運命だとは認めない

野村にれ

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不実

 王宮に着き、アリルールについてハイザートとエリアンに王宮医師が説明をすると、二人は絶句した。

「記憶が……本当にそんなことがあるのか?」
「嘘でしょ……」

 体のほうは治していくしかなく、後遺症が出ないことは願うしかないと言われれば、問題は記憶となった。

「14歳なら王宮に戻すか」
「でも、ルーファスは?」
「嫌っているのだろう?」
「嫌ってはおりません。どう接したらいいか分からないだけです」

 メイファスは失礼を承知で口を挟んだ。マクシューもそう言われる覚悟はしていたために、止めるつもりはなかった。

「アリルールの様子で判断した方がいいのではない?王宮も急にアリルールが戻ったら混乱するでしょうし、記憶がないなんて……おかしな目で見られるわ」
「だがな……」
「記憶が戻らない可能性もあるの?」
「ございます」

 ハイザートがどうするべきかと唸っていると、モンカール公爵とメイファスが王宮にいることを聞いたリトラーズがやって来た。

「アリルールは目を覚ましたのですか?」

 階段から落ちたことは聞いており、心配はしていた。

「ああ、体も痛むようだが、記憶を一部失っているそうだ」
「え?いつからですか?メイファスに出会う前ですか?」
「そのようだ……14歳だと言っている」
「14歳?戻りそうにないのなら、やり直せばいいではないですか」

 リトラーズも記憶喪失など周りで聞いたこともなかったが、アリルールの場合はメイファスの暴走がなければ上手くいったのではないかという思考だった。

「何も伝えずにか?」
「もちろん、メイファスと結婚したことと子どもを産んだことは伝えるべきでしょう。王女が公爵令息と結婚することになったとだけ言えばいいのです」
「詳細は伝えずに、記憶が戻ったら……」
「そうだとしても、ルーファスのためだと言えば、受け入れるのではありませんか」
「だがな……」
「そうよ、それがいいわ!ルーファスのためにも」

 フーランもアリルールとルーファスの関係性には思うところがあり、これで変わるならとリトラーズの案に乗ることにした。

「14歳までの記憶しかないのに受け入れるのか?」
「私が説明するわ、それで無理ならまた考えましょう」
「だがな……」

 ハイザートは名案だとは思えず、最後まで正しいのか分からなかった。

 エリアンはその足でモンカール公爵家に行き、フーランがモンカール家の侍医を呼んでおり、同席してもらうことにした。

「お母様、モンカール公爵夫妻は知っておりますが、この方は誰なんです?ああ、名前を聞きましたわね」
「この方はアリルールの夫なの」
「はい?」
「私、14歳なのだけど?犯罪じゃない?」
「あなたは階段を落ちたことで十年くらいの記憶を失っているの。だから今は24歳なの、夫のメイファス・モンカールで正しいの」

 アリルールがどんな反応をするか、モンカール公爵家側は息をのみ、緊張しながら待ち構えた。

「結婚したの?」
「そうよ、約七年前に結婚をしているの」
「なな?」

 七年前と言われて、アリルールは自分が七年も結婚生活をしていたことは心も追い付かなれば、想像もできなかった。

「覚えていないわ!婚約者もいなかったはずなのに……第二王女は気味が悪いって思われていたでしょう?それなのに、どうして?政略結婚することになったの?」

 14歳のアリルールも婚約者がいないのも気味が悪い、王家のお荷物で嫌われていると認識であった。

「気味が悪いなんて、誰かに言われたの?」
「別に罰することではないわ、事実だもの」

 アリルールを目にした者が被害妄想も含まれているが、コソコソと言っているのを聞いたことは一度や二度ではない。

「そんなことないわ、変わっているけど気味が悪いなんてあり得ないわ」
「いいわよ、それでモンカール公爵家に押し付けたの?」

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