117 / 124
終章
6
しおりを挟む
けれどまさか、そこへ別の第三者が現れるとは誰にも予想できなかったはず。
「うわっ」
「郁人!」「郁人様ッ」
突然ドンッという背後からの衝撃を受けて、つんのめる。
俺よりも大きい誰かが、のし掛かるように抱きついてきたせいです。危ないな、もぉ。
「ふーみとっ、会いたかった♪」
「え? んむッ」
くいっと顔を横に向けさせられた直後、唇にはやわらかな感触が。……あれ、デジャヴュ?
『うおおおおーッ!?』
『ぎゃああああーっ!?』
ほんの一瞬だけ静まり返り、そして再び爆発的に叫びだす周囲の生徒達。
えっと、さすがにうるさ過ぎないかな、これ。
というかこの挨拶の仕方はもしかして。
「んぅ、ちょっ……アレク?」
「ん。そうだよぉ久しぶりだね郁人。全然会いに来てくれないから代わりに僕が日本まで来ちゃった。しかも僕、今日からここの留学生だよー。よろしくね郁人♪」
そう言って俺の頬や鼻の頭やおでこ、さらには首筋にまでチュッチュッとキスをしながら抱きついてくるアレク。
いつのまにか俺よりも頭一つ分ほどでかくなっちゃった、大型の洋犬みたいな彼の正体は――。
「だ、誰だお前」
「郁人様ッ」
「え、外国人?」
「なっ、だ、誰ですかこいつッ!? 郁人様から離れろケダモノ!」
ギョッとする周りの反応に少し遅れて、ポカンと固まってた優ちゃんも叫びだす。
ちょこっと涙目になってませんか優ちゃん、どうどう。
ノア……はまだ固まってるね。なんか変な顔してるけど。
うおっ、やめて優ちゃん、無理やり俺の腕を引っ張らないで。背中にくっついてるアレクと引っ張り合ったら、俺が千切れちゃうからね!?
「んー? おやぁ、誰かと思えば“ひっつき虫”の優馬だ。何その話し方。おもしろー」
「は? ひっつき虫……って、まさかお前」
そうそう。
昔、来日中のアレクが覚えたての日本語『ひっつき虫』を連発して(なぜか俺を取り合って)優ちゃんと取っ組み合いの喧嘩になったことがあったんだよね。懐かしいなぁ。
んで、最後には確か二人ともギャン泣きしちゃったような……。
「優ちゃんも会うのは久しぶりだよね、覚えてるかなぁ。あ、皆にも紹介するね。この子は俺の従兄弟のアレクです」
「ふ、郁人様の従兄弟!?」
「そうだよぉ。っていうかアレク、本当に留学するの?」
「うん。それと僕、なるべく郁人のそばにいたいから同じ二年生として編入させてもらったんだ。優馬もよろしくー」
「はああ!?」
アレクは俺より一つ年下なんだけど、そういえば飛び級で高校を卒業したんじゃなかったっけ。あっちの大学はどうするんだろう。
「郁人の従兄弟……? で、でも今のキスは」
頬を染めた歩くんが困惑気味に問いかけてくる。
その隣で眉をひそめ、俺を睨みつける副会長。
うーむ。これは多分、アレクのことも俺同様に破廉恥な輩だとか思ってそう。
「日本と違ってアレクが住んでる国だとキスは挨拶だからねー。まぁ昔から少し他の人よりもスキンシップ過剰気味かなぁ、とは思うけど」
『す、少しか?』
『唇にするの? 挨拶で?』
『いや、どう見ても恋人の……』
確かに普通は頬やおでこくらいで、よほど親しい人同士じゃないと口への挨拶はしないんだよね。
でもアレクは初めて会った子供の頃からこんな感じだったし、従兄弟だし。
なんかもう慣れたというか、じゃれつくワンコみたいで可愛いから別にいいかなって。
え、やっぱりダメなの?
前に一度、口へのキスはやめよう、って言ったらすんごい悲しそうな顔で
「だめ? 絶対いや? どうしても? 郁人、俺のこと嫌いになった?」
と泣きつかれて……かわいそう過ぎて断れなかったんだよなぁ。うーん。(※だまされてます)
「と、とにかく郁人様から離れろアレク! いつまで抱きついてる気だッ」
「わわっ」
優ちゃんが強く俺の腕を引っ張り、アレクが「優馬うるさーい」とようやく解放してくれて。
バランスを崩しかけた俺の身体は、けれど優ちゃんとは逆の方向へ引っ張られ――
.
「うわっ」
「郁人!」「郁人様ッ」
突然ドンッという背後からの衝撃を受けて、つんのめる。
俺よりも大きい誰かが、のし掛かるように抱きついてきたせいです。危ないな、もぉ。
「ふーみとっ、会いたかった♪」
「え? んむッ」
くいっと顔を横に向けさせられた直後、唇にはやわらかな感触が。……あれ、デジャヴュ?
『うおおおおーッ!?』
『ぎゃああああーっ!?』
ほんの一瞬だけ静まり返り、そして再び爆発的に叫びだす周囲の生徒達。
えっと、さすがにうるさ過ぎないかな、これ。
というかこの挨拶の仕方はもしかして。
「んぅ、ちょっ……アレク?」
「ん。そうだよぉ久しぶりだね郁人。全然会いに来てくれないから代わりに僕が日本まで来ちゃった。しかも僕、今日からここの留学生だよー。よろしくね郁人♪」
そう言って俺の頬や鼻の頭やおでこ、さらには首筋にまでチュッチュッとキスをしながら抱きついてくるアレク。
いつのまにか俺よりも頭一つ分ほどでかくなっちゃった、大型の洋犬みたいな彼の正体は――。
「だ、誰だお前」
「郁人様ッ」
「え、外国人?」
「なっ、だ、誰ですかこいつッ!? 郁人様から離れろケダモノ!」
ギョッとする周りの反応に少し遅れて、ポカンと固まってた優ちゃんも叫びだす。
ちょこっと涙目になってませんか優ちゃん、どうどう。
ノア……はまだ固まってるね。なんか変な顔してるけど。
うおっ、やめて優ちゃん、無理やり俺の腕を引っ張らないで。背中にくっついてるアレクと引っ張り合ったら、俺が千切れちゃうからね!?
「んー? おやぁ、誰かと思えば“ひっつき虫”の優馬だ。何その話し方。おもしろー」
「は? ひっつき虫……って、まさかお前」
そうそう。
昔、来日中のアレクが覚えたての日本語『ひっつき虫』を連発して(なぜか俺を取り合って)優ちゃんと取っ組み合いの喧嘩になったことがあったんだよね。懐かしいなぁ。
んで、最後には確か二人ともギャン泣きしちゃったような……。
「優ちゃんも会うのは久しぶりだよね、覚えてるかなぁ。あ、皆にも紹介するね。この子は俺の従兄弟のアレクです」
「ふ、郁人様の従兄弟!?」
「そうだよぉ。っていうかアレク、本当に留学するの?」
「うん。それと僕、なるべく郁人のそばにいたいから同じ二年生として編入させてもらったんだ。優馬もよろしくー」
「はああ!?」
アレクは俺より一つ年下なんだけど、そういえば飛び級で高校を卒業したんじゃなかったっけ。あっちの大学はどうするんだろう。
「郁人の従兄弟……? で、でも今のキスは」
頬を染めた歩くんが困惑気味に問いかけてくる。
その隣で眉をひそめ、俺を睨みつける副会長。
うーむ。これは多分、アレクのことも俺同様に破廉恥な輩だとか思ってそう。
「日本と違ってアレクが住んでる国だとキスは挨拶だからねー。まぁ昔から少し他の人よりもスキンシップ過剰気味かなぁ、とは思うけど」
『す、少しか?』
『唇にするの? 挨拶で?』
『いや、どう見ても恋人の……』
確かに普通は頬やおでこくらいで、よほど親しい人同士じゃないと口への挨拶はしないんだよね。
でもアレクは初めて会った子供の頃からこんな感じだったし、従兄弟だし。
なんかもう慣れたというか、じゃれつくワンコみたいで可愛いから別にいいかなって。
え、やっぱりダメなの?
前に一度、口へのキスはやめよう、って言ったらすんごい悲しそうな顔で
「だめ? 絶対いや? どうしても? 郁人、俺のこと嫌いになった?」
と泣きつかれて……かわいそう過ぎて断れなかったんだよなぁ。うーん。(※だまされてます)
「と、とにかく郁人様から離れろアレク! いつまで抱きついてる気だッ」
「わわっ」
優ちゃんが強く俺の腕を引っ張り、アレクが「優馬うるさーい」とようやく解放してくれて。
バランスを崩しかけた俺の身体は、けれど優ちゃんとは逆の方向へ引っ張られ――
.
42
あなたにおすすめの小説
僕はただの妖精だから執着しないで
ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜
役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。
お願いそっとしてて下さい。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
多分短編予定
悪の策士のうまくいかなかった計画
迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。
今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。
そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。
これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに??
王子は跪き、俺に向かって言った。
「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。
そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。
「ずっと好きだった」と。
…………どうなってるんだ?
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
ひみつのモデルくん
おにぎり
BL
有名モデルであることを隠して、平凡に目立たず学校生活を送りたい男の子のお話。
高校一年生、この春からお金持ち高校、白玖龍学園に奨学生として入学することになった雨貝 翠。そんな彼にはある秘密があった。彼の正体は、今をときめく有名モデルの『シェル』。なんとか秘密がバレないように、黒髪ウィッグとカラコン、マスクで奮闘するが、学園にはくせもの揃いで⁉︎
主人公総受け、総愛され予定です。
思いつきで始めた物語なので展開も一切決まっておりません。感想でお好きなキャラを書いてくれたらそことの絡みが増えるかも…?作者は執筆初心者です。
後から編集することがあるかと思います。ご承知おきください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる