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思考停止
「矢面に嫌味を言われるのは、私になりますから、黙っておけばいいと思ったのです。ですが、鑑定のできる魔術師様にバレてしまいまして……」
「待て、レルス殿下は」
「両陛下は知りませんが、レルス殿下はご存知でございます。だから申し込まれたのだと思ったのですが、そうではないとおっしゃられましたが……さすがに両陛下にも話す必要があると思いました」
「そうだな」
魔術に関して国への義務はないが、さすがに王家に婚約を申し込まれている状態で、黙っていることはできない。
「お父様にも話す必要があると思いました」
「そうだな、カリーナには……?」
「いいえ、そもそも話をすることもありませんので」
「そうか……」
モリーとカリーナが話しているようなところは見たことがなかったが、もしかしたらブレフォスが知らないだけなのではないかとも思っていた。
「あと、パークスラ王国では治癒術を使っておりました」
「っな……」
ブレフォスの思考が停止したが、すぐにどういうことなのか、頭の中で整理をしながら、治癒師の派遣は少なかったのに、パークスラ王国に被害が少なかったのは、そういうことなのかと言葉にならなかった。
代わりのようにオーリンが、モリーに訪ねた。
「まさか、お嬢様が手伝いをされていたのですか」
「そうです、ですがまだ明かしたくなかったので、黙っていてもらっておりましたが、話すことにしたと伝えております」
「そうだったのか……では、モリーは自分の意志で残ったのだな?」
「そうです、何かお役に立てるのではないかと思いました」
「そうか、それは良くやった」
ブレフォスは混乱はしていたが、モリーが治癒術が使えるのならば、パークスラ王国に残って良かったということは間違いない。
「死者は出してしまいましたが……」
「いや、それは別の治癒師がいても同じことだろう。そうか、そうか」
救えたこともあれば、救えなかったのも、治癒師としては当然のことである。
「ジーア・エグリス公爵令息が、こちらにいらしてくださるようですので、国王陛下の手紙を預かっているそうです。一緒に説明に行っていただけると思いますので、それまでお待ちいただければと思っております」
「そ、そうなのか」
「はい、私が治癒術を使えると隠してくださったのはエグリス公爵令息です」
「そうか、分かった。では、ジーア・エグリス公爵令息がいらしてから、両陛下にお時間を取っていただくようにしようではないか」
「はい、黙っていて申し訳ありませんでした」
ブレフォスは怒っていない様子ではあるが、念のために再度謝罪をしておいた。
「いや、私もすまなかった……迷惑を掛けた」
モリーはブレフォスにコアナとマキュレアリリージュのこと言われて、怒られたことしかなかったために謝られて、驚くしかなかった。
「だが、いや、まずは両陛下に話すのが先だな。それで、レルス殿下との婚約はどうするつもりだ?」
「お父様はどうですか?私はお父様に言われた相手と婚約するものだと思っておりましたので」
これまでも言われた通りに、否定も肯定もせず、婚約を受け入れて来たことしかなかったために、モリーに判断するように言われても、困ってしまう。
だったら、ブレフォスに決めて欲しいと思ってしまっていた。
「しっかりしてらっしゃるし、お人柄としてはいいと思うが、モリーが嫌なら断ってもいい。だが、治癒術が使えることが公となると、うーん」
「縁談を申し込む方も多いと思います」
オーリンはモリーに治癒術が使えると分かれば、縁談の申し込みが殺到することが想定できた。
「そこは交渉していただきたいと思います」
「交渉?」
「はい、実は王太子が白紙になる前に見付かっていたのです。ですから、公にされたら、今さら婚約者候補に入れられると思ったのです。それでそのように話をしました。ですが、白紙になり、驚きました」
「そうか……」
「待て、レルス殿下は」
「両陛下は知りませんが、レルス殿下はご存知でございます。だから申し込まれたのだと思ったのですが、そうではないとおっしゃられましたが……さすがに両陛下にも話す必要があると思いました」
「そうだな」
魔術に関して国への義務はないが、さすがに王家に婚約を申し込まれている状態で、黙っていることはできない。
「お父様にも話す必要があると思いました」
「そうだな、カリーナには……?」
「いいえ、そもそも話をすることもありませんので」
「そうか……」
モリーとカリーナが話しているようなところは見たことがなかったが、もしかしたらブレフォスが知らないだけなのではないかとも思っていた。
「あと、パークスラ王国では治癒術を使っておりました」
「っな……」
ブレフォスの思考が停止したが、すぐにどういうことなのか、頭の中で整理をしながら、治癒師の派遣は少なかったのに、パークスラ王国に被害が少なかったのは、そういうことなのかと言葉にならなかった。
代わりのようにオーリンが、モリーに訪ねた。
「まさか、お嬢様が手伝いをされていたのですか」
「そうです、ですがまだ明かしたくなかったので、黙っていてもらっておりましたが、話すことにしたと伝えております」
「そうだったのか……では、モリーは自分の意志で残ったのだな?」
「そうです、何かお役に立てるのではないかと思いました」
「そうか、それは良くやった」
ブレフォスは混乱はしていたが、モリーが治癒術が使えるのならば、パークスラ王国に残って良かったということは間違いない。
「死者は出してしまいましたが……」
「いや、それは別の治癒師がいても同じことだろう。そうか、そうか」
救えたこともあれば、救えなかったのも、治癒師としては当然のことである。
「ジーア・エグリス公爵令息が、こちらにいらしてくださるようですので、国王陛下の手紙を預かっているそうです。一緒に説明に行っていただけると思いますので、それまでお待ちいただければと思っております」
「そ、そうなのか」
「はい、私が治癒術を使えると隠してくださったのはエグリス公爵令息です」
「そうか、分かった。では、ジーア・エグリス公爵令息がいらしてから、両陛下にお時間を取っていただくようにしようではないか」
「はい、黙っていて申し訳ありませんでした」
ブレフォスは怒っていない様子ではあるが、念のために再度謝罪をしておいた。
「いや、私もすまなかった……迷惑を掛けた」
モリーはブレフォスにコアナとマキュレアリリージュのこと言われて、怒られたことしかなかったために謝られて、驚くしかなかった。
「だが、いや、まずは両陛下に話すのが先だな。それで、レルス殿下との婚約はどうするつもりだ?」
「お父様はどうですか?私はお父様に言われた相手と婚約するものだと思っておりましたので」
これまでも言われた通りに、否定も肯定もせず、婚約を受け入れて来たことしかなかったために、モリーに判断するように言われても、困ってしまう。
だったら、ブレフォスに決めて欲しいと思ってしまっていた。
「しっかりしてらっしゃるし、お人柄としてはいいと思うが、モリーが嫌なら断ってもいい。だが、治癒術が使えることが公となると、うーん」
「縁談を申し込む方も多いと思います」
オーリンはモリーに治癒術が使えると分かれば、縁談の申し込みが殺到することが想定できた。
「そこは交渉していただきたいと思います」
「交渉?」
「はい、実は王太子が白紙になる前に見付かっていたのです。ですから、公にされたら、今さら婚約者候補に入れられると思ったのです。それでそのように話をしました。ですが、白紙になり、驚きました」
「そうか……」
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