【完結】クリスマス・ナンバー・ナイト

野村にれ

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「じゃあ、映美と充にも同じ額を目の前で返させてよ」
「は?」
「二千万くらい?一括で、贈与税も掛かるんじゃない?まあいいけど」
「あの子たちは無理よ」
「じゃあ、私も嫌よ」
「お前は持っているんだったら」

 今、何をしているのか、どこにいるのかも分からないが、そんなことはどうでもよく、お金を持っていそうな塔子にしか興味はなかった。

「親じゃなくて、乞食なの?」
「何だと!」
「血圧が上がって死ぬわよ?死にたいの?Good bye」

 どうなるか分からないが、前よりも不健康そうな様子に、二人の先は長くないだろうと、嘲笑いに会いに来ただけだった。

 二人は待て、話が終わっていないと言っていたが、塔子は無視して、実家の鍵を置いて出て行った。

 塔子を保証人にして、お金を借りればいいと考えたが、塔子の住所も分からないために、さすがに闇金で借りるのは不味いという理性はあった。

 結局、映美にも充にも塔子の愚痴を言いながら、仕送りをするように言うも、二人ともそんな余裕はなかった。

 映美も充も塔子にお金があると分かって、連絡をしようとしたが、繋がらないことに気付いた。友人伝手にと思ったが、塔子の友人など誰一人と知らなかった。

 塔子はアメリカ人の男性と結婚しており、子どもにも恵まれていた。

 結婚が目的ではなかったが、家族と縁を切るにもいいかも知れないという打算もあった。きっと恵まれた人生だと言われるのだろう。

 だが、ただ生きていくのが馬鹿馬鹿しくなかったという気持ちにはならなかった―――。

 元の世界の日本では夢奈はキャバクラで働くことでお金は得られたが、それ以上にクレジットカードで出費を重ねて、大学にも進級できなくなり、花乃と喧嘩ばかりしていた。

 考えなしで夢奈が働いたことで、ひとり親の手当ても減らされて、車も維持できなくなったために、手放すことになっていた。

 切羽詰まって、何度も塔子にも連絡をしたが、ブロックされたままだった。

 礼二郎にも頼ったが、礼二郎は塔子よりも関係のない間柄で、こちらも断られることになる。

 身の丈にあった生活をしていれば良かったのに、困ったら助けてもらえるということが染み付いていた花乃にはこんなのおかしいと思うことをやめられなかった。

 夢奈には無理だが、姫奈になら塔子の遺産をとも考えたが、いつになるか分からない。今困っているのに、どうにもならない。

 結局、夢奈は借金で大学をやめるしかなく、家を出て行き、花乃は姫奈と慎ましく暮らすしかなかった―――。

 尚垣梢は浮いた存在になりながらも、家族とは離れずに暮らしていた。

 お金には気を付けたが、人との距離はおかしいままだった。

 だが、ママ友など一生続くわけでもなく、コミュニティはなくなっていった。

 ならば友人たちにも矛先が向いたが、誘われた友人も久し振りだから会ってみようかとは思ったが、一度目は良かったが、次はいつにするという連絡が面倒になっていた。

 ママ友も友人も忙しいと断られるようになり、それでもいつが休みか、少しでもいいと必死になっており、それでもたまに会ってくれる人もいたために、まだ良かっただろう。

 家族に向ければいいのだが、家族はお金のことを気を付ければ大丈夫と思っており、日々の生活で安心していた。

 大きくなれば、梢の異常さは子どもたちの耳に入ることもあり、少しずつ距離ができて行き、それでもママ友と友人のSNSのチェックは欠かさず、自分のいないところで何か行われていないか、監視を続けていた。

 気付けば、子どもたちは巣立っていき、夫と二人になったが、会話もなくなっていった。

 離婚こそしなかったが、一緒にいる必要はないような状態のままで、家族という点では違う形で上手くはいかなかった―――。


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本日も、お読みいただきありがとうございます。

最終回の本日は12時と17時に更新いたします。

最後までどうぞよろしくお願いいたします。
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