王道くんと、俺。

葉津緒

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終章

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――と、寮から校舎へ続く広い道(通学路?)の途中でこの二日間を振り返っていたら。
ん?
ふいに袖を引っ張られましたぁ。
下を見れば、笑顔の優ちゃんが指で摘んでるね。
え、うわ可愛い。


「いいか郁人。何度も言うがこれからは単独行動禁止だからな。必ず俺か、親衛隊の隊員複数人と共に行動するように。それが無理な場合でも極力信用できる相手と一緒にいてくれ。ただし、と接触しそうになったらすぐ逃げろ」


俺にだけ聞こえるような小さな声で話す優ちゃん。
あえて名前を出さないのは、俺への心遣いとか気遣いってやつかなぁ。


「とにかくお前はこれ以上、俺らに心配をかけさせるな。黙って大人しく隠れてろ。俺や親衛隊や慎平先輩に晴巳さん、少し気に食わねーが敦兼や祥太郎に千葉、土屋もノアも風紀委員長も。助けてくれる仲間はたくさんいるんだ、素直に守られ」

「あのね、優ちゃん」

「……なんだ」

「今言うのもアレだけど、俺今回のことでちょっと反省したんだよ」

「反省?」


疑うような目で俺を見る優ちゃん。
わあ、全然信用ないなー。


「えっとね、いつまでも隠れて逃げて守られてるだけじゃダメかなって。もっと俺自身が強くなって戦わなくちゃ。せっかく教えてもらった、いざというときのための護身術も全然やれなかったし。怖くて動けなくて震えて泣くことしかできなかった、とか本当に情けない話だよね」

「……」

「だから俺は、今よりもっともっと強くなりたいなって」

「……」

「ねぇ優ちゃん、また一緒に朝練とかしてみる?」


くすくす笑いながら子供の頃を思い出す。
小学生の頃、一緒に道場で練習していた俺達。
俺は全然強くなれなかったけど、優ちゃんはメキメキ上達してたっけ。


「……はあ。あーもうわかった。隠れて逃げて守られるのは大前提のままだが。確かに、いざという場面で本人が動けないんじゃどうしようもないよな。
お前がそこまで言うなら俺が鍛え直してやるよ。言っとくけど今まで以上に厳しくするからな、甘えんなよ」

「優ちゃん!」


嬉しさのあまり、えへへ、と笑いながら優ちゃんに抱きつく俺。
対して俺の大好きな幼なじみは、ほんのり頬を赤らめ、照れてるみたい。


「ちょっ、やめ……は、恥ずかしいです郁人様っ」


そんな可愛子ぶりっ子な演技も忘れないあたり、本当にさすがだよねー。



 ザワザワザワッ


『うおお、竹元優馬くんやっぱ可愛いわ。やば』
『俺……今の郁人くんと優馬ちゃん二人とHしたい。なんなら郁人くんをサンドイッチしたい』
『おいやめろ、くっそ興奮するだろが。あー、二人まとめて鳴かせてやりてぇ』


(ああ!? 勝手な妄想吐きだしてんじゃねーぞ、お前らなんか誰が相手にするかよ!
郁人となら……たまに俺が女役になってやっても、まあ、べ、別にいいけど。もちろん両想いになってからの話だけどな。あ。どうせなら俺が二人いれば俺Aが入れて、俺Bが入れられて、郁人の前も後ろも同時に気持ち良くできるし三人で楽しめて最高なんだが。
待てよ、そうすると逆も有りか? 郁人二人が俺を挟んで……。
い、いや。さすがにそれはダメだ。なんか色々と俺がダメになっちまいそうだし、やっぱ俺二人が郁人を可愛がる方向で!)
※優馬、脳内どピンク色の妄想中。



うん?
急に優ちゃんが無口になっちゃいました。
どしたんだろ。

不思議に思ってると、そこへ可愛らしい親衛隊の三人が近寄ってきたよぉ。
今日の挨拶係の子達かな。
三人とも俺よりちっちゃくて、頬を染めながら嬉しそうにニコニコしてる。可愛いー。


「郁人様、優馬隊長、おはようございます!」
「もうお身体の具合は大丈夫なんですか?」
「親衛隊全員、郁人様のことを心配してましたっ」

「おはよー。うわぁ、心配してくれてありがとー♪」


三人ともすごく可愛いし、嬉しかったのでハグ……

「ハグはダメですよ、郁人様?」

しようとしたら優ちゃんに止められました。
そういえば寮を出る前に優ちゃんから言われてたっけ。


『もしまだ風邪ウイルスが残ってて移したらどーする。俺らならともかく、あんなか弱い奴らを風邪で寝込ませる気か? かわいそうだろ』


とのことで、しばらくハグも禁止だそうです。
うーん、残念……。

.
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