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【テイラー】招待
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「証拠や手掛かりはないままだよな?」
「…はい、申し訳ございません」
結局、アイルーンが殺されたという証拠は何も見付かっていない。
「自白剤を使いますか?」
「ああ…そうするしかないだろうな」
「許可は得たのですよね?」
ライシードは聞かされてはいないが、妃の当主などを呼んでいることから、おそらく自白剤を使うつもりなのだろうと察していた。
「ああ、まず使う相手は決まっているのだが…」
ディオエルは情けないことではあるが、自白剤に頼るしかなかった。まずはペジリーに使い、ラオイの名前や他の名前も出れば、その者たちにも使うつもりでいた。
「私が聞いても答えを持っていない。テイラー嬢に聞いて貰った方が良いのだが…難しいだろうな」
「殺された場所でしょうからね」
「ああ…」
しかも、おそらくミリオン王国からでは日帰りは難しい。そうなれば、殺された国に泊まることになってしまう。
「どなたかミリオン王国の信頼できる方に付き添って貰って、来ていただくことは出来ないでしょうか」
「そうだな、交渉してみよう」
ディオエルはギリシス国王に、疑わしい者に自白剤を使うので、テイラー嬢に誰か信頼が出来る者と共に同席して貰えないかという手紙を書いて送ることにした。
手紙を受け取ったギリシスは、待っていましたとばかりに開いて読むことにした。
ギリシスはシュアリアに勝手に決めてなりませんよと言われていたために、手紙を持って行き、話をすることにした。
「デリア侯爵が良いだろう」
「悪くはないと思いますが、テイラー嬢に聞いてからの方がよろしいでしょう」
「ん?いや、エイク子爵の方が良いのか?」
ギリシスはいくらアイルーンの記憶があっても、テイラーの親はエイク子爵夫妻なのだから、エイク子爵の方が良いのかと首を捻った。
だが、既に籍は抜けていると言っていたために、どちらがいいだのだろうかと、さらに首を捻った。
「そうではありません。まずはテイラー嬢の意思や予定を聞いてからでしょう」
「そんなもの、どうとでもなるだろう」
「間違えでもしたら、きっと彼女は動きませんよ。貴方が責任を取れるのですか?」
「っな」
「彼女は命を盾にしているのでしょう?今度はあなたに殺されたと言われてもいいのですか?皇帝に好かれるどころか嫌われますよ」
ギリシスは常々、竜帝国と密な関係を築くことを望んでいる。
「だが、相手は皇帝なのだぞ?従うの筋だろう」
「そうではないことは、あなたも見たのでしょう?違いますか?殺された記憶がある人間など、まず、おりません。それを抱えて彼女は生きているのですよ?最大限の配慮をすべきでしょう?」
「生きているではないか」
シュアリアはそんな風に考えていたのかと、呆れるしかなかった。
ギリシスは横暴な国王ではないが、自分の考えを押し付ける傾向にあり、シュアリアは何度も苦言を呈してきていた。
「あなたが横暴な態度を取れば、テイラー嬢がそれを皇帝に伝えるかもしれませんよ?それでもいいのですか?」
「それは…」
「テイラー嬢もですが、アイルーン嬢のことに関してはデリア侯爵が一番知りたいことでしょう。私がまずはテイラー嬢に意見を聞いてみますから、皇帝陛下にはテイラー嬢に聞いてみると返事をなさってください」
「…だが」
「私が話します」
「分かった」
シュアリアは侍女を使って、テイラー嬢を仕事が終わり、目立たぬ馬車と護衛を用意して、王宮まで連れて来て貰った。
シュアリアはテイラーとは初対面になる。
「わざわざ来て貰ってごめんなさいね、帰りもきちんと送りますから」
「ありがとうございます、よろしくお願いいたします」
「本当ね、アイルーン嬢と瞳の色が同じね」
シュアリアはテイラーの瞳に、アイルーン・デリアの姿がよみがえった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は、1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
「…はい、申し訳ございません」
結局、アイルーンが殺されたという証拠は何も見付かっていない。
「自白剤を使いますか?」
「ああ…そうするしかないだろうな」
「許可は得たのですよね?」
ライシードは聞かされてはいないが、妃の当主などを呼んでいることから、おそらく自白剤を使うつもりなのだろうと察していた。
「ああ、まず使う相手は決まっているのだが…」
ディオエルは情けないことではあるが、自白剤に頼るしかなかった。まずはペジリーに使い、ラオイの名前や他の名前も出れば、その者たちにも使うつもりでいた。
「私が聞いても答えを持っていない。テイラー嬢に聞いて貰った方が良いのだが…難しいだろうな」
「殺された場所でしょうからね」
「ああ…」
しかも、おそらくミリオン王国からでは日帰りは難しい。そうなれば、殺された国に泊まることになってしまう。
「どなたかミリオン王国の信頼できる方に付き添って貰って、来ていただくことは出来ないでしょうか」
「そうだな、交渉してみよう」
ディオエルはギリシス国王に、疑わしい者に自白剤を使うので、テイラー嬢に誰か信頼が出来る者と共に同席して貰えないかという手紙を書いて送ることにした。
手紙を受け取ったギリシスは、待っていましたとばかりに開いて読むことにした。
ギリシスはシュアリアに勝手に決めてなりませんよと言われていたために、手紙を持って行き、話をすることにした。
「デリア侯爵が良いだろう」
「悪くはないと思いますが、テイラー嬢に聞いてからの方がよろしいでしょう」
「ん?いや、エイク子爵の方が良いのか?」
ギリシスはいくらアイルーンの記憶があっても、テイラーの親はエイク子爵夫妻なのだから、エイク子爵の方が良いのかと首を捻った。
だが、既に籍は抜けていると言っていたために、どちらがいいだのだろうかと、さらに首を捻った。
「そうではありません。まずはテイラー嬢の意思や予定を聞いてからでしょう」
「そんなもの、どうとでもなるだろう」
「間違えでもしたら、きっと彼女は動きませんよ。貴方が責任を取れるのですか?」
「っな」
「彼女は命を盾にしているのでしょう?今度はあなたに殺されたと言われてもいいのですか?皇帝に好かれるどころか嫌われますよ」
ギリシスは常々、竜帝国と密な関係を築くことを望んでいる。
「だが、相手は皇帝なのだぞ?従うの筋だろう」
「そうではないことは、あなたも見たのでしょう?違いますか?殺された記憶がある人間など、まず、おりません。それを抱えて彼女は生きているのですよ?最大限の配慮をすべきでしょう?」
「生きているではないか」
シュアリアはそんな風に考えていたのかと、呆れるしかなかった。
ギリシスは横暴な国王ではないが、自分の考えを押し付ける傾向にあり、シュアリアは何度も苦言を呈してきていた。
「あなたが横暴な態度を取れば、テイラー嬢がそれを皇帝に伝えるかもしれませんよ?それでもいいのですか?」
「それは…」
「テイラー嬢もですが、アイルーン嬢のことに関してはデリア侯爵が一番知りたいことでしょう。私がまずはテイラー嬢に意見を聞いてみますから、皇帝陛下にはテイラー嬢に聞いてみると返事をなさってください」
「…だが」
「私が話します」
「分かった」
シュアリアは侍女を使って、テイラー嬢を仕事が終わり、目立たぬ馬車と護衛を用意して、王宮まで連れて来て貰った。
シュアリアはテイラーとは初対面になる。
「わざわざ来て貰ってごめんなさいね、帰りもきちんと送りますから」
「ありがとうございます、よろしくお願いいたします」
「本当ね、アイルーン嬢と瞳の色が同じね」
シュアリアはテイラーの瞳に、アイルーン・デリアの姿がよみがえった。
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本日は、1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
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※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
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