病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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エリーのお茶会6

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「まだ発表しないことで、EP71がまだ流行って、混乱をしている内に結んでしまいたかったのでしょう。他国にも話がいっているということです」
「それで今だったのね」
「発表もされておりませんから、上手く隠して、結んでから実はってことはあるかもしれませんけど」

 次の相手を見付けて、前の婚約は同意の上で解消になったと発表したいのだろう。

「慰謝料を払ったのかしら」
「そこまでは分かりませんが、事実ではない理由が発表されれば、何らかの取引があったということでしょう」
「モリー様、頭が良いのね」

 エリーはモリーのいつもの穏やかさとは違って、冷静に話をする姿に賢さを感じていた。

「いいえ、受け売りでございます」

 これでオルトも黙るだろうと思っていたが、まだ諦めていなかった。

「だったら、ジュリエッタ王女なら」
「彼女はメイカ王国に不興を買っていらっしゃいます」
「っえ」
「完全に拒否されたそうです。メイカ王国に嫌われたいですか?」
「いや」

 魔術師を多く抱えるメイカ王国に、嫌われることはさすがに不味いことはオルトにも分かった。

「はずれ姫もいいところじゃない!オルトお兄様見る目がないわ」
「私も王家を支える公爵家の人間として、良い縁談とは思えません。ですが、強い口調で、大変失礼いたしました」
「いいえ、ありがとう。オルトも、しっかりなさい」
「っ、もう失礼します」

 オルトは不満そうではあったが、足早に出て行った。久し振りにオルトと対峙することになったが、短気なところは変わっていないと実感していた。

「モリー、ありがとう」
「いいえ、さすがにイルメザ王国との縁談を耳にしては黙っていられませんでした。失礼しました」
「そんなことないわ、情報源も探ったりしないから安心して」
「ありがとうございます」

 モリーはケリーは察しているが、問い正したりしないところに、感謝した。

「そんなことになっていたなんてね。調査はさせているのだけど、まだ感染症のこともあって、情報が上がってきていなかったのよ」
「断っているのですよね?」
「そうなの、それなのに」
「オルトお兄様は美人だからよ!多分、年上の分かり易い美人が良かったの」
「そうなのですか?」
「そうだと思うわ」

 今さらオルトの好みを知ることになり、モリーも一つ年上ではあるのだが、それだけだったのだろうと思った。

「これは内密にしていただきたいのだけど、ポレーク王国のナリルミ王女殿下から縁談があるの」
「ポレーク王国ですか」
「ええ、良い縁談だと思って、年齢的にもオルトに勧めたのだけど、エリーの言うことが当たっているのかもしれないわね」
「ポレーク王国は何かご存知?」
「いいえ」

 ポレーク王国も、二回目も三回目も、聞くことはなかったことであった。

 だが、モリーは積極的に知ろうとしていなかった。もしかしたら、知らないだけで、レオーラなら知っているかもしれない。

「そう、悪い噂は聞かないのだけど、会わせてみてという形にしようと思っているのだけど……はあ、あの子は……」
「ポレーク王国はどうしてですか?治癒師ですか?」

 モリーから発された治癒師という言葉に、黙っていたレルスの方がドキリとした。

「ええ、おそらくそうだと思うわ。感染症のことで、治癒師を派遣してくれる国とのつながりを持ちたいと考えたのでしょうね」
「そういうことですか」

 ポレーク王国にも治癒師はいない。モリーもケリーの意見にも同意した。

「もし、何か分かったら教えて頂戴」
「承知いたしました」
「さあ、私たちは退散して、お茶会を続けて」
「そうよ!」

 それからケリーとレルスは出て行き、オルトのことは忘れて、お茶会を楽しみ、モリーとペイリーは帰って行った。

 レルスはある決意を固めていた。
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