「平凡な365日」番外編

葉津緒

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非凡な365日

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「あの別に、足の速さはアザラシと関係無いと思」

「ねぇ君、去年の学園祭で俺と会ったよね? あの時のこと覚えてる?」


お前もかチャラ男会計。


「えっと、それはその」

「なぁなぁ! お前本当にアザラシの奴なのか? 俺あん時、ちゃんとアザラシ見てなかったんだよなー。もっかい奇跡のアザラシジャンプとやらを見せてくれよ!」

「……」


転入生の場合、最初から人の話を聞かないし空気読まないし今更どうでも良い。
それよりも『奇跡の』って、何だ?


「おい何とか言えよ、わざわざ多忙な俺様がつまんねーお前なんかの為に時間を割いてやってんだ。さっさとアザラシジャンプでも何でもして見せろ!」



――――プチッ



「……せぇ」

「あ?」



「うるせえ! つってんだよこの糞が。人の話も満足に聞けねーのか。ああ、それともテメエは頭と存在だけじゃなく耳まで使えねぇって? ハハッ、だとしたら無理言った俺が悪いのかなぁ。本当にちゅみましぇんねー、バ会長くん?」


「えっ」

「な、何だ……と!?」



「あ」


あー、やべえ切れた。
思わず本音ぶちまけちった。
アハハ、どうすっかなこれ。


「へえぇ~アザラシ君は」
「こっちが素なんだぁ?」


……その笑顔の意味は何だ、ドッペル。
新しい玩具を発見した子供のような目つきでこっち見んな。


「ふぅん、なかなか面白そうだねキミ。中身と外見が一致してないようですし?」


副会長の笑みからは黒い何かを感じる。
げ、鳥肌立った。


「おい、離れろドッペル!」

「え?」
「へ?」



 シュッ ドゴッ



「うぎゃーっ!?」
「ふぎゃーっ!」

「チッ。俺様の蹴りを勝手に避けんじゃねーぞ、この平凡が」


ああ?
ふざけた事ぬかしやがってマジ最悪無能なバ会長だな、こいつ。
両腕にからんでいた双子をギリギリ振り払い、会長の蹴りをかわし立ち上がる。
おいおい、高そうなソファーに足がめり込んでるぞ。つまり手加減無しってことか、だったら俺も本気出していいよな?

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