音無響一の日常

音無響一

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人助けin自転車屋さん

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当時の俺は自転車通勤だった。

もちろん電動だ。

自転車の空気圧、あれってなかなか入れに行かないよな。

入れたいな~と思って放置することって多いと思う。

俺だけかもしれないが、俺はそういうめんどくさがり屋なとこが多くある。

そんなある日の夜勤の出勤前だ。

天気のいい小春日和の平日の昼間。

颯爽と走りながらふと思い出す。

そうだ、自転車屋へ行こう。






ところでみんなは自転車は好きか?

俺はそうだな。

嫌いだ!

冬は寒いし夏は暑い。

当たり前のことだがそれが辛い。

雨の日も風の日も来る日も来る日も自転車に跨り駆け抜ける。

電車通勤も嫌だが自転車通勤も嫌になる。

ワガママなんだろうか。

なんなら職場に住みたいとすら思う。

職場徒歩0分。

魅力的すぎるな。






みんなは感覚派か理論派どちらだと思う?

俺は断然感覚派だ。

数ある脳タイプ診断でも感覚派となるくらい超がつくほどの感覚派だと自覚している。

なんでこんなこと聞くのかって?

ははは、意味なんてない。

俺は感覚派だからな、急に思いついたことを話すんだ。

だから未完のラノベがゴーロゴロ⋯⋯⋯

楽しみにしている方たち、本当に申し訳ございません。

なんか思いついたら複数話書いてみたくなるんです。

なので俺の書いているラノベは構成とか全くなくて、思いついたことをそのまま書きなぐってる。

それを伝えたかったんだ。

1番長く続いてる追放勇者ってやつも、夜中の深夜テンションで思いついたからサラッと3話くらい書いたんだ。

そしたらなんかねぇ、ノクターンノベルズの方で大バズりよ。

日間3位とかもうチビるかと思ったね。

それ以降は鳴かず飛ばずで悲しみ。

アルファポリスでも追放勇者は22位?23位?そのくらいが最高位だったな。

えろなしで俺も最初は書いてたはずなんだがなぁ。

やっぱり書いてみたらえろの才能はあったらしい。

男はみんなえろが好き。

おあとがよろしいようで。

いや、よろしくないんだ、本題はここからだ。

では、俺の人助けエピソード、お楽しみください。

今回のはマイルドというか、人助け?みたいな感じかな。

ではどうぞ~







自転車のタイヤに空気を入れるタイミングってなぁ、なんかないんだよな。

まぁ俺が早起きしないのがいけないだけ、めんどくさがり屋なだけなんだが。

今日は少しだけ早めに出たし、サクッと入れに行こうじゃないか。

家から自転車で5分しかかからない。

近いのに行かない。

でも今日の俺は行く。

なんせ空気がスカスカだ。

電動なのにペダルが重く感じるとはこれ如何に。

ってな訳で到着っと。






某有名自転車チェーン店へと着く。

昼なのに朝日が眩しい、そんな自転車チェーン店だ。

店舗の入口前に無料の空気入れが置いてある。

自転車屋さんのこういうのは本当に助かるよな。

昭和や平成初期なんか自分達で空気入れを買うのが普通だった。

各家庭に必須、とまではいかないが、持っていた家庭は多かったんじゃなかろうか。

店前にある空気入れはもちろん自動のやつだ。

その前に女子中学生だろう女の子が立ち尽くしている。

どうして中学生とわかるかって?

そんなの俺が変た⋯もとい、観察力があるとかそういう問題じゃない。

顔の幼さ、制服と靴と靴下、その他でどうやっても読み取れるだろう。

それすら気付けないようなやつはボーッと生きすぎだ。

コスプレした童顔の成人女性の可能性もあるだと?

だったらもう俺の負けでいい。

煮るなり焼くなり好きにすればいい。

でもタタキはやめて!

このギャグを懐かしいと思うやつ。

全員友達だ。

おっと、また話しが逸れたな。







なんだ?なぜただ何もせず立っている?

よく分からないがこれから入れるのか?

順番を抜かす訳には行かないからな。

近づきすぎず、だが俺も空気を入れるんだとアピールできるであろう適正距離を見抜く。

適正距離────

────適当だ。

そんな距離で立ちながら俺も順番待ちをする。

数秒後だろうか、女子中学生がこちらを確認する為なのか顔を向けた。

見るからに不安そうな顔をしている。

ちらっと俺を見て、また空気入れのホースの前で立ち尽くしている。

自動空気入れの近くには手動で入れる昔ながらの空気入れも置いてある。

どちらか使えばいいだろうに。

夜勤前に自力で手動で入れるヤツを使うのは疲れるからいやだな。

⋯⋯はっ、そういうことか。

こんな背の高い男が後ろにいるから怖い、のか?

くっ、一瞥するだけでおじさんの心を抉るなんてやるじゃないか。

適正距離が間違ってたとでも言うのか。







しばらく待つが女子中学生は立ち尽くしたままだ。

視線はずっと自動空気入れを見ている。

さすがにこれ以上待つのは辛い。

少し身を乗り出し、自動の空気入れを見る。

何か違和感を感じるな。

なんだろうか。

異常事態ではないが、俺の脳は多少回転してそれを眺める。

すぐにピンと来た。

自動空気入れの空気を入れる金具部分が付いていないんだ。

その金具部分がないと空気を入れられるわけない。

そりゃどうしていいか分からなくなるよな。

だが店員さんに聞きに行けばいいだけのことじゃないか。

なぜ立ちつくしたままなんだ?

俺が店員さんを呼びに行くのはいいが、俺も夜勤に行かなければならん。

中学生の代わりに店員を呼びに行く時間が勿体無い。

ここは俺が少しアドバイスをした方がいいのだろうか。

────ふぅ、やるか。








「これ、空気を入れられそうにないから、店員さんを呼んできた方がいいよ。俺は時間もないし、こっちの手動のやつでやるからさ」

「は、はい⋯⋯」

「君も自分で入れる方が早いぞ?」


俺の言葉を聞いた中学生はぺこりと少し腰を折り、店内に入って行く。

その後ろ姿を確認し、俺は手動の空気入れを手に取った。

さてと、さっさと入れないとな。

仕事の時間に間に合うとは言え、のんびりすることはできない。

屈んで空気を注入するところに金具を取り付ける。

立ち上がり。空気入れのレバーを上に引き上げる。

入れる時のコツは、手の力だけで入れようとしないで、背筋を使い上半身ごと押し込むことだ。

小さい頃はそれが分からず一生腕力でやっていたような気がするな。

では何年ぶりだか分からないが、入れちゃいますか。

いざ!






力を込めようとした瞬間、店内入口の自動ドアの開く音が聞こえる。

あの中学生が帰ってきたのか。

それにしても早くないか?

ちらっと後ろに目をやると、その子ひとりで店内から出てきた。

そしてまた自動空気入れの前で黙って立ち尽くしてしまった。

何しに行ってきたんだ?

これは異常事態ではないが、状況を整理理解するために脳が高速回転した。

一瞬で予想をひとつ立てた。

さっきも言ったが感覚派だ。

思ったことを言ってしまうことが多い。


「店員さん呼ばなかったの?」

「⋯⋯⋯⋯はい⋯⋯⋯⋯」


さて、どうしたものか。







予想は当たったんだがなぁ。

恐らく恥ずかしくて声を掛けられない、若しくは忙しそうな店員さんに声を掛けづらい、こんなとこだろう。

手動でやる提案にも乗らなかったんだ。

恐らく使い方が分からないんだろう。

それじゃあこの子はずっと空気を入れられないままじゃないか。

この子の自転車であろうタイプは後ろに籠がついてる所謂ママチャリだ。

こんなの女子中学生が乗るか?

俺の予想ではこうだ。

母親に空気入れてきてとお願いされたのだろう。

こんな予想が正解かどうかはどうでもいい。

どちらにせよ予想通りなら、入れて帰らなかったら怒られる、若しくは自分の自転車だとしても電動ではないから走りづらい。

まぁデメリットしかないな。

こんなことを一瞬で考えた俺のとった行動は────






「ふぅ、じゃあおじさんが入れてあげるか。使い方を教えてあげてもいいんだが、今日はあいにく時間が無いから、サクッと入れちゃうな」

「え、え?」


まぁそりゃ戸惑うよな。

知らんおじさん(30代半ば)がさっきから話しかけてきてるのだって嫌だろうに。

それなのに空気を入れてくれる、なんて言われても、何が起こったか分からんだろう。

もはやこれが事故だなこの子にしたら。

あたふたしている中学生を無視し、俺はその子の自転車に空気を入れていく。

金具を取り付け、身体でレバーを押し込み空気を送り込む。

前も後ろもパンパンだ。

なんか言い方が卑猥だな。

まぁ気にするな。








「ほら、おわったよ。これで大丈夫だ」

「えっ、は、はい⋯」


悠長に話してる場合じゃない。

自分のを入れないとな。

自分のを入れてる途中で気付いた。

その子は何故かまた立ち尽くして帰らない。

立ち尽くす趣味でもあるのかこの子は。


「もう帰っていいんだよ?」

「いえ、その⋯⋯⋯」


まぁいいか。

とりあえずズボズボ押し込み、前も後ろもパンパンだ。

うむ、卑猥だな。






空気入れを元に戻し自転車に跨る。

まだいる中学生。


「あ、あの!」

「うん?」

「ほんとに、ほんとに、ありがとうございました!」


なんだなんだ。

お礼を言うためだけに俺が終わるのを待っててくれたのか?

律儀な子じゃないか。


「どういたしまして。お節介かもだけど、ご両親やおじいちゃんおばあちゃんに空気入れの使い方を習うといい。何であろうといざという時に役に立つからね」

「は、はい!」

「じゃあおじさんは仕事に行かないとだから。さよなら」

「さよなら!」


そして俺は颯爽と駆け抜けた。









fin.実話です
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