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明らかになる事実
ようやくマリクワン侯爵家で、目を覚ましたベルアンジュは、ベットの横の椅子に座っていたルイフォードに驚いた。
「申し訳ございません!」
「気が付いたか?」
「…申し訳ありませんでした」
「いや、起き上がらなくていい。身体はどうだ?」
起き上がろうとしたベルアンジュを、ルイフォードが制止したが、ベルアンジュは手を借りながら、クッションを背に座った。
「…はい、そろそろ限界ですね」
「どういう意味だ?」
「倒れたのは貧血です」
「貧血か…侍医もそう言っていた」
侍医に見せると、おそらく貧血だろうと、女性にはよくあることだと、だが顔色からして、酷いのかもしれないと診断された。
「薬の副作用なのです」
「え?薬?どこか悪いのか」
「…申し訳ありませんでした、私はNN病です。宣告された余命はあまり残っていません」
「っな、NN病…そんな」
NN病は体の力を全てを奪っていく病である。
一時的に力が入らなくなる症状から始まり、病状は酷くなるのではなく、死ぬ前に一気に力を失うのが特徴で、現在治療法はない。
ルイフォードも知っており、治らないのかとは言えなかった。
症状を遅らせる、強い薬を使っているので、貧血の副作用がある。それで、ベルアンジュは倒れてしまったのだ。
「家族は、知らないのだな?」
「はい、あの家は妹が全てでしたから」
ベルアンジュの既に過去形の口振りに、ルイフォードは胸が苦しくなった。
「どこで診て貰っていたんだ?」
「モード病院のリランダ医師に診ていただいています」
最初は近くの医院に行ったが、モード病院を紹介され、NN病だと分かり、NN病の権威であるリランダ医師に治験も兼ねて診て貰っている。
だからこそ、キャリーヌとは違って、高額な治療費も掛からず、家族にも話す必要はなかった。
「侍医は診なかったのか?」
「侍医は妹のためですから、私を診ることはありません」
「一度もか?」
やはり、診させていなかったから、何も分かっていなかったのだ。
「幼い頃はあったかもしれませんが、妹が生まれてからは、風邪を引いても隔離されるだけで、診て貰ったことはありません」
「何てことだ…実は、ベルーナ嬢から待遇が良くないとは聞いていたんだ」
「そうでしたか…」
だからキャリーヌではなく、私を指名してくれたのだと思った。だが、報うことはどうしても出来ない。
「実は家族にも連絡したのだが、あまりに酷い有様に帰らせたんだ」
まともではないと思っていたが、狂っているとしか思えない。
「ありがとうございます、感謝します」
「ここで治るまで過ごしてもらいたいと、思ってのことだったのだが…」
ルイフォードはそれ以上は口に出せなかった。
「騙すような形になってしまい、申し訳ありません」
「いや、ベルアンジュのせいではない」
NN病も、狂った家族も、ベルアンジュのせいでは絶対にない。
「あと、どのくらいだと言われているのだろうか…」
「おそらく半年くらいだと思います」
ルイフォードは息を呑んだ。短いとは分かっていたが、そんなに時間がなかったとは、侯爵家の教育など習っている場合ではないではないか。
「私の独断ではありますが、療養中のベルーナの時間稼ぎになればと思ったのです」
「ベルーナ嬢のために?」
「私にはもうそのくらいしか出来ることはなかったのです。私に出来ることであれば、どんな償いでもいたします」
ベルアンジュはルイフォードに向かって、深く頭を下げた。
「…ベルーナ嬢とは復縁することはないんだ」
「酷い病なのでしょうか?」
悲痛な表情を浮かべるベルアンジュに、真実を告げるべきだと思った。
「申し訳ございません!」
「気が付いたか?」
「…申し訳ありませんでした」
「いや、起き上がらなくていい。身体はどうだ?」
起き上がろうとしたベルアンジュを、ルイフォードが制止したが、ベルアンジュは手を借りながら、クッションを背に座った。
「…はい、そろそろ限界ですね」
「どういう意味だ?」
「倒れたのは貧血です」
「貧血か…侍医もそう言っていた」
侍医に見せると、おそらく貧血だろうと、女性にはよくあることだと、だが顔色からして、酷いのかもしれないと診断された。
「薬の副作用なのです」
「え?薬?どこか悪いのか」
「…申し訳ありませんでした、私はNN病です。宣告された余命はあまり残っていません」
「っな、NN病…そんな」
NN病は体の力を全てを奪っていく病である。
一時的に力が入らなくなる症状から始まり、病状は酷くなるのではなく、死ぬ前に一気に力を失うのが特徴で、現在治療法はない。
ルイフォードも知っており、治らないのかとは言えなかった。
症状を遅らせる、強い薬を使っているので、貧血の副作用がある。それで、ベルアンジュは倒れてしまったのだ。
「家族は、知らないのだな?」
「はい、あの家は妹が全てでしたから」
ベルアンジュの既に過去形の口振りに、ルイフォードは胸が苦しくなった。
「どこで診て貰っていたんだ?」
「モード病院のリランダ医師に診ていただいています」
最初は近くの医院に行ったが、モード病院を紹介され、NN病だと分かり、NN病の権威であるリランダ医師に治験も兼ねて診て貰っている。
だからこそ、キャリーヌとは違って、高額な治療費も掛からず、家族にも話す必要はなかった。
「侍医は診なかったのか?」
「侍医は妹のためですから、私を診ることはありません」
「一度もか?」
やはり、診させていなかったから、何も分かっていなかったのだ。
「幼い頃はあったかもしれませんが、妹が生まれてからは、風邪を引いても隔離されるだけで、診て貰ったことはありません」
「何てことだ…実は、ベルーナ嬢から待遇が良くないとは聞いていたんだ」
「そうでしたか…」
だからキャリーヌではなく、私を指名してくれたのだと思った。だが、報うことはどうしても出来ない。
「実は家族にも連絡したのだが、あまりに酷い有様に帰らせたんだ」
まともではないと思っていたが、狂っているとしか思えない。
「ありがとうございます、感謝します」
「ここで治るまで過ごしてもらいたいと、思ってのことだったのだが…」
ルイフォードはそれ以上は口に出せなかった。
「騙すような形になってしまい、申し訳ありません」
「いや、ベルアンジュのせいではない」
NN病も、狂った家族も、ベルアンジュのせいでは絶対にない。
「あと、どのくらいだと言われているのだろうか…」
「おそらく半年くらいだと思います」
ルイフォードは息を呑んだ。短いとは分かっていたが、そんなに時間がなかったとは、侯爵家の教育など習っている場合ではないではないか。
「私の独断ではありますが、療養中のベルーナの時間稼ぎになればと思ったのです」
「ベルーナ嬢のために?」
「私にはもうそのくらいしか出来ることはなかったのです。私に出来ることであれば、どんな償いでもいたします」
ベルアンジュはルイフォードに向かって、深く頭を下げた。
「…ベルーナ嬢とは復縁することはないんだ」
「酷い病なのでしょうか?」
悲痛な表情を浮かべるベルアンジュに、真実を告げるべきだと思った。
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