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第19話
綻びのない国なんてない3(ノイザール王国)
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「王太子は優秀なんですよね?」
「そうらしいのよ、まだ婚約はしていないけど、好ましい女性がいるの。爵位も公爵家よ?文句の付けようもない」
「近親とか?」
「先祖を辿ればあるかもしれないけど、近年は王家との婚姻はなかったそうよ」
「では問題ないではありませんか」
公爵家となると、王家に近すぎて、血が濃くなるという弊害があるそうだが、先祖を辿ればというくらいであれば、近親とは言えないだろう。
「それなのに、現王は兄のように優秀ではないから、愛ではなく、能力のある女性を妻にするべきだと考えていてね。自分一人で綻びがないようにしなければならないと思っているのは現王なのよ」
「全属性持ちの令嬢は優秀ではない?」
確か男爵令嬢だったが、子爵家に陞爵した聞いている。他国のことがエメラルダまで流れているというのは、余程荒れている証拠である。
それもすべて現王の綻びのない国へのためなのだろう。
「能力的には優秀とだとされているけど、全属性持ちって何?光があるから、闇は使えないそうだけど」
「ノイザールは、魔術というよりは魔法ですよね」
エメラルダは得意不得意、扱える扱えないなどはあるが、属性などという概念はない。だが、ノイザールは炎、水、雷、土、風、光、闇などと属性で分類している。
「元々持っている力を伸ばすという意味では同じかもしれないけど」
「考え方の違いでしょうね」
ノイザールはヨバス王国の次に近い国にはなるが、このような考え方の違いや、王家のあり方などで、近しいとは言い難い間柄である。
「そもそも精神面がね…天真爛漫と言えば聞こえはいいけど、作り物っぽいのよね。しかも王太子を好いていて、王太子はそうではない関係性よ?」
「互いに好いていないなら、まだ相談するなり出来て、良かったんでしょうね。あとは王子がもう一人いれば…」
敢えて一人しか子どもがいない弊害だ、二人以上いれば、その全属性持ちという令嬢を娶ればいい。一組が支えるという方法も取れるのではないか。
「そうなのよね、んもう!魔法省依頼だから仕方ないけど、極めて面倒な事案ね!なんて言っちゃ駄目なのよね」
「言いたい気持ちは分かります」
「でしょう?どうすることがいいかなんて、私の本分じゃないもの。王太子は廃嫡でいいと言っていて、そんなに気に入っているなら養子にして、王女にすればいいと」
「わぁお、ちょっとかっこいいです」
そこまで言い切っているのなら、王太子の席に執着はないのだろう。ひとり息子の重圧を一身に耐えて来た彼も、簡単な人生ではなかっただろう。
「でしょう?気持ちも分からなくもないわ、でもあれが王女は良くないことは分かっている。理想論の塊だもの、滅茶苦茶になってしまう」
天真爛漫で、皆に平等で優しく、笑顔を絶やさないチュリル・ロッパー子爵令嬢。
心酔した男女は、公爵令嬢を目の敵にしているようで、王の許可が下りないのもあるが、王太子と公爵令嬢は相思相愛なのだが、婚約していない。
チュリルも分かり易く、男性だけを侍らしたり、贅沢を好んだりは今のところしていないようだが、男女平等、爵位が自身の強さだと思うのは良くない、自分の能力で評価された方がいいなど、耳障りのいい言葉を言っているが、立場が上になった途端に変わる可能性は大いにある。
そして好きな相手と爵位に関係なく結婚する方がいいと言っており、王太子殿下と公爵令嬢への当てつけの様に思われる。
「溜息の理由がよく分かりました。お茶でも飲みましょう」
姉は嫌々でも駆りだされるのだろうが、私に出来ることはない。
「そうらしいのよ、まだ婚約はしていないけど、好ましい女性がいるの。爵位も公爵家よ?文句の付けようもない」
「近親とか?」
「先祖を辿ればあるかもしれないけど、近年は王家との婚姻はなかったそうよ」
「では問題ないではありませんか」
公爵家となると、王家に近すぎて、血が濃くなるという弊害があるそうだが、先祖を辿ればというくらいであれば、近親とは言えないだろう。
「それなのに、現王は兄のように優秀ではないから、愛ではなく、能力のある女性を妻にするべきだと考えていてね。自分一人で綻びがないようにしなければならないと思っているのは現王なのよ」
「全属性持ちの令嬢は優秀ではない?」
確か男爵令嬢だったが、子爵家に陞爵した聞いている。他国のことがエメラルダまで流れているというのは、余程荒れている証拠である。
それもすべて現王の綻びのない国へのためなのだろう。
「能力的には優秀とだとされているけど、全属性持ちって何?光があるから、闇は使えないそうだけど」
「ノイザールは、魔術というよりは魔法ですよね」
エメラルダは得意不得意、扱える扱えないなどはあるが、属性などという概念はない。だが、ノイザールは炎、水、雷、土、風、光、闇などと属性で分類している。
「元々持っている力を伸ばすという意味では同じかもしれないけど」
「考え方の違いでしょうね」
ノイザールはヨバス王国の次に近い国にはなるが、このような考え方の違いや、王家のあり方などで、近しいとは言い難い間柄である。
「そもそも精神面がね…天真爛漫と言えば聞こえはいいけど、作り物っぽいのよね。しかも王太子を好いていて、王太子はそうではない関係性よ?」
「互いに好いていないなら、まだ相談するなり出来て、良かったんでしょうね。あとは王子がもう一人いれば…」
敢えて一人しか子どもがいない弊害だ、二人以上いれば、その全属性持ちという令嬢を娶ればいい。一組が支えるという方法も取れるのではないか。
「そうなのよね、んもう!魔法省依頼だから仕方ないけど、極めて面倒な事案ね!なんて言っちゃ駄目なのよね」
「言いたい気持ちは分かります」
「でしょう?どうすることがいいかなんて、私の本分じゃないもの。王太子は廃嫡でいいと言っていて、そんなに気に入っているなら養子にして、王女にすればいいと」
「わぁお、ちょっとかっこいいです」
そこまで言い切っているのなら、王太子の席に執着はないのだろう。ひとり息子の重圧を一身に耐えて来た彼も、簡単な人生ではなかっただろう。
「でしょう?気持ちも分からなくもないわ、でもあれが王女は良くないことは分かっている。理想論の塊だもの、滅茶苦茶になってしまう」
天真爛漫で、皆に平等で優しく、笑顔を絶やさないチュリル・ロッパー子爵令嬢。
心酔した男女は、公爵令嬢を目の敵にしているようで、王の許可が下りないのもあるが、王太子と公爵令嬢は相思相愛なのだが、婚約していない。
チュリルも分かり易く、男性だけを侍らしたり、贅沢を好んだりは今のところしていないようだが、男女平等、爵位が自身の強さだと思うのは良くない、自分の能力で評価された方がいいなど、耳障りのいい言葉を言っているが、立場が上になった途端に変わる可能性は大いにある。
そして好きな相手と爵位に関係なく結婚する方がいいと言っており、王太子殿下と公爵令嬢への当てつけの様に思われる。
「溜息の理由がよく分かりました。お茶でも飲みましょう」
姉は嫌々でも駆りだされるのだろうが、私に出来ることはない。
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