【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)

野村にれ

文字の大きさ
43 / 103
私の恋、あなたの愛

20

しおりを挟む
 ルノーを嬉しそうに見つめる両親であるルーカン・ウィローとソフィー・ウィロー、そしてデビット・サンドールとマリア・サンドール。

 ルノーは正直動揺した。人払いをしていたので、シエルと話していた内容は洩れていないはずだが、まさかこっそり聞いていたのか?

 その割には父・ルーカンは断定している言い方ではなく、疑問形だった。冷静に話さなければならないと思った。

「結婚したい相手が出来たのだろう?番じゃないのか?」
「は?どうしてそんな話に?」
「それはお前はずっと色んな女性と交際していたようだが、止めたと聞いている」
「パーティーでは聞いていないけど、別で番が見付かったんじゃない?」

 番探しのパーティーは見付かると家族にも伝えられるようにすることも出来る。だからこそ、ルノーはパーティーには参加していた。

 マリオスとマイニーもすぐさまサンドール侯爵家に伝わっていた。

 ルリアーナは番ではない、幼なじみと何年も前から婚約しており、マリオスよりも先に結婚をしている。それをこの四人はどうして番を見付けないのかと、ルリアーナを責めたという。

「はあ…違うよ」
「違うのか…」
「相手が皆、結婚してしまっただけだよ」

 あの子爵令嬢は例外だったか、ほとんど結婚しているのは事実だ。

「見付かったと思って皆で押し掛けて来たのか」

 気まずそうに番の顔を見合わせている、結婚している相手ではないのが、また気味が悪い。

「お前だって番が見付かれば、気持ちが変わるさ」
「そうだ、マリオスだってそうだろう?あんなに幸せそうにしているんだぞ?」
「それで幼なじみと想い合っているルリアーナ嬢に詰め寄ったのか?」

 番探しのパーティーに参加することもなく、幼なじみと婚約すると言ったルリアーナに、祖父母は賛成したが、両親は番探しをするべきだと、言い出したそうだ。

 爵位はサンドール侯爵家もウィロー伯爵家も、父親を飛ばして、祖父から孫に譲られることになる。そこは四人も今の生活のために理解している。

 ゆえにルノーもそろそろ結婚するように祖父母からは言われている。

「番の方が安心できると思ってだ」
「安心?だったら、もしあなたたち四人ではなく、片方だけに見付かっていたら、どうしていた?」

 シエルのようなこともある、もし父に母にだけ番が見付からなかったら、四人はどうしていたか、今の様に笑えていただろうか。

 同じ条件で依存関係に近い四人だからこそ、勝手に成り立っているだけだ。

「それは…然るべき処置を取ったさ」
「然るべきっていうのは、困らない金銭を渡して別れるっていう意味か?」
「そうだ…」
「番に有利なことだよな…同じ人なのに。捨てられたかもしれないとは思わないから、四人は歪でも伴侶を捨てていないから罪悪感が少ない」
「私たちだって葛藤があったわ」
「でも番を選んだ、そうだろう?選ばない選択も出来たはずだ」

 俺が言っても説得力がないかもしれないが、抑制剤を服用して、今の伴侶と夫婦を続ける選択肢もあったはずだ。

「お前は何が言いたいんだ!」
「俺は番は要らない、もう遊びも止めたからパーティーも行くのを止めるよ」
「っな」
「もし、見付かっても同じことが言えるかしら?」
「言えるさ!もう振られてしまったからな」

 父の番であるマリアの言い方に苛立ち、思わず言ってしまったが、相手が誰かは四人には分かることはないだろう。

「は?」
「見付かっていたというの?」
「ああ、もう何年も前に見付かっている。それで振られている」
「じゃあ、パーティーに行っていたのは…」
「君らが番、番とうるさいからだよ」

 マリアは呆然として、言葉を失っており、溜飲が下がった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

義務ですもの。

あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。 王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。 それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。 貧しかった少女は番に愛されそして……え?

あなたの運命になりたかった

夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。  コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。 ※一話あたりの文字数がとても少ないです。 ※小説家になろう様にも投稿しています

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!! 打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

【完結】最愛から2番目の恋

Mimi
恋愛
 カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。  彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。  以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。  そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。  王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……  彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。  その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……  ※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります  ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません  ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります  

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目の人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

処理中です...