184 / 206
エリーのお茶会6
しおりを挟む
「まだ発表しないことで、EP71がまだ流行って、混乱をしている内に結んでしまいたかったのでしょう。他国にも話がいっているということです」
「それで今だったのね」
「発表もされておりませんから、上手く隠して、結んでから実はってことはあるかもしれませんけど」
次の相手を見付けて、前の婚約は同意の上で解消になったと発表したいのだろう。
「慰謝料を払ったのかしら」
「そこまでは分かりませんが、事実ではない理由が発表されれば、何らかの取引があったということでしょう」
「モリー様、頭が良いのね」
エリーはモリーのいつもの穏やかさとは違って、冷静に話をする姿に賢さを感じていた。
「いいえ、受け売りでございます」
これでオルトも黙るだろうと思っていたが、まだ諦めていなかった。
「だったら、ジュリエッタ王女なら」
「彼女はメイカ王国に不興を買っていらっしゃいます」
「っえ」
「完全に拒否されたそうです。メイカ王国に嫌われたいですか?」
「いや」
魔術師を多く抱えるメイカ王国に、嫌われることはさすがに不味いことはオルトにも分かった。
「はずれ姫もいいところじゃない!オルトお兄様見る目がないわ」
「私も王家を支える公爵家の人間として、良い縁談とは思えません。ですが、強い口調で、大変失礼いたしました」
「いいえ、ありがとう。オルトも、しっかりなさい」
「っ、もう失礼します」
オルトは不満そうではあったが、足早に出て行った。久し振りにオルトと対峙することになったが、短気なところは変わっていないと実感していた。
「モリー、ありがとう」
「いいえ、さすがにイルメザ王国との縁談を耳にしては黙っていられませんでした。失礼しました」
「そんなことないわ、情報源も探ったりしないから安心して」
「ありがとうございます」
モリーはケリーは察しているが、問い正したりしないところに、感謝した。
「そんなことになっていたなんてね。調査はさせているのだけど、まだ感染症のこともあって、情報が上がってきていなかったのよ」
「断っているのですよね?」
「そうなの、それなのに」
「オルトお兄様は美人だからよ!多分、年上の分かり易い美人が良かったの」
「そうなのですか?」
「そうだと思うわ」
今さらオルトの好みを知ることになり、モリーも一つ年上ではあるのだが、それだけだったのだろうと思った。
「これは内密にしていただきたいのだけど、ポレーク王国のナリルミ王女殿下から縁談があるの」
「ポレーク王国ですか」
「ええ、良い縁談だと思って、年齢的にもオルトに勧めたのだけど、エリーの言うことが当たっているのかもしれないわね」
「ポレーク王国は何かご存知?」
「いいえ」
ポレーク王国も、二回目も三回目も、聞くことはなかったことであった。
だが、モリーは積極的に知ろうとしていなかった。もしかしたら、知らないだけで、レオーラなら知っているかもしれない。
「そう、悪い噂は聞かないのだけど、会わせてみてという形にしようと思っているのだけど……はあ、あの子は……」
「ポレーク王国はどうしてですか?治癒師ですか?」
モリーから発された治癒師という言葉に、黙っていたレルスの方がドキリとした。
「ええ、おそらくそうだと思うわ。感染症のことで、治癒師を派遣してくれる国とのつながりを持ちたいと考えたのでしょうね」
「そういうことですか」
ポレーク王国にも治癒師はいない。モリーもケリーの意見にも同意した。
「もし、何か分かったら教えて頂戴」
「承知いたしました」
「さあ、私たちは退散して、お茶会を続けて」
「そうよ!」
それからケリーとレルスは出て行き、オルトのことは忘れて、お茶会を楽しみ、モリーとペイリーは帰って行った。
レルスはある決意を固めていた。
「それで今だったのね」
「発表もされておりませんから、上手く隠して、結んでから実はってことはあるかもしれませんけど」
次の相手を見付けて、前の婚約は同意の上で解消になったと発表したいのだろう。
「慰謝料を払ったのかしら」
「そこまでは分かりませんが、事実ではない理由が発表されれば、何らかの取引があったということでしょう」
「モリー様、頭が良いのね」
エリーはモリーのいつもの穏やかさとは違って、冷静に話をする姿に賢さを感じていた。
「いいえ、受け売りでございます」
これでオルトも黙るだろうと思っていたが、まだ諦めていなかった。
「だったら、ジュリエッタ王女なら」
「彼女はメイカ王国に不興を買っていらっしゃいます」
「っえ」
「完全に拒否されたそうです。メイカ王国に嫌われたいですか?」
「いや」
魔術師を多く抱えるメイカ王国に、嫌われることはさすがに不味いことはオルトにも分かった。
「はずれ姫もいいところじゃない!オルトお兄様見る目がないわ」
「私も王家を支える公爵家の人間として、良い縁談とは思えません。ですが、強い口調で、大変失礼いたしました」
「いいえ、ありがとう。オルトも、しっかりなさい」
「っ、もう失礼します」
オルトは不満そうではあったが、足早に出て行った。久し振りにオルトと対峙することになったが、短気なところは変わっていないと実感していた。
「モリー、ありがとう」
「いいえ、さすがにイルメザ王国との縁談を耳にしては黙っていられませんでした。失礼しました」
「そんなことないわ、情報源も探ったりしないから安心して」
「ありがとうございます」
モリーはケリーは察しているが、問い正したりしないところに、感謝した。
「そんなことになっていたなんてね。調査はさせているのだけど、まだ感染症のこともあって、情報が上がってきていなかったのよ」
「断っているのですよね?」
「そうなの、それなのに」
「オルトお兄様は美人だからよ!多分、年上の分かり易い美人が良かったの」
「そうなのですか?」
「そうだと思うわ」
今さらオルトの好みを知ることになり、モリーも一つ年上ではあるのだが、それだけだったのだろうと思った。
「これは内密にしていただきたいのだけど、ポレーク王国のナリルミ王女殿下から縁談があるの」
「ポレーク王国ですか」
「ええ、良い縁談だと思って、年齢的にもオルトに勧めたのだけど、エリーの言うことが当たっているのかもしれないわね」
「ポレーク王国は何かご存知?」
「いいえ」
ポレーク王国も、二回目も三回目も、聞くことはなかったことであった。
だが、モリーは積極的に知ろうとしていなかった。もしかしたら、知らないだけで、レオーラなら知っているかもしれない。
「そう、悪い噂は聞かないのだけど、会わせてみてという形にしようと思っているのだけど……はあ、あの子は……」
「ポレーク王国はどうしてですか?治癒師ですか?」
モリーから発された治癒師という言葉に、黙っていたレルスの方がドキリとした。
「ええ、おそらくそうだと思うわ。感染症のことで、治癒師を派遣してくれる国とのつながりを持ちたいと考えたのでしょうね」
「そういうことですか」
ポレーク王国にも治癒師はいない。モリーもケリーの意見にも同意した。
「もし、何か分かったら教えて頂戴」
「承知いたしました」
「さあ、私たちは退散して、お茶会を続けて」
「そうよ!」
それからケリーとレルスは出て行き、オルトのことは忘れて、お茶会を楽しみ、モリーとペイリーは帰って行った。
レルスはある決意を固めていた。
2,255
あなたにおすすめの小説
顔がタイプじゃないからと、結婚を引き延ばされた本当の理由
翠月るるな
恋愛
「顔が……好みじゃないんだ!!」
婚約して早一年が経とうとしている。いい加減、周りからの期待もあって結婚式はいつにするのかと聞いたら、この回答。
セシリアは唖然としてしまう。
トドメのように彼は続けた。
「結婚はもう少し考えさせてくれないかな? ほら、まだ他の選択肢が出てくるかもしれないし」
この上なく失礼なその言葉に彼女はその場から身を翻し、駆け出した。
そのまま婚約解消になるものと覚悟し、新しい相手を探すために舞踏会に行くことに。
しかし、そこでの出会いから思いもよらない方向へ進み────。
顔が気に入らないのに、無為に結婚を引き延ばした本当の理由を知ることになる。
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。
木山楽斗
恋愛
幼少期から魔法使いとしての才覚を見せていたラムーナは、王国における魔法使い最高峰の役職である聖女に就任するはずだった。
しかし、王国が聖女に選んだのは第一王女であるロメリアであった。彼女は父親である国王から溺愛されており、親の七光りで聖女に就任したのである。
ラムーナは、そんなロメリアを支える聖女補佐を任せられた。それは実質的に聖女としての役割を彼女が担うということだった。ロメリアには魔法使いの才能などまったくなかったのである。
色々と腑に落ちないラムーナだったが、それでも好待遇ではあったためその話を受け入れた。補佐として聖女を支えていこう。彼女はそのように考えていたのだ。
だが、彼女はその考えをすぐに改めることになった。なぜなら、聖女となったロメリアはとてもわがままな女性だったからである。
彼女は、才覚がまったくないにも関わらず上から目線でラムーナに命令してきた。ラムーナに支えられなければ何もできないはずなのに、ロメリアはとても偉そうだったのだ。
そんな彼女の態度に辟易としたラムーナは、聖女補佐の役目を下りることにした。王国側は特に彼女を止めることもなかった。ラムーナの代わりはいくらでもいると考えていたからである。
しかし彼女が去ったことによって、王国は未曽有の危機に晒されることになった。聖女補佐としてのラムーナは、とても有能な人間だったのだ。
虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?
リオール
恋愛
両親に虐げられ
姉に虐げられ
妹に虐げられ
そして婚約者にも虐げられ
公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。
虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。
それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。
けれど彼らは知らない、誰も知らない。
彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を──
そして今日も、彼女はひっそりと。
ざまあするのです。
そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか?
=====
シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。
細かいことはあまり気にせずお読み下さい。
多分ハッピーエンド。
多分主人公だけはハッピーエンド。
あとは……
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる