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第三話「いきなり追放!?」

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「あ~……お主か。まだおったのか。お主はな」

 ゾルサスが語る俺のステータスは。


天原翔
種族:人間
クラス:遊び人
Lv:1
称号:性の伝道師、夜の王、神に愛されし者
STR:C
AGL:C
VIT:C
SEN:C
INT:C
MEN:C
LUC:SSS
APP:SSS+
MAG:C

種族スキル
天上の美
超美声
なし

スキル
避妊魔法B

ユニークスキル
性の伝道師
夜の王
神に愛されし者


 あれ~?
 運と魅力以外がCランク?
 Cランクってどんなもんか知らんけど、平凡レベルってことだよねぇ?

「あ~……なんかもう、凄いのが来ちゃったのぅ」
「えぇ……本当に」

 凄いって、めっちゃ強いって意味ですよねぇ?

「YOUは何しにこの国へ?」
「オールCランク……まぁ悪いわけではないのですが、あの四人と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまいますな」
「見劣りというかなんというか、もう、なぁ?」
「はい、ただの雑魚ですな」
「確か、一般兵士でもフィジカルの最低基準がオールCランク以上じゃったよなぁ」
「そう規定しておりますなぁ。それでも何かしらの得手不得手があってどれか一つくらいはBランク、最低でもCランクプラスが一つくらいはあるものなのですが」
「一般魔術兵の最低基準もフィジカル以外がオールC以上だったかのぅ?」
「魔術師志望なら知力や魔力、どれか得意なもの一つくらいは最低でもBランクはあったりするものなんですがなぁ」
「ってことは」
「はい、はっきりと申し上げましょう。雑魚でございます」

 酷くね?

「得意な分野も運と魅力って……」
「しかも遊び人と来ましたか、こりゃぁ……」
「確か、戦闘に役立つスキルなど一つも覚えない。どころか生産性のあるスキルの一つさえ身につけられないクズクラスだったか」
「はい。まさしく穀潰しの外れクラスでございますな」
「その上Lvも1とは、今時9歳児でもLv5は行ってるというのに」
「私が9歳の頃にはLv12は行ってましたな。むしろ9歳児に失礼ですぞ」
「ぷぷっ、それは言ってやるなよゾルサスぅ~。可哀想じゃんかぁ」
「だぁーっはっは。だって仕方ないじゃないですか、こんなゴミが一匹間違って召喚に紛れ込んでたんですからぁ」

 がーっはっはと二人は笑いながら俺を馬鹿にし続ける。

「……ど、どんまい翔っち」
「あぁ、ありがとよ」

 肩にポンと置かれた手に触れながら蓮水を見つめ微笑む。

「!?」

 目と目が合ったその瞬間、急に目を見開き顔を真っ赤にしながらシュバっと距離を取る蓮水。

「どうした?」
「……な、なな、なんでも……にゃい」

 そのまま蓮水はうつむいてしまった。
 どうしたんだろう?

「ところでゾルサスよ、レジェンドスキルは無いにしてもユニークスキルは沢山あるようだな」
「えぇ、しかしユニークスキルとはいわば称号のようなもの。特定のカテゴリに収まるいくつかのスキルを集めたものが得られるいわゆるトロフィー的なものでして」
「ふむ、レアスキルほどではないという事か」
「はい、珍しくはあるのですが、レアスキル以下ですな。まぁ、そもそもレジェンドスキルを持たない時点で先の四人と比べればもうハエの如きものかと」

 酷い言われ様だ。
 あの神野郎、適当な仕事しやがったのか?

「ちなみにですがな。ユニークスキルは数も多くかつ珍しいのでほとんどが私にもわからないものばかりなのですが、一つだけ、わかる事がございます」
「ほぅ、申してみよ」
「性の伝道師は、いかがわしいスキルを極めし者だけが得られる称号だと言われております」
「い、いかがわしいとな?」
「はい、例えば性的魅了のSランク、性技のSランク。あと考えられるものとしましては、性豪のSランクなどではないかと」
「なんと破廉恥な!」

 ゾルサスの言葉に、黒峰と月宮が女子二人の前にかばうように立つ。
 おいおいおい、俺はまだ何もしてないぞ。

「このまま野に放せば何をしでかすかわかりませんぞ」
「能力値もほぼほぼ一般人レベル。兵としても使えぬしのぅ」
「兵だなんてとんでもない、女性兵を手篭めにされるのがオチですぞ!」
「どうしたものかのぅ」
「運と魅力以外とりえなし。まさかクラスも遊び人、しかもLvが1だなんて!」
「スキルもなんじゃこりゃ。避妊魔法?」
「何するために召喚されたのやら」
「ナニをするために来たと申すか」
「クソですな」
「とりあえず、何をさせるにしても危険じゃ。まずはおなごを近づかせぬようにせねば」
「夜の王に神に愛されし者……は!? まさか!! 触れただけでおなごを妊娠させる能力とかやもしれませぬぞ」

 妊娠と言う言葉にビクッと震えて頬を赤く染めながらこちらをみやる蓮水。
 視線を合わすと、顔を真っ赤にさせながらそっと目をそらす。

「ゆず……! お前まさか」
「な、なんでもないよ黒っち。な、なんでも……ないから」
「てめぇ! ゆずに何しやがった!!」

 いきなり、黒峰が一瞬の跳躍で俺の目の前に現れると、景色が吹き飛んだ。

 そう、景色が吹き飛ぶ。表現としてはそれが最適だった。
 なぜなら、気がつくと俺は壁に叩きつけられていたからだ。
 ユニークスキルのせいだろうか? 痛みは無い。なのでちょっとびっくりした程度だ。
 けど、それにしてもいきなり殴りかかるってのは無くない?

 なぜ殴ったってわかるかって?
 遠くに、いかにも拳を振りぬきましたって姿勢で黒峰が立っていたからだ。

「よくもゆずに、てめぇ!!」
「やめて黒っち!!」

 蓮水の制止の声も聞かず、再度跳躍した黒峰は一瞬で俺の前に現れ、腹に強烈な一撃を叩き込む。
 何度も、何度も拳を叩き込まれ、血反吐を吐いて倒れ伏した俺を見下ろす黒峰。

 痛みは無い。けど動けない。
 体が壊れているようだ。
 けどじわじわと感覚を取り戻しつつある。
 なんていうか、傷が徐々に回復してゆくのを感じるのだ。
 自己再生能力でもあんのかな?

 そして、そんなボロボロの俺に駆け寄る影が一つ。

絶対回復アヴァロン!!」

 暖かい光と共に、目の前に良い香り。

「よかった」

 にっこりと微笑む天王寺さんの姿があった。

「ほぉ、さすがですな」
「これは良い戦力になりそうだ」

 俺が死に掛けた事なんてノミの産毛ほども気にしないていで王とゾルサスは帝国の未来を思い描いているようだった。

「ありがとう」

 ぶっちゃけ痛くもなかったし、怪我もなんか自動で回復しかけてる感じだったけど、回復の能力を使って貰った訳だからお礼をする。
 礼儀だからね。
 天王寺さんの手を握り、感謝の言葉を伝え、微笑んだ。

 すると、

「あ、わ、わ。当たり前のこと、しただけだからっ。勘違いしないでよねっ」

 顔を真っ赤にして逃げていってしまった。

「貴様! 天王寺にまで!!」

 今度はなぜか月宮が怒り出した。
 お前も天王寺さんがマドンナか! 渡さんぞ!

 かるるっと心の中で威嚇すると、なんか雲行きが怪しい。

 黒峰と月宮が蓮水と天王寺さんの前に立ちふさがり、なんか怖い顔してる。

 そして、

「王よ。提案がございます」

 月宮がその言葉を口にしたのだ。

「我らが忠誠が欲しくば、この男を幽閉してください」

 は?

「さすれば我らは、元の世界への帰還が可能となるまで汝らの力となりましょう」




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