【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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「具合が悪いことに心当たりは?」
「お母様…実は、トリンス王国で親しくしていた令息がいたと話したでしょう?」

 オリビアはとりあえず、話を聞こうと思い、相槌を打った。

「その方が、別人だってお父様が言うの。ディランが嘘を付くはずがないのに。それで、ショックを受けたから体調を崩したのだと思うわ」
「お父様に聞いたわ、写真を見せて貰った方とは違ったのでしょう?」
「だから、間違なの!」
「でもそのディランって名前の方はいても、公爵家は限られるわ」

 ディランとだけ名乗ったのなら、カメリアの勘違いということもあるが、パスドアーツ公爵家など、間違えようがない。

「じゃあ、私が聞き間違えたのかも。きっとそうよ」
「聞き間違えるような家ではないでしょう」
「でも、ディランが私を騙すだなんて、あり得ないの」
「どんなお付き合いをしていたの?」
「食事に行ったり、出掛けたりしたわ…絵を見に行ったこともあるわ」
「そうなのね」

 カメリアは公爵令息だと思っていたのだから、受け入れられないのは分かるが、関係を持っていたのなら、話は変わって来る。

 王族が他国で簡単に関係を持つなんて、評判を落としかねない。オリビアですら分かっていたから、バトワスと結婚するまでは、最後まではしなかった。

「まさかその彼と、関係を持ったりしていないわよね?」
「えっ?」
「留学先で子どもが出来るようなことしていないわよね?」
「どうして…」
「あなたが親しくって言っていたから、まさかと思って、確認よ」

 オリビアはそんなことはあるはずないと思い込もうとしながらも、カメリアの顔色が悪くなり、どんどん慌てている様子に、していないと言ってと思いながらも、言われても信じられないだろうと考えていた。

「持ったの…?」
「だって、婚約するから、結婚するからって、既成事実っていうのがあれば、結婚が出来るのでしょう?」
「はあ…騙されていたのだとしても、無理矢理ではないのね?」
「私たちは愛し合って」
「…結婚前に王女がそんな簡単に関係を持つなんて、あり得ないことよ。貴族令嬢だったお母様でも、そんなことしなかったわ」
「でも、今は皆しているのでしょう?」

 学園にまだ通っていないカメリアは、実態を知らなかった。

「してはならないことよ」
「でも、既成事実があれば、結婚するのでしょう?」

 オリビアは偏った学園での情報を鵜呑みにして、勝手に解釈した様子のカメリアを情けなくて仕方なくなった。

「王族教育でも、習ったでしょう?」
「でも、時代は違うのだと思って」
「そんなはずないでしょう!何のために受けさせていると思っているの!」

 オリビアは堪らなくなって、さすがに怒鳴り付けた。

「妊娠したといった令嬢も、妊娠させたという令息も、結婚が出来た人たちだけではないのよ。無理矢理に堕胎させられたり、襲われたと訴えられたり、事故だと言われているけど、怪我をさせられたり、酷い目に遭っている人たちの方が多いのよ。しかも、既に退学になっている者もいるわ」
「そんな…」

 既成事実があればという風潮になり、真面目に学ぶために通っている者から訴えもあり、学園も手に負えなくなった際に、既成事実を含む風紀を乱すことがあれば、退学して貰うという処置を取った。

 そうなれば、いくら既成事実を持っても、学園を退学させられれば貴族として認められない。そこまでしなければ、収まらなかった。

 勿論、妊娠したという令嬢は即刻退学になった。襲われて、希望していない妊娠なら違ったが、結婚して貰うためであった。彼女は流産して、修道院に入っている。

 おかげで今は前より静かにはなったが、それでも一部ではまだ奪い合ったりしているというのだから、頭が痛い。

 オリビアは私たちの頃はこんなことはなかったと、自分の行ったことは横に置いて、嘆いているのである。


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本日もお読みいただきありがとうございます。
お気に入りが増えて感動しております。

感謝を込めて、スポーツの日記念(こじつけ)に、
17時にもう1話投稿させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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