病める時も、健やかではない時も

野村にれ

文字の大きさ
186 / 330

申し込み1

「大公家は空いたのではありませんか?」
「そうだな、知らないのかもしれないな。いや、それでも王家がいいと思っているのかもしれないがな」
「そちらまで考えてられないわ」
「そうだな。それで、レルスはモリーに婚約を申し込みたいのだな?」
「はい」

 まだ婚約などの話は聞いていないが、モリーの場合はそれどころではないというのが、理由ではないだろうか。

「ならば、まずはオブレオサジュール公爵に話をしておこう。話はそれからだろう」
「はい、よろしくお願いいたします」
「分かった、ケリーもいいな?」
「ええ」

 レルスは緊張したが、エリーのドレスのおかげか、ケリーが好意的であることに感謝した。次はオブレオサジュール公爵がどう反応するか、気になるところであった。

 ファリスは予定通りに翌日、オルトにどうするのか訊ねた。

「縁談はどうする?乗り気ではないだろう?」
「13歳……ですよ?」

 オルトは13歳と言えば、エリーと同い年であるために幼いと感じていた。

「分かった、断っておこう」
「良いんですか?」
「別に構わない」

 結局、レルスも纏まっても、すぐに婚約ではないために、ナリルミ王女殿下の縁談はまだ王太子を白紙にして、時間が経っていないためにまだ婚約は考えていないという理由で、断ることにした。

 そして、ファリスとケリーは内密に話をするために、ブレフォス・オブレオサジュールを呼び出した。

「すぐにではないのだが、レルスがモリー嬢に婚約を申し込みたいと言っている」
「……モリーに、ですか?」

 淡々としているブレフォスは珍しく、表情を厳しく変えた。

 モリーと頻繁に会話をするわけではないが、レルスとは今、学園で同じであるために、関わりがあったのだろうかと頭を悩ませた。

「ああ、どうだろうか。勿論、白紙になったばかりだから、しばらくは仮の状態になると思う」
「ですが」
「王太子などはまだ考えなくていい」
「王太子の白紙に、モリーが関係しているわけではないのですよね?」
「それはない」
「そうですか。ですが、あの子は、あまり勉強が……」

 モリーの成績は常に確認しているが、同じ場所で安定している。

「それは知っているが、成績がすべてではないだろう?」
「それは、はい」
「成績は良くても、頭でっかちになる者もいる。公爵だってモリー嬢を成績だけで判断しているわけではないだろう?」
「はい……」
「当然だが、モリー嬢の意思を確認してでいい」
「はい」

 婚約者のことはそろそろ考えなくてはいけないと思ってはいたが、王太子の白紙もあって、混乱している部分もあって、まだ動いてはいなかった。

「後継者は決めているのか?」
「いいえ、まだです」
「モリーということもありえるのか?」
「はい」

 ロレインはカリーナがべったり抱え込んでいるために、来年中等部に入って、成績や素行、様子を見てからと思っていた。

 オーリンともモリーは成績が良くないだけで、その他のことは問題はないのではないと話をしていた。後継者教育はあるが、向いているのかもしれない。

 むしろ、あれだけのドレスを効率よく作るのだから、集中力と忍耐力があると考えていた。

「それもいいだろう」
「よろしいのですか?」
「ああ」

 レルスはオブレオサジュール公爵家に婿入りすることも了承しており、ファリスとケリーもそれもいいかと考えていた。

「分かりました、モリーに聞いてみましょう」
「ああ、無理強いはしなくていい。まずはレルスと話をしたいと言うのなら、話をしてからでもいい。だか、この話は洩れると面倒なことになるだろう。だからそれだけは気を付けて欲しい」
「はい、会うと言った場合は」
「私に連絡をして頂戴」
「承知しました」

 ブレフォスは帰りながら、まさかの申し込みに驚くしかなかった。

あなたにおすすめの小説

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

禁断の関係かもしれないが、それが?

しゃーりん
恋愛
王太子カインロットにはラフィティという婚約者がいる。 公爵令嬢であるラフィティは可愛くて人気もあるのだが少し頭が悪く、カインロットはこのままラフィティと結婚していいものか、悩んでいた。 そんな時、ラフィティが自分の代わりに王太子妃の仕事をしてくれる人として連れて来たのが伯爵令嬢マリージュ。 カインロットはマリージュが自分の異母妹かもしれない令嬢だということを思い出す。 しかも初恋の女の子でもあり、マリージュを手に入れたいと思ったカインロットは自分の欲望のためにラフィティの頼みを受け入れる。 兄妹かもしれないが子供を生ませなければ問題ないだろう?というお話です。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。

あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のカナリアは、原因不明の高熱に襲われた事がきっかけで、前世の記憶を取り戻した。そしてここが、前世で亡くなる寸前まで読んでいた小説の世界で、ヒーローの婚約者に転生している事に気が付いたのだ。 その物語は、自分を含めた主要の登場人物が全員命を落とすという、まさにバッドエンドの世界! 物心ついた時からずっと自分の傍にいてくれた婚約者のアルトを、心から愛しているカナリアは、酷く動揺する。それでも愛するアルトの為、自分が身を引く事で、バッドエンドをハッピーエンドに変えようと動き出したのだが、なんだか様子がおかしくて… 全く違う物語に転生したと思い込み、迷走を続けるカナリアと、愛するカナリアを失うまいと翻弄するアルトの恋のお話しです。 展開が早く、ご都合主義全開ですが、よろしくお願いしますm(__)m

とある公爵の奥方になって、ざまぁする件

ぴぴみ
恋愛
転生してざまぁする。 後日談もあり。