王道くんと、俺。

葉津緒

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終章

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「郁人ーッ!」

「あ。歩くんだぁ、おはよー♪」


親衛隊の三人も一緒にのんびり登校しようねぇ、とお喋りしてたら今度は歩くんが駆け寄ってきましたっ。
さすがは王道くん、朝から元気だね!
真っ黒モサモサな頭(※かつら)と分厚い瓶底メガネ姿がとんでもなく目立ってるよぉ。


「ああ良かった郁人、風邪治ったんだよな? お、俺すっごく心配してたんだ。お見舞いに行きたかったんだけど、クラスの皆も紀幸も瑞穂にぃにもダメだって言われてさ。仕方なくずっと我慢して郁人の風邪が治るのを待ってたんだけど。でも俺、早く郁人に会って元気な顔が見たくて」

「そいつから離れなさい歩!」
「歩、急に走り出したら危ないだろ。頼むから、黙って俺の前からいなくなるなよ」

「み、瑞穂にぃ、紀幸……」


人だかりの向こうからは副会長の滝沢瑞穂さんと、同じクラスの氷川紀幸くんも姿を現しました。
慌てて追いかけてきたのかな、ちょこっとだけ呼吸が早い。ってことは三人で登校してたの?
ふふふ、なるほどぉ。
順調そうで何よりです♪

つかつかと近づいてきた滝沢副会長さんが、またもや俺から引き離すように、歩くんの腕をつかんで自分の後ろへと隠しちゃいました。
(相手は違うけど)まるっきり前回の再現な状況に周囲のざわめきも大きくなったよ。ふおおおっ!


「もう行きましょう、郁人様」


優ちゃんは何事もなかったかのように三人を無視しようとする。でもそれはちょっと無理だと思うよぉ。


「ま、待って、郁人」

「歩!」

「待ちなさい、千賀郁人。今すぐここで約束しなさい、二度と歩に話しかけたり近づいたりしないと。あなたのような下劣で醜悪な人間に、私の大事な歩を穢されたくはありませんから」

「瑞穂にぃ!?」


副会長の放った言葉で周囲がどよめく。
親衛隊の三人も一瞬息をのみ、騒ぎはじめる。


「な、なんてことを」
「いくら副会長様でも言って良いことと悪いことがありますッ」
「ひどい……勝手に近づいたのはあいつなのに!」


うわぁ、いつもの『下半身バカ』よりも辛辣なお言葉を頂戴しましたー。そう思われるように仕向けてるとはいえ、相変わらずの嫌われっぷりだね。
でもさすがに今はちょっとヘコむかも……。
しょんぼりしていると、隣で優ちゃんが怒り狂って震えてるのが見えた。やば。


「このくそ――」

「おい、忘れ物だ千賀郁人」

「へ?」


突然。
俺の斜め後方(ほぼ真横?)から目の前に突き出される何か。手渡されたのは、えーと、少し大きめの紙袋?
でもって俺のすぐそばに立っていたのは、なんと生徒会バ会長の橘飛鳥さんでした。い、いつのまに……。

驚きすぎて俺も優ちゃんも副会長も、この場にいる全員が固まってます。
ちなみに会長の位置は優ちゃんとは反対側の、俺の真横(隣り)だよぉ。近すぎない?


「飛鳥!?」「か、会長?」「は?」


わずかな静寂のあと、再び周囲が騒ぎだす。
おっと、優ちゃんがすんごい警戒してるね。サッと俺と会長の間に割り込みました。
(※副会長への怒りで、近づいてくる会長に気づけなかった反省を含む厳戒態勢)


「郁人様に、一体何を渡されたのですか会長様」

「見ればわかる」


うおっ、優ちゃんにすごい勢いで紙袋を奪われた。即ガサガサッと中身を取り出してます。
でも本当になんだろうね、確か『忘れ物だ』って。
優ちゃんの後方斜め上から一緒に覗き込むように見ると、出てきたのは制服? の上下?
あ。
もしかして忘れ物って、こないだ温室でシャワー浴びたときに脱いだ……。


「中身は制服と、なんですかこれ……下着? え。いや、でも会長様はさっき郁人様の忘れ物だって」

「こないだ脱いだ服をそのまま置いてったろ。一応クリーニングには出しておいたからな、千賀郁人」


えっ、下着まで出しちゃったの? お店の人困らない?
(※この学園内にはクリーニング店があるんだよ)
というかなんでバ会長が俺の服を回収してるのかなぁ。あとで自分で温室へ(遊びに行きがてら)取りに行くつもりだったのに。

しかも、今ここでそんなふうに言っちゃうと――

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