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終わりの時間1
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すぐにベルアンジュはベットに運ばれた。すぐにリランダ医師が呼ばれ、重苦しい空気の中、診察が行われた。
「先生…」
「ベルアンジュ様」
横になっていたベルアンジュは、座ろうとしたが、腕にもあまり力が入らず、リランダ医師の手を借りてようやく、座ることが出来た。
「ついに終わりの時間ですね」
「…力及ばず、申し訳ありません」
「先生は、何一つ謝ることはありません。感謝しかないのですから。本当にありがとうございました。残すは一週間くらいでしょうか」
ベルアンジュは覚悟をしていた様子で、誰よりも落ち着いて問い掛けた。
「…は、い」
「先生、余命なんて私には無駄だと思っていました。でも今は、時間があって良かったと思っています。あとは、よろしくお願いいたしますね」
「はい、しっかりと」
リランダ医師は涙が零れそうになるのを拭いながら、後ろに控えていたルイフォードに頭だけを下げて、部屋を退出した。
両親は別室におり、リランダ医師が説明に向かったが、顔だけで分かるだろう。
「ルイフォード様…そんな悲しい顔をされないでください」
「ベルアンジュ!」
ベルアンジュがルイフォードに声を掛けると、ルイフォードは思わず走り込んで、ベットの脇に跪いた。
「何もお返し出来ずに、申し訳ございません」
「そんなことはない、沢山のものを与えてくれた。本当だ。両親だって、なぜか仲良くなっていて、ベルアンジュのおかげだ」
「それなら良かったです」
ベルアンジュも何も言いはしなかったが、両親の関係も、ルイフォードとの関係も良くなっているのではないかと、感じてはいた。
「一つ、変更をしてもいいですか?」
「変更?」
「子どもの名前です。マシェリではなく、ジュリにして貰えませんか?」
「なぜだ?」
「ベルアンジュという名前からは、縁起が悪いから取らないようにしたのです」
本来ならベルアンジュとベルーナで、ベルと付けるべきだろうとは思った。だが自分はNN病になり、縁起が悪い。そして、ベルーナに繋がるようなことは避けた方がいいと思い、敢えて外して考えていた。
「でもルイフォード様に、ベルアンジュと呼ばれると、嬉しい気持ちになるので、もし女の子だったら同じ気持ちになって欲しくて、駄目でしょうか」
「いや、いい、いいよ…」
ルイフォードは、涙は零さないようにと思いながらも、瞳が潤むことは堪えきれなかった。
その日から、ベルアンジュの最期の時間が始まった―――。
日に日に力は失われ、それでもベルアンジュは、笑顔を絶やさなかった。
「可能な限り笑顔でいたいのです」
NN病は体の力を奪うので、脳に影響はない。だが、顔にまで症状が現れたら、笑顔ではいれなくなってしまう。
ルルとベベは眠る時は、ベルアンジュの側に寄り添い、ベットに一緒に眠るようになった。
「役得ですね」
そう言って、ベルアンジュは嬉しそうにしていたが、マイルダはきっと二匹は分かっているのでしょうと、ルイフォードに話した。
そして、ベルーナにもベルアンジュのことを書いて、手紙を出した。
勿論、妊娠中のベルーナは駆け付けることは出来ない。そのことは、ベルーナも母国を離れた時に、覚悟していた。
代わりにはならないがと、ベルーナの未来の夫となるオーカスが、ベルアンジュを訪ねてやって来た。
「初めまして。こんな姿で申し訳ありません、ベルアンジュ・マリクワンです」
「いいえ、オーカス・ルカルと申します」
目元が優しそうな、爽やかな清潔感のある青年であった。
「ベルーナにとんでもないことをお願いしてしまい、申し訳ありません」
「いいえ、ベルーナが押し切ったと聞いています。彼女らしいと私は思ったのです。そして、そんな彼女を誇りに感じています」
自分の妻となる女性が自分の子どもではない、子どもを妊娠しているという不思議な現状になっているが、オーカスはベルーナの選択を心から応援していた。
「先生…」
「ベルアンジュ様」
横になっていたベルアンジュは、座ろうとしたが、腕にもあまり力が入らず、リランダ医師の手を借りてようやく、座ることが出来た。
「ついに終わりの時間ですね」
「…力及ばず、申し訳ありません」
「先生は、何一つ謝ることはありません。感謝しかないのですから。本当にありがとうございました。残すは一週間くらいでしょうか」
ベルアンジュは覚悟をしていた様子で、誰よりも落ち着いて問い掛けた。
「…は、い」
「先生、余命なんて私には無駄だと思っていました。でも今は、時間があって良かったと思っています。あとは、よろしくお願いいたしますね」
「はい、しっかりと」
リランダ医師は涙が零れそうになるのを拭いながら、後ろに控えていたルイフォードに頭だけを下げて、部屋を退出した。
両親は別室におり、リランダ医師が説明に向かったが、顔だけで分かるだろう。
「ルイフォード様…そんな悲しい顔をされないでください」
「ベルアンジュ!」
ベルアンジュがルイフォードに声を掛けると、ルイフォードは思わず走り込んで、ベットの脇に跪いた。
「何もお返し出来ずに、申し訳ございません」
「そんなことはない、沢山のものを与えてくれた。本当だ。両親だって、なぜか仲良くなっていて、ベルアンジュのおかげだ」
「それなら良かったです」
ベルアンジュも何も言いはしなかったが、両親の関係も、ルイフォードとの関係も良くなっているのではないかと、感じてはいた。
「一つ、変更をしてもいいですか?」
「変更?」
「子どもの名前です。マシェリではなく、ジュリにして貰えませんか?」
「なぜだ?」
「ベルアンジュという名前からは、縁起が悪いから取らないようにしたのです」
本来ならベルアンジュとベルーナで、ベルと付けるべきだろうとは思った。だが自分はNN病になり、縁起が悪い。そして、ベルーナに繋がるようなことは避けた方がいいと思い、敢えて外して考えていた。
「でもルイフォード様に、ベルアンジュと呼ばれると、嬉しい気持ちになるので、もし女の子だったら同じ気持ちになって欲しくて、駄目でしょうか」
「いや、いい、いいよ…」
ルイフォードは、涙は零さないようにと思いながらも、瞳が潤むことは堪えきれなかった。
その日から、ベルアンジュの最期の時間が始まった―――。
日に日に力は失われ、それでもベルアンジュは、笑顔を絶やさなかった。
「可能な限り笑顔でいたいのです」
NN病は体の力を奪うので、脳に影響はない。だが、顔にまで症状が現れたら、笑顔ではいれなくなってしまう。
ルルとベベは眠る時は、ベルアンジュの側に寄り添い、ベットに一緒に眠るようになった。
「役得ですね」
そう言って、ベルアンジュは嬉しそうにしていたが、マイルダはきっと二匹は分かっているのでしょうと、ルイフォードに話した。
そして、ベルーナにもベルアンジュのことを書いて、手紙を出した。
勿論、妊娠中のベルーナは駆け付けることは出来ない。そのことは、ベルーナも母国を離れた時に、覚悟していた。
代わりにはならないがと、ベルーナの未来の夫となるオーカスが、ベルアンジュを訪ねてやって来た。
「初めまして。こんな姿で申し訳ありません、ベルアンジュ・マリクワンです」
「いいえ、オーカス・ルカルと申します」
目元が優しそうな、爽やかな清潔感のある青年であった。
「ベルーナにとんでもないことをお願いしてしまい、申し訳ありません」
「いいえ、ベルーナが押し切ったと聞いています。彼女らしいと私は思ったのです。そして、そんな彼女を誇りに感じています」
自分の妻となる女性が自分の子どもではない、子どもを妊娠しているという不思議な現状になっているが、オーカスはベルーナの選択を心から応援していた。
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