいなぁ。
あと、会長の言動に驚いてた副会長さんが鬼の形相で俺を睨みつけてます。美人の怒り顔、怖っ。



「あーあ、まったくもう。僕の郁人が綺麗で可愛くて色っぽくて魅力的なのは、事実だし当然のことだから。皆が好きになっちゃうのもしょうがないよね。それは本当によくわかるよ。
でもね。
僕という、れっきとしたがありながら浮気なんてしちゃダメだからね、郁人」



「……は?」
「え」
「なん、だと」

『こっ、婚約者? 千賀郁人の……男!?』
『ハあァあぁ゙あ゙アーッ?!』

「ほ、本当ですか郁人様!」
「まさかの国際結婚……」
「あ、あのっ、郁人様はお婿さんですかお嫁さんですか、それとも白無垢orウェディングドレスですかッ」


アレクによる突然の『婚約者』発言。
そのせいで混乱(錯乱)状態になる一同。
うん、落ち着こうか。俺はお婿さん一択だし、白無垢もドレスも一生着ることなんてありませんっ。


「いや、アレクそれ」

「嘘です。それは郁人様か貴方のどちらかが女の子だった場合の仮定の話でしょ。それも貴方の父親が酒の席で酔って言い出しただけの、ほぼ冗談みたいな口約束だったとか。そんなものすでに無効ですし郁人様に婚約者なんていませんから!」

「えー? 僕は郁人が男でも全然構わないし、なんなら今すぐ結婚したいくらいだよ。ねえ本当にしちゃおっか郁人?」


事情を知ってる優ちゃんが全否定し、それをアレクが茶化す。うわぁ息ぴったり、この仲良しさんめ。
……実は優ちゃんとアレクってばお互いに初恋相手だったりしないかなぁ。久々の再会に照れて素直になれず、ついつい喧嘩腰になっちゃうけど本当は――。


『ぐほぁっ』
『ふ、郁人様の……魅惑の微笑みぃ……はぁんッ』
『おお俺はまだ、まだ……うっ』


んん?
また貧血の生徒達が増えたような。
それに鼻血出してる人もいるよね。
ちょっと待って、貧血なのに鼻血はまずいのでは。
うわぁ、どうしよう優ちゃーん。


「……郁人様。今変なこと考えたりしてませんよね、絶対にやめてくださいね」
(おい、とりあえず腐った妄想すんのやめろ。病み上がりでお前の殺人笑顔の威力が激増してんだよ。これ以上、余計な問題事を増やすな!)

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