【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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半信半疑

「私だって信じられないわ」
「あの子は15歳だぞ…」

 いくら妊娠が出来る体になっているとは言っても、アジェル王国でも15歳で妊娠などあり得ないとなっている。

 しかも、婚約も結婚もしていない王女が妊娠だなんてスキャンダルになり、さらに国の評判に関わってしまう。

「だから、私も驚いたの…」
「本人が気付いたのか?」
「いいえ、具合が悪いというから医師を呼んだのだけど、生理が来ていないことと、妊娠初期と似ていることで、もしかしたらと言われたの」

 学園では既成事実を作るなどが蔓延していることで、王女だったとしても、留学もあったことから、15歳にも妊娠の疑いが向けられたのだろう。

「まだ確定ではないんだよな?」
「ええ、まだ関係を持ったかすら聞いていないわ」
「そうか…そのような行為をしていなければ、自ずと違うことになるな」

 教育はしているはずだが、王女が、15歳が子どもを作るような行為をしたということになる。それは考えたくはないことだった。

「でも、カメリアから少し聞いたのだけど、トリンス王国で親しくしていた方がいたって…まさかその方と?」
「それは騙されていたようだ」
「騙された?え?一体、どういうことよ!」

 オリビアには、まだディラン・パスドアーツの話は確定ではなかったので、伝えていなかった。

「その男性は、カメリアにはドリーツ王国の公爵令息だと言ったそうだが、その名前の男性の写真を見せたら違うと言い出した」
「別人だったってこと?」
「ああ、何者かはカメリアの話を聞く限りでは分からないが、公爵令息の振りをしていたのだろう」
「そんな…じゃあ、あの子は…」
「まさか、15歳が関係を持つのか?」

 さすがの二人も、まさかと口にしながらも、万が一ということがあるのではないかとどこかで思っていた。

「私が聞いてみるわ、もしも妊娠していたら大変だもの」
「ああ、ますます縁談などないぞ…」
「分かっているわ、未婚で相手もいないのに、妊娠だなんて…しかも相手は誰か分からないような男性だなんて、公になったら、もう外に出せないわ。その男性を探し出すのは難しいのよね?」
「その勝手に名前を使われた家に忠告をしようかとは思ったが、探すようなことをすれば、何かあるのかと疑われるだろう…」

 オリビアもそれは不味いと感じたようで、項垂れている。

「一応、注意のためにも連絡だけはしてみるが…見付かれば罰することは出来るだろうが、子どもの方は…」

 お金も渡していたということから、罰することは出来るだろうが、子どものことはどうにか出来るものではない。王家の人間は避妊してはならないというのは、結婚している相手に対してであり、未婚の王女には当てはまるものではない。

 万が一、妊娠していたらどうするべきか、考えなくてはならない。

「そうよね、子どもは…出来ていなくても、乙女であることを求められるところにも嫁げないことにもなるわ」

 縁談があるわけではないが、王家は乙女であることを前提とされ、貴族も高位貴族の場合は、托卵防止のために乙女を求められる。

 しかも、現在、既成事実などと言っていることから、生まれた子どもを調べられる可能性も高い。

「ああ…アマリリスのことがあったから、カメリアはきちんと戻って来て良かった、騙されたとしても、被害があったわけではないと思っていたのだが…」
「ええ、私も年齢のことから、そう思っていたわ」

 そして、翌日、まだ具合が良くないと寝ているカメリアに、オリビアは話をすることにした。

「具合はどう?」
「うーん、まだ気分がすぐれなくて」

 カメリアはディランがディラン・パスドアーツ公爵令息ではないと聞かされて、ショックで泣き喚き、そのことで具合が悪くなったのだと思っている。

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