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ゴース準男爵
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「狭いところで申し訳ありません」
「いいえ、それで王妃陛下からの手紙には何と?」
「はい、レベンナが王宮で、王家の方に、その失礼な言葉を言ったと……こちらをお読みください」
エッジは王家の特別仕様で、王妃陛下の印の入った封筒を差し出したが、明らかにこの家に場違いな代物であった。
『もっと、明るいカラーの方が王女殿下にはお似合いになるのではありませんか?』
『チュールではなく、レースを使って、もっと華やかにした方が王女殿下に相応しいと思います』
『モリー様に気を使っているのだと思いますが、意見はハッキリ言った方がいいと思います』
モリーを差し置いて勝手に発言し、お針子ではなく、護衛だと本人も認めていた。
だが護衛は嘘で、そこは公爵から執事の独断だったと聞いており、謝罪を受けている。護衛として来たのにも関わらず、勝手に発言をしたのは、レベンナの責任であると判断したとあった。
「事実なのですよね……?」
「はい、その通りです。護衛として同行させたのは、私の息子であるエルソンが勝手に行ったことですが、発言に関しては手紙の通りだと聞いております。そちらは、何と聞いていたのですか?」
「公爵家のお嬢様の手伝いに行くと伺っておりました」
エッジはレベンナから、オブレオサジュール公爵令嬢のデザインの手伝いに行くと聞いていた。
「それだけですか?私はきちんと親に何をしたか、説明しておきなさいと伝えたのですが」
「いいえ、何も聞いておりません」
エッジは顔色を悪くしながら、首を振り続けた。
「本来なら、きちんと話をして聞いて、王妃陛下から手紙が来る前に謝罪をするべきだったでしょう」
「……はい」
「ですが、彼女の言動から、そうなるかとは思っておりましたが、何も分かっていない証拠でしょうね」
「申し訳ございません」
「私に謝る必要はありません、私の息子も同罪です」
オーリンも既に成人している息子の、エッジの既に成人にしている娘の尻拭いをしている。情けないこと極まりない。
ただし、オーリンもエルソンや子爵家のためではなく、オブレオサジュール公爵家のためである。
「身分のことを言いたくはありませんが、彼女はモリーお嬢様のことも、世間というものを馬鹿にしていたのではありませんか」
「っあ、いえ、それは」
エッジもこれまでの言動から、否定できないところであった。
「息子が礼儀を学ばせはしたようですが、あまりに酷いと私も接したのは僅かでしたか、そう感じました。前の仕事も、そのせいで辞めたのではありませんか?」
オーリンは既にレベンナの以前の勤め先に話を聞きに行っており、事情は聞いていたが、訊ねることにした。
「……そ、その通りです。私共には合わないから辞めたと言っておりましたが、お客様にも同僚にも失礼な態度だったようです。子どもの頃に刺繍を褒められたことから、あのようになりまして、自信があるのは良いことだと思っていたのですが……」
「何かコンテストなどの実績はあるのですか?」
「いいえ、ありません」
レベンナは学園に通い、その後、オートクチュールのアトリエに勤めたかったが、採用して貰えず、それでもドレスも作る大きな店にお針子として採用して貰ったが、一年で辞めてしまった。
コンテストにも参加はしていたようだが、賞をもらうようなことはなかった。
それからは知り合いの仕事を受けたりしていると言っていたが、エッジも何か仕事があればと周りにも話していた。
オブレオサジュール公爵家のお手伝いも、いい話だと思っていた。失礼のないようにとも、きちんと伝えたが、大丈夫だからと本気で受け取っていなかった。
辞めた理由も本人は分かっているのだからと思っていたが、何も分かっていなかったのだろう。
「いいえ、それで王妃陛下からの手紙には何と?」
「はい、レベンナが王宮で、王家の方に、その失礼な言葉を言ったと……こちらをお読みください」
エッジは王家の特別仕様で、王妃陛下の印の入った封筒を差し出したが、明らかにこの家に場違いな代物であった。
『もっと、明るいカラーの方が王女殿下にはお似合いになるのではありませんか?』
『チュールではなく、レースを使って、もっと華やかにした方が王女殿下に相応しいと思います』
『モリー様に気を使っているのだと思いますが、意見はハッキリ言った方がいいと思います』
モリーを差し置いて勝手に発言し、お針子ではなく、護衛だと本人も認めていた。
だが護衛は嘘で、そこは公爵から執事の独断だったと聞いており、謝罪を受けている。護衛として来たのにも関わらず、勝手に発言をしたのは、レベンナの責任であると判断したとあった。
「事実なのですよね……?」
「はい、その通りです。護衛として同行させたのは、私の息子であるエルソンが勝手に行ったことですが、発言に関しては手紙の通りだと聞いております。そちらは、何と聞いていたのですか?」
「公爵家のお嬢様の手伝いに行くと伺っておりました」
エッジはレベンナから、オブレオサジュール公爵令嬢のデザインの手伝いに行くと聞いていた。
「それだけですか?私はきちんと親に何をしたか、説明しておきなさいと伝えたのですが」
「いいえ、何も聞いておりません」
エッジは顔色を悪くしながら、首を振り続けた。
「本来なら、きちんと話をして聞いて、王妃陛下から手紙が来る前に謝罪をするべきだったでしょう」
「……はい」
「ですが、彼女の言動から、そうなるかとは思っておりましたが、何も分かっていない証拠でしょうね」
「申し訳ございません」
「私に謝る必要はありません、私の息子も同罪です」
オーリンも既に成人している息子の、エッジの既に成人にしている娘の尻拭いをしている。情けないこと極まりない。
ただし、オーリンもエルソンや子爵家のためではなく、オブレオサジュール公爵家のためである。
「身分のことを言いたくはありませんが、彼女はモリーお嬢様のことも、世間というものを馬鹿にしていたのではありませんか」
「っあ、いえ、それは」
エッジもこれまでの言動から、否定できないところであった。
「息子が礼儀を学ばせはしたようですが、あまりに酷いと私も接したのは僅かでしたか、そう感じました。前の仕事も、そのせいで辞めたのではありませんか?」
オーリンは既にレベンナの以前の勤め先に話を聞きに行っており、事情は聞いていたが、訊ねることにした。
「……そ、その通りです。私共には合わないから辞めたと言っておりましたが、お客様にも同僚にも失礼な態度だったようです。子どもの頃に刺繍を褒められたことから、あのようになりまして、自信があるのは良いことだと思っていたのですが……」
「何かコンテストなどの実績はあるのですか?」
「いいえ、ありません」
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それからは知り合いの仕事を受けたりしていると言っていたが、エッジも何か仕事があればと周りにも話していた。
オブレオサジュール公爵家のお手伝いも、いい話だと思っていた。失礼のないようにとも、きちんと伝えたが、大丈夫だからと本気で受け取っていなかった。
辞めた理由も本人は分かっているのだからと思っていたが、何も分かっていなかったのだろう。
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