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皇女と王女2(最終話)
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離宮に戻されたシュアリーは荒れた。私が折角返してあげると言っているのに、結局、アウラージュは仕方ないと、受け入れてくれる、せめて何かいい考えを思い付いてくれると信じていた。
シュアリーは婚約の継続のことで、既にルカスとは険悪な雰囲気になっており、アウラージュだけが頼みの綱だったのだ。
「ルカス様も伯爵家なんて不満でしょう」
「もうどうにもなりませんから」
ルカスは父親にこれが最上の待遇だと説明されて、粛々と受け入れるしかなかった。ルカスがシュアリーを選んだ責任なのだ。
「不満じゃないの?」
「それはシュアリー様じゃないですか、もっと自分には相応しい縁談があると思ってらっしゃるのでしょう?」
「酷い!何てことを言うの!」
「ではブルーノ殿下から申し込みがあったら、どうしますか?」
「そっ、それは、国のためになるのなら、お受けするわ」
「ほら」
数回会っただけのブルーノ殿下に、あれだけ喜々とした目をしていれば喜んで飛び付くだろう。始めは嫉妬心もあったと思うが、相手にされていないことが滑稽だと思えるほど、シュアリーへの気持ちは変わってしまった。
「国のためになるのならと言ったわ」
「では国のために、二十歳年上の方に嫁いでくれと言われたら出来るのですか?それは嫌なのでしょう?」
「二十歳も年上なんて」
「私には相応しくない?どんな相手なら、あなたに相応しいのですか?私ではないのでしょう?」
「どうしてそんなこと言うのよ!あなただって、あの伯爵令嬢に!」
「あれは誤解です。面白い思想を持つ者だと思っただけです」
「信じられないわっ!」
ルカスはもう私のことなんて好きじゃない、何でこんな人を選んでしまったのだろう。どうして誰かどうにかしてくれないのよ、おかしいじゃない。
シュアリーは努力はしないが、求めるものは上等である。私は王女だからと、地位だけで自身には与えられるべきものだと疑わなかった。
今までもすべてを与えられて来たわけではない、陛下だって無理なことは言い聞かせた。だが、根底にしつこく迫れば、相手が根負けすると思っている。
確かにアウラージュは恵まれていた、サリキュース帝国の後ろ盾はあっただろうが、陛下がシュアリーを気に掛ける分、他の者たちはアウラージュを気に掛けていた。アウラージュは与えられたものはきちんと行い、地位に驕ることはなかった。シュアリーはその場では行ったが、地位でどうにかなると驕っていた。
きっとシュアリーとの差はたったそれだけ。アウラージュも研究にはのめり込むが、すべてに置いて優秀だったわけではない。だが、たったそれだけがこの従姉妹であり、姉妹でもあった2人の命運を分けたのだ。
シュアリーは学園を何とか卒業し、ルカスと結婚する以外なかった。ルカスも同じである。あの日、手と手を取り合った2人は一体何だったのだろうか。互いに後悔を抱えながら、こんなはずじゃなかったと生きていくしかない。
アウラージュは一体どこにいるのか、何をしているのか、結婚はしたのか?アルバートと?まさかのブルーノ?それともサリキュース帝国の人間か?
ブラックア公爵が息子とこの家をなんて言い出したり、スイク王国の国王夫妻があのナルシストをコントロール出来るのは皇女様だけですと言い出したり、エレン皇帝が側に置こうと、国内での縁談を持って追い回して来たりするかもしれない。
すべてを差し出したアウラージュはこれからどんな人生を歩むのか、それはアウラージュ自身が一番楽しみにしている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただきありがとうございました。
最後はアウラージュが羽ばたくまでと思っておりましたので、
ここで終わり?と思われる方もいましたら、申し訳ありません。
テイストは全く違う前世持ちの令嬢の話を2作品、投稿中です。
(1つは今日から投稿しています)
またこんなに多くの方に読んで貰えるとは思っておらず、とても励みになりました。
お読みいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
シュアリーは婚約の継続のことで、既にルカスとは険悪な雰囲気になっており、アウラージュだけが頼みの綱だったのだ。
「ルカス様も伯爵家なんて不満でしょう」
「もうどうにもなりませんから」
ルカスは父親にこれが最上の待遇だと説明されて、粛々と受け入れるしかなかった。ルカスがシュアリーを選んだ責任なのだ。
「不満じゃないの?」
「それはシュアリー様じゃないですか、もっと自分には相応しい縁談があると思ってらっしゃるのでしょう?」
「酷い!何てことを言うの!」
「ではブルーノ殿下から申し込みがあったら、どうしますか?」
「そっ、それは、国のためになるのなら、お受けするわ」
「ほら」
数回会っただけのブルーノ殿下に、あれだけ喜々とした目をしていれば喜んで飛び付くだろう。始めは嫉妬心もあったと思うが、相手にされていないことが滑稽だと思えるほど、シュアリーへの気持ちは変わってしまった。
「国のためになるのならと言ったわ」
「では国のために、二十歳年上の方に嫁いでくれと言われたら出来るのですか?それは嫌なのでしょう?」
「二十歳も年上なんて」
「私には相応しくない?どんな相手なら、あなたに相応しいのですか?私ではないのでしょう?」
「どうしてそんなこと言うのよ!あなただって、あの伯爵令嬢に!」
「あれは誤解です。面白い思想を持つ者だと思っただけです」
「信じられないわっ!」
ルカスはもう私のことなんて好きじゃない、何でこんな人を選んでしまったのだろう。どうして誰かどうにかしてくれないのよ、おかしいじゃない。
シュアリーは努力はしないが、求めるものは上等である。私は王女だからと、地位だけで自身には与えられるべきものだと疑わなかった。
今までもすべてを与えられて来たわけではない、陛下だって無理なことは言い聞かせた。だが、根底にしつこく迫れば、相手が根負けすると思っている。
確かにアウラージュは恵まれていた、サリキュース帝国の後ろ盾はあっただろうが、陛下がシュアリーを気に掛ける分、他の者たちはアウラージュを気に掛けていた。アウラージュは与えられたものはきちんと行い、地位に驕ることはなかった。シュアリーはその場では行ったが、地位でどうにかなると驕っていた。
きっとシュアリーとの差はたったそれだけ。アウラージュも研究にはのめり込むが、すべてに置いて優秀だったわけではない。だが、たったそれだけがこの従姉妹であり、姉妹でもあった2人の命運を分けたのだ。
シュアリーは学園を何とか卒業し、ルカスと結婚する以外なかった。ルカスも同じである。あの日、手と手を取り合った2人は一体何だったのだろうか。互いに後悔を抱えながら、こんなはずじゃなかったと生きていくしかない。
アウラージュは一体どこにいるのか、何をしているのか、結婚はしたのか?アルバートと?まさかのブルーノ?それともサリキュース帝国の人間か?
ブラックア公爵が息子とこの家をなんて言い出したり、スイク王国の国王夫妻があのナルシストをコントロール出来るのは皇女様だけですと言い出したり、エレン皇帝が側に置こうと、国内での縁談を持って追い回して来たりするかもしれない。
すべてを差し出したアウラージュはこれからどんな人生を歩むのか、それはアウラージュ自身が一番楽しみにしている。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
最後はアウラージュが羽ばたくまでと思っておりましたので、
ここで終わり?と思われる方もいましたら、申し訳ありません。
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お読みいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
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