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剣呑
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「よく見るんだ、本当にいないのか?」
カメリアの前にはディラン・パスドアーツの写っている結婚式の際の写真と、研究所の写真が並べてあった。
「おりません、どうしたのですか?」
「いないのか…?」
じゃあ、カメリアの言うディラン・パスドアーツは一体誰なのか。折角、嫁ぎ先が見付かったと思ったのに、でも問い合わせる前で良かったのかもしれない。
「お父様?」
「ディラン・パスドアーツ様は、この礼服の男性と、メガネの掛けた男性だ」
結婚式の写真は眼鏡を掛けておらず、印象が違うということは防げると思っていたが、そもそも違うのならば、意味がない。
「っえ、違うわ!」
「いや、ドリーツ王国にディラン・パスドアーツはこの方しかいない」
「嘘よ!」
「嘘じゃない、カメリアが会っていたの誰なんだ?」
「知らないわ、だからこの写真が間違いなのよ!ディランじゃないわ」
カメリア自身がディラン・パスドアーツではないと言った以上、別人であることは間違いない。
「似てもいないのか?」
「ディランはもっと美形で、鼻が高くて、眼鏡なんて掛けていないもの!ちゃんと調べて!」
母国や、学園内のことであれば調べることは可能だが、そうではないのなら調べようがない。トリンス王国に頼むにしても、内容が内容であるために憚られる。
「どこで知り合ったんだ?」
「図書館よ」
「幾つだと言っていた?」
「19歳」
「仕事は?」
「研究者だって」
名前を名乗るくらいだから、ディラン・パスドアーツのデータは入っていたのだろう。女性を口説くのにちょうど良かったのだろうか。
「どうしてドリーツ王国にいたのか聞いたか?」
「学会だと言っていたわ」
「誰かと一緒だったことはあるか?身元の分かっている方から、ディラン・パスドアーツだと紹介されたりはあったか?」
「お付きの人はいたけど、他の人から紹介されるようなことがなかったから」
それでは、本人だとは言えないだろう。
「はあ…騙そうとしたのかは分からないが、何か取られたりしていないか?」
「少し、手持ちがない時にお金を貸したけど…たいした額ではないわ」
「そのお金はもう諦めなさい。パスドアーツ公爵家に問い合わせる前で良かった。探しようもないのだから、もう忘れなさい」
まさか王女を騙すとは、一体何者なのだろうか。
それとも、後から王女と分かって、しつこくされては困ると、逃げるために適当なことを言ったのだろうか。
「嫌よ!」
「嫌だと言ってもどうにもならない!騙されたんだろう」
「騙された?」
カメリアは茫然としながら、呟いた。騙されたとも考えられなかったのだろうと、バトワスは感じた。
「ディラン・パスドアーツの名前を使って、詐欺でもしていたか、女性を口説いていたんじゃないか」
「ディランはそんなことしないわ」
「本人とは、別人なんだろう?貴族ではない可能性もあるんじゃないか」
「そんなはずない、だって、婚約してくれるって、結婚してくれるって…言ったのよ、待っていて欲しいって、おかしいわ、絶対何かの間違いよ」
侍女とメイドにも一応、確認をして貰ったが、カメリア同様に写真の中に二人の見たディラン・パスドアーツはいなかった。
「私は、ディランと婚約するのよ」
「はあ…ドリーツ王国にディラン・パスドアーツとは婚約は出来ない。そもそも、本物はカメリアのことを知りもしないだろう」
「私のディランは、ディランはどこなの…」
喚き散らし始めたので、部屋に戻すことにした。結局、決まるかと期待していた婚約は、決まることはないまま終わった。
念のために、パスドアーツ公爵家に知らせて置いた方がいいのかと考えていると、オリビアが駆け込んで来た。
「話があるの」
「どうしたんだ?」
オリビアは室内の事務官を気にしており、二人きりにして貰った。
「カメリアが妊娠しているかもしれない…」
「は?」
カメリアの前にはディラン・パスドアーツの写っている結婚式の際の写真と、研究所の写真が並べてあった。
「おりません、どうしたのですか?」
「いないのか…?」
じゃあ、カメリアの言うディラン・パスドアーツは一体誰なのか。折角、嫁ぎ先が見付かったと思ったのに、でも問い合わせる前で良かったのかもしれない。
「お父様?」
「ディラン・パスドアーツ様は、この礼服の男性と、メガネの掛けた男性だ」
結婚式の写真は眼鏡を掛けておらず、印象が違うということは防げると思っていたが、そもそも違うのならば、意味がない。
「っえ、違うわ!」
「いや、ドリーツ王国にディラン・パスドアーツはこの方しかいない」
「嘘よ!」
「嘘じゃない、カメリアが会っていたの誰なんだ?」
「知らないわ、だからこの写真が間違いなのよ!ディランじゃないわ」
カメリア自身がディラン・パスドアーツではないと言った以上、別人であることは間違いない。
「似てもいないのか?」
「ディランはもっと美形で、鼻が高くて、眼鏡なんて掛けていないもの!ちゃんと調べて!」
母国や、学園内のことであれば調べることは可能だが、そうではないのなら調べようがない。トリンス王国に頼むにしても、内容が内容であるために憚られる。
「どこで知り合ったんだ?」
「図書館よ」
「幾つだと言っていた?」
「19歳」
「仕事は?」
「研究者だって」
名前を名乗るくらいだから、ディラン・パスドアーツのデータは入っていたのだろう。女性を口説くのにちょうど良かったのだろうか。
「どうしてドリーツ王国にいたのか聞いたか?」
「学会だと言っていたわ」
「誰かと一緒だったことはあるか?身元の分かっている方から、ディラン・パスドアーツだと紹介されたりはあったか?」
「お付きの人はいたけど、他の人から紹介されるようなことがなかったから」
それでは、本人だとは言えないだろう。
「はあ…騙そうとしたのかは分からないが、何か取られたりしていないか?」
「少し、手持ちがない時にお金を貸したけど…たいした額ではないわ」
「そのお金はもう諦めなさい。パスドアーツ公爵家に問い合わせる前で良かった。探しようもないのだから、もう忘れなさい」
まさか王女を騙すとは、一体何者なのだろうか。
それとも、後から王女と分かって、しつこくされては困ると、逃げるために適当なことを言ったのだろうか。
「嫌よ!」
「嫌だと言ってもどうにもならない!騙されたんだろう」
「騙された?」
カメリアは茫然としながら、呟いた。騙されたとも考えられなかったのだろうと、バトワスは感じた。
「ディラン・パスドアーツの名前を使って、詐欺でもしていたか、女性を口説いていたんじゃないか」
「ディランはそんなことしないわ」
「本人とは、別人なんだろう?貴族ではない可能性もあるんじゃないか」
「そんなはずない、だって、婚約してくれるって、結婚してくれるって…言ったのよ、待っていて欲しいって、おかしいわ、絶対何かの間違いよ」
侍女とメイドにも一応、確認をして貰ったが、カメリア同様に写真の中に二人の見たディラン・パスドアーツはいなかった。
「私は、ディランと婚約するのよ」
「はあ…ドリーツ王国にディラン・パスドアーツとは婚約は出来ない。そもそも、本物はカメリアのことを知りもしないだろう」
「私のディランは、ディランはどこなの…」
喚き散らし始めたので、部屋に戻すことにした。結局、決まるかと期待していた婚約は、決まることはないまま終わった。
念のために、パスドアーツ公爵家に知らせて置いた方がいいのかと考えていると、オリビアが駆け込んで来た。
「話があるの」
「どうしたんだ?」
オリビアは室内の事務官を気にしており、二人きりにして貰った。
「カメリアが妊娠しているかもしれない…」
「は?」
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