腐男子完全計画!

葉津緒

文字の大きさ
19 / 28
其の四

19

しおりを挟む
「ま、待ってください。親衛隊総隊長である貴方には確か、全ての親衛隊への参加禁止のルールが」

「うん。だから僕が総隊長を辞めて、代わりに幸明くんを後任に指名するね」

「はああああ!?」


うおおっ、耳がキーンてなるううぅ。叫び声が、鼓膜が!
ここにいる全員が同時に大声出しやがって。見ろ、俺と周だけ両手で耳押さえて苦しんでるし。何で悠布は平気なの。

あれ?
ところで、今なんて言った?

悠布(平凡脇役あらためスーパー非凡脇役、総受けくん)が俺の親衛隊の隊長さんになって、代わりに俺(アンチ王道転入生)が親衛隊の総隊長になる、だ、と。
親衛隊とアンチ王道って犬猿の仲だよね。敵対してるよね。なのにアンチ王道が総隊長って何? どうして非凡脇役さまがアンチ王道の親衛隊長?!
というかそれもう、脇役じゃなくね。

……いや、実は非凡な親衛隊長さんが隊員や美形攻めたちから総愛されになったりするのも全然アリですぜ。むしろたまりませんな。うへへへ、じゅるりっ。

ハッ、違う。そゆことじゃなくて、ええとこれはつまり俺の壮大かつ緻密で腐的に素敵なこれまでの計画と涙ぐましい数々の努力が完全に水の泡――。


「ね、幸明くん。僕に守らせて?」


椅子に座る俺の顔をのぞき込むように少しだけ屈んだ悠布が、ハンカチでそっと目元を拭いてくれる。
えっ嘘、俺泣いてましたか。うわああぁ、は、恥ずかしすぎるッ。


「可哀想に、本当に泣いちゃうほど怖かったんだよね。でももう二度とこんな目に遇わせたりしないから。ね、お願い。僕が幸明くんの親衛隊長になること、許可してくれる?」


いや、別に怖かったから泣いた……の、かな。そうなの?
よしよし、って悠布が頭を撫でてくれた。いつもみたいにちょっと困った感じの笑顔にホッとする。


「ね、幸明くん。『はい』って言って?」


悠布の手、気持ちいい。優しい声がするし、良い匂い。
変だなぁ頭がうまく回んないや。何かすっごく疲れたかも。


「は、い……?」

「うん。ありがと幸明くん、 もう大丈夫。だから安心して休んでていいよ」


『休んでていい』という柔らかな悠布の声と、ぎゅっと抱きしめられるような感覚。

――を最後に、俺の意識は途切れた。



次に目が覚めるのは保健室で。
その間一体なにがあったのか、寝落ちしたらしい俺はこれっぽっちも覚えていないのでした。無念。




【其の四 終了】2018.5.29/2020.1 修正
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「王道くんと、俺。」番外編

葉津緒
BL
こちらは「王道くんと、俺。」の番外編になります。 会話文中心、if設定など。 ほぼパラレルワールド的な内容だと思ってお読み頂ければ……。 全寮制学園/王道/脇役/美形/腐男子/偽チャラ男/親衛隊持ち/訳あり/攻め複数 ※先に「本編」をお読みになってからご覧ください。 ※一部、記号や擬音を使用しています。苦手な方は回避をお願い致します。

台風の目はどこだ

あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。 政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。 そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。 ✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台 ✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました) ✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様 ✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様 ✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様 ✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様 ✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。 ✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)

果たして君はこの手紙を読んで何を思うだろう?

エスミ
BL
ある時、心優しい領主が近隣の子供たちを募って十日間に及ぶバケーションの集いを催した。 貴族に限らず裕福な平民の子らも選ばれ、身分関係なく友情を深めるようにと領主は子供たちに告げた。 滞りなく期間が過ぎ、領主の願い通りさまざまな階級の子らが友人となり手を振って別れる中、フレッドとティムは生涯の友情を誓い合った。 たった十日の友人だった二人の十年を超える手紙。 ------ ・ゆるっとした設定です。何気なくお読みください。 ・手紙形式の短い文だけが続きます。 ・ところどころ文章が途切れた部分がありますが演出です。 ・外国語の手紙を翻訳したような読み心地を心がけています。 ・番号を振っていますが便宜上の連番であり内容は数年飛んでいる場合があります。 ・友情過多でBLは読後の余韻で感じられる程度かもしれません。 ・戦争の表現がありますが、手紙の中で語られる程度です。 ・魔術がある世界ですが、前面に出てくることはありません。 ・1日3回、1回に付きティムとフレッドの手紙を1通ずつ、定期的に更新します。全51通。

もう観念しなよ、呆れた顔の彼に諦めの悪い僕は財布の3万円を机の上に置いた

谷地
BL
お昼寝コース(※2時間)8000円。 就寝コースは、8時間/1万5千円・10時間/2万円・12時間/3万円~お選びいただけます。 お好みのキャストを選んで御予約下さい。はじめてに限り2000円値引きキャンペーン実施中! 液晶の中で光るポップなフォントは安っぽくぴかぴかと光っていた。 完結しました *・゚ 2025.5.10 少し修正しました。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

罰ゲームって楽しいね♪

あああ
BL
「好きだ…付き合ってくれ。」 おれ七海 直也(ななみ なおや)は 告白された。 クールでかっこいいと言われている 鈴木 海(すずき かい)に、告白、 さ、れ、た。さ、れ、た!のだ。 なのにブスッと不機嫌な顔をしておれの 告白の答えを待つ…。 おれは、わかっていた────これは 罰ゲームだ。 きっと罰ゲームで『男に告白しろ』 とでも言われたのだろう…。 いいよ、なら──楽しんでやろう!! てめぇの嫌そうなゴミを見ている顔が こっちは好みなんだよ!どーだ、キモイだろ! ひょんなことで海とつき合ったおれ…。 だが、それが…とんでもないことになる。 ────あぁ、罰ゲームって楽しいね♪ この作品はpixivにも記載されています。

全速力の君と

yoyo
BL
親友への恋心に蓋をするために、離れることを決めたはずなのに

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

処理中です...