25 / 196
半信半疑
しおりを挟む
「私だって信じられないわ」
「あの子は15歳だぞ…」
いくら妊娠が出来る体になっているとは言っても、アジェル王国でも15歳で妊娠などあり得ないとなっている。
しかも、婚約も結婚もしていない王女が妊娠だなんてスキャンダルになり、さらに国の評判に関わってしまう。
「だから、私も驚いたの…」
「本人が気付いたのか?」
「いいえ、具合が悪いというから医師を呼んだのだけど、生理が来ていないことと、妊娠初期と似ていることで、もしかしたらと言われたの」
学園では既成事実を作るなどが蔓延していることで、王女だったとしても、留学もあったことから、15歳にも妊娠の疑いが向けられたのだろう。
「まだ確定ではないんだよな?」
「ええ、まだ関係を持ったかすら聞いていないわ」
「そうか…そのような行為をしていなければ、自ずと違うことになるな」
教育はしているはずだが、王女が、15歳が子どもを作るような行為をしたということになる。それは考えたくはないことだった。
「でも、カメリアから少し聞いたのだけど、トリンス王国で親しくしていた方がいたって…まさかその方と?」
「それは騙されていたようだ」
「騙された?え?一体、どういうことよ!」
オリビアには、まだディラン・パスドアーツの話は確定ではなかったので、伝えていなかった。
「その男性は、カメリアにはドリーツ王国の公爵令息だと言ったそうだが、その名前の男性の写真を見せたら違うと言い出した」
「別人だったってこと?」
「ああ、何者かはカメリアの話を聞く限りでは分からないが、公爵令息の振りをしていたのだろう」
「そんな…じゃあ、あの子は…」
「まさか、15歳が関係を持つのか?」
さすがの二人も、まさかと口にしながらも、万が一ということがあるのではないかとどこかで思っていた。
「私が聞いてみるわ、もしも妊娠していたら大変だもの」
「ああ、ますます縁談などないぞ…」
「分かっているわ、未婚で相手もいないのに、妊娠だなんて…しかも相手は誰か分からないような男性だなんて、公になったら、もう外に出せないわ。その男性を探し出すのは難しいのよね?」
「その勝手に名前を使われた家に忠告をしようかとは思ったが、探すようなことをすれば、何かあるのかと疑われるだろう…」
オリビアもそれは不味いと感じたようで、項垂れている。
「一応、注意のためにも連絡だけはしてみるが…見付かれば罰することは出来るだろうが、子どもの方は…」
お金も渡していたということから、罰することは出来るだろうが、子どものことはどうにか出来るものではない。王家の人間は避妊してはならないというのは、結婚している相手に対してであり、未婚の王女には当てはまるものではない。
万が一、妊娠していたらどうするべきか、考えなくてはならない。
「そうよね、子どもは…出来ていなくても、乙女であることを求められるところにも嫁げないことにもなるわ」
縁談があるわけではないが、王家は乙女であることを前提とされ、貴族も高位貴族の場合は、托卵防止のために乙女を求められる。
しかも、現在、既成事実などと言っていることから、生まれた子どもを調べられる可能性も高い。
「ああ…アマリリスのことがあったから、カメリアはきちんと戻って来て良かった、騙されたとしても、被害があったわけではないと思っていたのだが…」
「ええ、私も年齢のことから、そう思っていたわ」
そして、翌日、まだ具合が良くないと寝ているカメリアに、オリビアは話をすることにした。
「具合はどう?」
「うーん、まだ気分がすぐれなくて」
カメリアはディランがディラン・パスドアーツ公爵令息ではないと聞かされて、ショックで泣き喚き、そのことで具合が悪くなったのだと思っている。
「あの子は15歳だぞ…」
いくら妊娠が出来る体になっているとは言っても、アジェル王国でも15歳で妊娠などあり得ないとなっている。
しかも、婚約も結婚もしていない王女が妊娠だなんてスキャンダルになり、さらに国の評判に関わってしまう。
「だから、私も驚いたの…」
「本人が気付いたのか?」
「いいえ、具合が悪いというから医師を呼んだのだけど、生理が来ていないことと、妊娠初期と似ていることで、もしかしたらと言われたの」
学園では既成事実を作るなどが蔓延していることで、王女だったとしても、留学もあったことから、15歳にも妊娠の疑いが向けられたのだろう。
「まだ確定ではないんだよな?」
「ええ、まだ関係を持ったかすら聞いていないわ」
「そうか…そのような行為をしていなければ、自ずと違うことになるな」
教育はしているはずだが、王女が、15歳が子どもを作るような行為をしたということになる。それは考えたくはないことだった。
「でも、カメリアから少し聞いたのだけど、トリンス王国で親しくしていた方がいたって…まさかその方と?」
「それは騙されていたようだ」
「騙された?え?一体、どういうことよ!」
オリビアには、まだディラン・パスドアーツの話は確定ではなかったので、伝えていなかった。
「その男性は、カメリアにはドリーツ王国の公爵令息だと言ったそうだが、その名前の男性の写真を見せたら違うと言い出した」
「別人だったってこと?」
「ああ、何者かはカメリアの話を聞く限りでは分からないが、公爵令息の振りをしていたのだろう」
「そんな…じゃあ、あの子は…」
「まさか、15歳が関係を持つのか?」
さすがの二人も、まさかと口にしながらも、万が一ということがあるのではないかとどこかで思っていた。
「私が聞いてみるわ、もしも妊娠していたら大変だもの」
「ああ、ますます縁談などないぞ…」
「分かっているわ、未婚で相手もいないのに、妊娠だなんて…しかも相手は誰か分からないような男性だなんて、公になったら、もう外に出せないわ。その男性を探し出すのは難しいのよね?」
「その勝手に名前を使われた家に忠告をしようかとは思ったが、探すようなことをすれば、何かあるのかと疑われるだろう…」
オリビアもそれは不味いと感じたようで、項垂れている。
「一応、注意のためにも連絡だけはしてみるが…見付かれば罰することは出来るだろうが、子どもの方は…」
お金も渡していたということから、罰することは出来るだろうが、子どものことはどうにか出来るものではない。王家の人間は避妊してはならないというのは、結婚している相手に対してであり、未婚の王女には当てはまるものではない。
万が一、妊娠していたらどうするべきか、考えなくてはならない。
「そうよね、子どもは…出来ていなくても、乙女であることを求められるところにも嫁げないことにもなるわ」
縁談があるわけではないが、王家は乙女であることを前提とされ、貴族も高位貴族の場合は、托卵防止のために乙女を求められる。
しかも、現在、既成事実などと言っていることから、生まれた子どもを調べられる可能性も高い。
「ああ…アマリリスのことがあったから、カメリアはきちんと戻って来て良かった、騙されたとしても、被害があったわけではないと思っていたのだが…」
「ええ、私も年齢のことから、そう思っていたわ」
そして、翌日、まだ具合が良くないと寝ているカメリアに、オリビアは話をすることにした。
「具合はどう?」
「うーん、まだ気分がすぐれなくて」
カメリアはディランがディラン・パスドアーツ公爵令息ではないと聞かされて、ショックで泣き喚き、そのことで具合が悪くなったのだと思っている。
4,002
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる