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【テイラー】レッドブラウンの瞳6
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「ミリオン王国へ、アイルーンの件で賠償などはしないでください。既にしていただいているはずですから」
「だが」
「アイルーンとあの子の命がお金になっているようで、気分が悪いのです」
その言葉に込み上げるものを感じたのは、ルーベンスであった。
いくら使ってはいないとはいえ、責任の取り方は限りがあるとはいえ、受け取った時点で命がお金に変わったと、思われていたのだと苦しくなった。
「ですが、あくまで希望ですから、国の話になれば、何も言いません」
「分かった」
被害者の言葉など聞くことは本来は出来ないが、誰よりも優先されるべきだろうと、善処するようにしようと、ディオエルは大きく頷いた。
「一郎処刑などと申しましたが、関係のない家族の命まで取らないでください」
「それは」
「確かにいくら理由を並べても、妾のアイルーンと、あの子の命は奪ってていいものではなかった。ですが、あの子をおそらく生まれていないのに皇族などと言う者も、出て来ることでしょう。ですから、上手く線引きをしてください」
皇族殺しには違いないが、何も知らず、巻き込まれただけの人間をアイルーンのように、あの子のように、死んで欲しくはない。
「あの時はあのくらい言わないと、動いて貰えないと思いましたので。陛下は真摯に対応してくださったと思います。ですので、賢明な判断をされてください」
「ああ…分かった」
「私からは以上です」
ディオエルは、初めてテイラーの好意的な言葉に喜びを感じていた。
だが同時に、これが最後かもしれないと、おそらくテイラーも考えているのだろうと感じ取り、胸の痛みも感じたが、気付かないようにした。
「デリア侯爵、何か要望はあるか?」
「私はきちんと罪人が罰され、アイルーンのことが正しく公にされれば、後は全てテイラー嬢の希望を支持します」
「分かった」
ディオエルは、テイラーとデリア侯爵を送り出し、見えなくなるまで、その姿を目に焼き付けた。一行は一晩休んでから、ミリオン王国へ帰っていった。
ディオエルはテイラーのことは頭から追い出し、必要な者には自白剤を使うように指示をして、報告を待った。
まずはローズミー・エウオンと、ペジリー・エウオンの家族。
ローズミーの兄であるクラード・エウオン伯爵は、何も知らないという自白を得ていることから、ディオエルも同席した。
全てを目を見開いたまま二人の犯行を聞き、話が終わると、ひれ伏して謝罪した。
「申し訳ございません!」
「違うとは言わなくていいのか?」
「あの二人なら、やり兼ねないと思います…」
「罰は協議の上となるが、ローズミーとペジリーは間違いなく、厳しい罰となると思っておいてくれ」
「承知いたしました、申し訳ございませんでした…」
クラードは真っ青な顔をしており、ディオエルは最悪な事態が想定出来た。
「死んだりするな」
「…っ」
「きちんと見届けてくれ、約束だ」
「承知いたしました…」
見張ることまではしないが、クラードはきちんと守る男だと信じている。
ラオイ医師の家族は、妻子は当時既に離縁しており、関わりもないようだった。念のために聞き取りはしたが、会ってもいなかった。
生家とも頻繁に会うような関係ではなく、何も知らないことから、落ち着いてから呼び出したが、クラードと同じ反応であった。
皆が茫然と説明を聞き、ひれ伏して謝罪し、相応しい罰を与えて欲しいと言い、医師としてあるまじき行為だと言った。
自分たちも覚悟をしているようではあったが、罰は協議の上となると話した。
そして、デリア侯爵家から届いたアイルーン・デリアの血は、全ての妃とメイミー・ライグと照合を行った。
一致したのはテイラーの指摘した通り、ローズミー、メロディ、ロウス、メイミーだけであった。
「だが」
「アイルーンとあの子の命がお金になっているようで、気分が悪いのです」
その言葉に込み上げるものを感じたのは、ルーベンスであった。
いくら使ってはいないとはいえ、責任の取り方は限りがあるとはいえ、受け取った時点で命がお金に変わったと、思われていたのだと苦しくなった。
「ですが、あくまで希望ですから、国の話になれば、何も言いません」
「分かった」
被害者の言葉など聞くことは本来は出来ないが、誰よりも優先されるべきだろうと、善処するようにしようと、ディオエルは大きく頷いた。
「一郎処刑などと申しましたが、関係のない家族の命まで取らないでください」
「それは」
「確かにいくら理由を並べても、妾のアイルーンと、あの子の命は奪ってていいものではなかった。ですが、あの子をおそらく生まれていないのに皇族などと言う者も、出て来ることでしょう。ですから、上手く線引きをしてください」
皇族殺しには違いないが、何も知らず、巻き込まれただけの人間をアイルーンのように、あの子のように、死んで欲しくはない。
「あの時はあのくらい言わないと、動いて貰えないと思いましたので。陛下は真摯に対応してくださったと思います。ですので、賢明な判断をされてください」
「ああ…分かった」
「私からは以上です」
ディオエルは、初めてテイラーの好意的な言葉に喜びを感じていた。
だが同時に、これが最後かもしれないと、おそらくテイラーも考えているのだろうと感じ取り、胸の痛みも感じたが、気付かないようにした。
「デリア侯爵、何か要望はあるか?」
「私はきちんと罪人が罰され、アイルーンのことが正しく公にされれば、後は全てテイラー嬢の希望を支持します」
「分かった」
ディオエルは、テイラーとデリア侯爵を送り出し、見えなくなるまで、その姿を目に焼き付けた。一行は一晩休んでから、ミリオン王国へ帰っていった。
ディオエルはテイラーのことは頭から追い出し、必要な者には自白剤を使うように指示をして、報告を待った。
まずはローズミー・エウオンと、ペジリー・エウオンの家族。
ローズミーの兄であるクラード・エウオン伯爵は、何も知らないという自白を得ていることから、ディオエルも同席した。
全てを目を見開いたまま二人の犯行を聞き、話が終わると、ひれ伏して謝罪した。
「申し訳ございません!」
「違うとは言わなくていいのか?」
「あの二人なら、やり兼ねないと思います…」
「罰は協議の上となるが、ローズミーとペジリーは間違いなく、厳しい罰となると思っておいてくれ」
「承知いたしました、申し訳ございませんでした…」
クラードは真っ青な顔をしており、ディオエルは最悪な事態が想定出来た。
「死んだりするな」
「…っ」
「きちんと見届けてくれ、約束だ」
「承知いたしました…」
見張ることまではしないが、クラードはきちんと守る男だと信じている。
ラオイ医師の家族は、妻子は当時既に離縁しており、関わりもないようだった。念のために聞き取りはしたが、会ってもいなかった。
生家とも頻繁に会うような関係ではなく、何も知らないことから、落ち着いてから呼び出したが、クラードと同じ反応であった。
皆が茫然と説明を聞き、ひれ伏して謝罪し、相応しい罰を与えて欲しいと言い、医師としてあるまじき行為だと言った。
自分たちも覚悟をしているようではあったが、罰は協議の上となると話した。
そして、デリア侯爵家から届いたアイルーン・デリアの血は、全ての妃とメイミー・ライグと照合を行った。
一致したのはテイラーの指摘した通り、ローズミー、メロディ、ロウス、メイミーだけであった。
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