王道くんと、俺。

葉津緒

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第三章

23

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「え?」「なっ!?」「……あ」


キスマーク?
そんなのいつの間に、って自分の首もとを見ようとしたけど無理。グギギ、首痛いよーっ。
あ、歯型は少し見えた。くそぉバ会長め。
というか、それよりも。


「むぅ。千葉ちゃんいつの間にキスマークなんか……さすがホスト教師」

「――千葉、八つ裂き決定」

「俺も手伝いますよ優馬さん」

「そうだね、うん。やっぱりお仕置きしてあげないと本気で反省なんかしないよね」


なな何か皆、怖い。
よく分かんないけど、千葉ちゃんご愁傷様デス。



と、ふいに保健室の内線電話が鳴った。


「はい、第ニ保健室。え? ああ、はい分かりました」

「晴巳せんせぇ、お仕事の電話ー?」

「うん。食堂で騒ぎがあったらしくて、かなり興奮していたり軽いケガをした生徒がこれから沢山来るみたい。郁人くん達は教室に戻った方が良いね」


電話を切ってすぐに準備を始める晴巳せんせぇ。
食堂で騒ぎって、一体何だろう。
あと実は少し気になってたんだけど。


「晴巳せんせぇ、もしかして疲れているでしょ。俺に何か手伝えること無い?」

「ふふ、ありがとう郁人くん。でも大丈夫。まあ今日は午前中、異常に忙しくて大変だったのは確かなんだけどね」

「え、晴巳さんそうだったんスか?」

「うん。意気消沈っていうか憔悴しきった様子の生徒達が次々やって来て、皆いきなり泣き出しちゃうし。あ、そういえばやたら『郁人さまが』とか『転入生に』なんて言ってたけど郁人くん、心当たりある?」


んー。
心当たりと言われても、はて。
『転入生』って……あれ、何か大事なことを忘れているような。


「くっ!」

「あ、そうそう今の優馬くんみたいな感じだったよ? ここに来た生徒たち皆、落胆しつつ凄く悔しそうで」

「郁人さん、話聞いてないみたいですね。考え事っスかね。あの、優馬さん大丈夫ですか」

「るせー放っとけ! (チクショウ、思い出しちまったじゃねーか)」


転入生って、きっと歩くんのことだよね。
歩くんと言ったら王道くん。
うふふふ、ふへへへ。
ヤバイ、頬が緩んじゃうよー。
でも待望の王道くんなんだから仕方ないよね。
ついに王道展開の生BLがこの目で見れるんだよ、腐の付く人種にとってここはまるで天国ですかぁぁあ、って状況だもん。

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