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眉唾物
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ヨルレアンはこちらは別の方にと、王宮に戻した文献もあるが、解読の捜索を続けており、ようやく『振り返る女』の画家が書いた者ではないかという文献を続けて二冊、見付けることが出来た。
字体に癖がある文字なら判別しやすいが、文字とは呼べない時代はあまり癖がなく、文字を書けないという者も多いこともあり、勉強のために真似て書いているという場合すらあり、内容から判断するしかなく、時間が掛かる作業であった。
さらに探すよりも、時間も掛かるので、この二冊を解読することにした。
ヨルレアンは二冊の文献をまたザッハンデル前伯爵と解読することを希望して、陛下に許可を得て、再び前伯爵邸で解読が始まることになり、文献は一度王家に戻されることになった。
デザールはヨルレアンが判別している間は、体のこともあるので休んだり、他の解読をしたりして過ごしていた。
「おじ様、これは続きではないですわね」
「ああ、もしかしたらこの間もあるかもしれないな」
解読を進めると二人は気付いてしまった。年には勝てないという言葉に、これは晩年に書いた物ではないかという解読が出来てしまったからである。
「読み違えてしまったみたい」
「いや、ヨルちゃんの解読はコツを掴めばとても早いんだ。誇ることであって、間違えということはない」
ヨルレアンは冒頭の部分で、判断をする作業をしていたので、こういったこともよく起こる。
「ですが、もう一つの方を先にしましょうか」
「うーん、そちらが先の可能性が高いなら、その方がいいかもしれないね」
「はい」
二人は解読を進めると、やはり後から解読し始めた方が、こちらが先ではないかという判断を下し、その一冊の解読を進めることにした。
ヨルレアンとデザールが解読に勤しむ中、王宮ではローレル王太子、エルドール、メイランの元へは両親から眉唾物の話を聞くことになっていた。
「私も信じてはいない、信じようもないのだが、ルスデン王国で、聖女が見付かったという話があるらしい」
ルスデン王国はコーランド王国と同じカラード大陸にあり、小さな国が密接している中のひとつの国である。
正直、あまり力がある国とは言えず、注目される様な人物が現れたこともない。
「聖女?ですか?」
ローレルは聖女という、おとぎ話のような言葉に、怪訝な表情に変えた。
「聖女?」
「そんな者がこの世におりますの?胡散臭いですわね」
エルドールは固まり、メイランはローレルよりも眉間に皺を寄せて、厳しい表情をしていた。
「私もそんなことは聞いたこともない。あれはおとぎ話だろう?」
ダズベルトはそのような話を読んだことがなく、オーバンに少女が読むようなおとぎ話だと教えて貰った。
聖女が瘴気に汚染された国を救う、病を治すなどといったことをすると聞き、少年ではなく、少女ならば喜びそうな話だと思った。
「はい、実際にいたということは聞いたことがありません」
「おとぎ話のように魔法が使えるわけではない。話を聞く限りだが、どちらかというと賢人ではないかと私は思うのだが、それも腑に落ちない」
冒険の話は読んだこともあったダズベルトは、知恵に優れた、賢い人で、聖女というよりは賢人ではないかと感じた。
それでもローレル、エルドール、メイランはその言葉に、首を傾けた。
「賢人ということは、博識だということですか?」
「そうだとは思うが、どの程度かは分からない。だが、様々な翻訳が難なく出来るということだ」
「まさか、解読も出来るとでも言っているのですか?」
ローレルは翻訳家ならば多くいるだろうと思ったが、わざわざ父が話して来る状況から、導き出した疑問を口にした。
「そういうことらしい」
「っな!」
「本当なんですの!」
エルドールも驚いたが、メイランが怒りの声を上げた。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
明日は12時と17時に、1日2回投稿させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
字体に癖がある文字なら判別しやすいが、文字とは呼べない時代はあまり癖がなく、文字を書けないという者も多いこともあり、勉強のために真似て書いているという場合すらあり、内容から判断するしかなく、時間が掛かる作業であった。
さらに探すよりも、時間も掛かるので、この二冊を解読することにした。
ヨルレアンは二冊の文献をまたザッハンデル前伯爵と解読することを希望して、陛下に許可を得て、再び前伯爵邸で解読が始まることになり、文献は一度王家に戻されることになった。
デザールはヨルレアンが判別している間は、体のこともあるので休んだり、他の解読をしたりして過ごしていた。
「おじ様、これは続きではないですわね」
「ああ、もしかしたらこの間もあるかもしれないな」
解読を進めると二人は気付いてしまった。年には勝てないという言葉に、これは晩年に書いた物ではないかという解読が出来てしまったからである。
「読み違えてしまったみたい」
「いや、ヨルちゃんの解読はコツを掴めばとても早いんだ。誇ることであって、間違えということはない」
ヨルレアンは冒頭の部分で、判断をする作業をしていたので、こういったこともよく起こる。
「ですが、もう一つの方を先にしましょうか」
「うーん、そちらが先の可能性が高いなら、その方がいいかもしれないね」
「はい」
二人は解読を進めると、やはり後から解読し始めた方が、こちらが先ではないかという判断を下し、その一冊の解読を進めることにした。
ヨルレアンとデザールが解読に勤しむ中、王宮ではローレル王太子、エルドール、メイランの元へは両親から眉唾物の話を聞くことになっていた。
「私も信じてはいない、信じようもないのだが、ルスデン王国で、聖女が見付かったという話があるらしい」
ルスデン王国はコーランド王国と同じカラード大陸にあり、小さな国が密接している中のひとつの国である。
正直、あまり力がある国とは言えず、注目される様な人物が現れたこともない。
「聖女?ですか?」
ローレルは聖女という、おとぎ話のような言葉に、怪訝な表情に変えた。
「聖女?」
「そんな者がこの世におりますの?胡散臭いですわね」
エルドールは固まり、メイランはローレルよりも眉間に皺を寄せて、厳しい表情をしていた。
「私もそんなことは聞いたこともない。あれはおとぎ話だろう?」
ダズベルトはそのような話を読んだことがなく、オーバンに少女が読むようなおとぎ話だと教えて貰った。
聖女が瘴気に汚染された国を救う、病を治すなどといったことをすると聞き、少年ではなく、少女ならば喜びそうな話だと思った。
「はい、実際にいたということは聞いたことがありません」
「おとぎ話のように魔法が使えるわけではない。話を聞く限りだが、どちらかというと賢人ではないかと私は思うのだが、それも腑に落ちない」
冒険の話は読んだこともあったダズベルトは、知恵に優れた、賢い人で、聖女というよりは賢人ではないかと感じた。
それでもローレル、エルドール、メイランはその言葉に、首を傾けた。
「賢人ということは、博識だということですか?」
「そうだとは思うが、どの程度かは分からない。だが、様々な翻訳が難なく出来るということだ」
「まさか、解読も出来るとでも言っているのですか?」
ローレルは翻訳家ならば多くいるだろうと思ったが、わざわざ父が話して来る状況から、導き出した疑問を口にした。
「そういうことらしい」
「っな!」
「本当なんですの!」
エルドールも驚いたが、メイランが怒りの声を上げた。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
明日は12時と17時に、1日2回投稿させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
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