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振るわない成績
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「そのようなことはありません」
「聞いている時は分かるのだけど、応用となると苦手みたい」
モリーはブランクはあったが、いくら授業を聞いていなくとも、高等部の授業も試験は二度も受けている。何もしないとは言っても、ありのまま解答することは良い成績を取ることになり、避けたかった。
始めの試験は上手く行ったが、これからどう成績を維持しようかと考えていた。
馬鹿過ぎるのも面倒事が増えそうで、授業はちゃんと受け、記録に残る試験だけは下位である必要があった。
明らかに分かっていないと不自然な解答を先に書き、応用問題や点数の高そうな問題などを間違えることにしたのである。
「そういったことはございます」
ペイリーは才女というわけではなかったが、40位以内には必ず入っていた。
今回はたまたまなのだろうと、皆が思っていた。
だが、モリーの試験の結果だけは僅かに上がって、ブレフォスの言ったように二桁にはなったものの、80位台か90位台のままであった。
ブレフォスは、さすがに頭を抱えることになった。
カリーナはロレインに付きっきりであるために、彼女が何かしてこのような状況になっているわけではないことも、分かっていた。
「幼い頃は神童と呼ばれておいででしたのに」
頭を抱えるブレフォスに、執事であるエルソンが悲しげに声を掛けた。
「ああ…」
幼い頃からモリーは賢く、礼儀やマナーは既に完璧と言っていい。
魔力はないが、当時の家庭教師からも神童だと言われていたこともあった。
愛人を引き込んだ私への当てつけなのではないかとすら思ったが、そんなことをして恥をかくのはモリーであり、ブレフォスが恥ずかしい思いをすることはない。
ブレフォスを馬鹿にして、命知らずのようなことをする者はいない。
言語も学ばせており、家庭教師にも理解をしているか確認をして貰ったが、授業で行ったことは分かってらっしゃいますと言い、試しに簡単な試験をして貰ったが、理解が出来ているようだった。
だが、数日前の復習をすると、困った顔をすることはあったそうだ。
それでも、家庭教師も勉強が出来ないとは思えないと言い、モリー自身もどうしてなのかしらと悩んでいるようだったということから、試験になると実力が出ないのかもしれないという結論になった。
「だがな、勉強もさせていて、これだと…」
「分かっていないわけではないのでございますから、期待し過ぎたところもあったのではございませんか」
「ああ…確かに、当然のように成績はいいはずだと思っていた」
「それが、良くなかったことで、余計に落胆されたのではありませんか」
「ああ…そうだな」
カリーナはロレインの教育に励んでいるようだが、モリーの方が賢いと思っていた。どこかで、ロレインに入れ込むカリーナに当てつけで、モリーには及ばないと思いたかったのではないか。
「もしかしたら、これからかもしれませんよ。伸びしろはあるはずです」
「そうだな」
ブレフォスは問題を起こしたわけではないのだから、モリーの成績のことは、これ以上、考えるのは止めようと思った。
学園でもモリーは、賢くないという認識に変わった。
公爵令嬢ということもあり、表立って馬鹿にするようなことはないが、こういった場合も高位貴族だからと攻められ易いことになる。
リークレア・ダンサム公爵令嬢は、15位前後の順位であったが、同じ公爵令嬢として、頭の良い公爵令嬢と頭の悪い公爵令嬢と呼ばれることを、そんなことを言うものではないと言いながら、心の中で笑っていた。
知る由もないが、一度目はまるっきり逆で呼ばれていた。
モリーはリークレアとは友人ではないために、話をすることはないが、リークレアが考えていることは手に取るように分かっていた。
だが、何もしない。
「聞いている時は分かるのだけど、応用となると苦手みたい」
モリーはブランクはあったが、いくら授業を聞いていなくとも、高等部の授業も試験は二度も受けている。何もしないとは言っても、ありのまま解答することは良い成績を取ることになり、避けたかった。
始めの試験は上手く行ったが、これからどう成績を維持しようかと考えていた。
馬鹿過ぎるのも面倒事が増えそうで、授業はちゃんと受け、記録に残る試験だけは下位である必要があった。
明らかに分かっていないと不自然な解答を先に書き、応用問題や点数の高そうな問題などを間違えることにしたのである。
「そういったことはございます」
ペイリーは才女というわけではなかったが、40位以内には必ず入っていた。
今回はたまたまなのだろうと、皆が思っていた。
だが、モリーの試験の結果だけは僅かに上がって、ブレフォスの言ったように二桁にはなったものの、80位台か90位台のままであった。
ブレフォスは、さすがに頭を抱えることになった。
カリーナはロレインに付きっきりであるために、彼女が何かしてこのような状況になっているわけではないことも、分かっていた。
「幼い頃は神童と呼ばれておいででしたのに」
頭を抱えるブレフォスに、執事であるエルソンが悲しげに声を掛けた。
「ああ…」
幼い頃からモリーは賢く、礼儀やマナーは既に完璧と言っていい。
魔力はないが、当時の家庭教師からも神童だと言われていたこともあった。
愛人を引き込んだ私への当てつけなのではないかとすら思ったが、そんなことをして恥をかくのはモリーであり、ブレフォスが恥ずかしい思いをすることはない。
ブレフォスを馬鹿にして、命知らずのようなことをする者はいない。
言語も学ばせており、家庭教師にも理解をしているか確認をして貰ったが、授業で行ったことは分かってらっしゃいますと言い、試しに簡単な試験をして貰ったが、理解が出来ているようだった。
だが、数日前の復習をすると、困った顔をすることはあったそうだ。
それでも、家庭教師も勉強が出来ないとは思えないと言い、モリー自身もどうしてなのかしらと悩んでいるようだったということから、試験になると実力が出ないのかもしれないという結論になった。
「だがな、勉強もさせていて、これだと…」
「分かっていないわけではないのでございますから、期待し過ぎたところもあったのではございませんか」
「ああ…確かに、当然のように成績はいいはずだと思っていた」
「それが、良くなかったことで、余計に落胆されたのではありませんか」
「ああ…そうだな」
カリーナはロレインの教育に励んでいるようだが、モリーの方が賢いと思っていた。どこかで、ロレインに入れ込むカリーナに当てつけで、モリーには及ばないと思いたかったのではないか。
「もしかしたら、これからかもしれませんよ。伸びしろはあるはずです」
「そうだな」
ブレフォスは問題を起こしたわけではないのだから、モリーの成績のことは、これ以上、考えるのは止めようと思った。
学園でもモリーは、賢くないという認識に変わった。
公爵令嬢ということもあり、表立って馬鹿にするようなことはないが、こういった場合も高位貴族だからと攻められ易いことになる。
リークレア・ダンサム公爵令嬢は、15位前後の順位であったが、同じ公爵令嬢として、頭の良い公爵令嬢と頭の悪い公爵令嬢と呼ばれることを、そんなことを言うものではないと言いながら、心の中で笑っていた。
知る由もないが、一度目はまるっきり逆で呼ばれていた。
モリーはリークレアとは友人ではないために、話をすることはないが、リークレアが考えていることは手に取るように分かっていた。
だが、何もしない。
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