26 / 196
問う
しおりを挟む
「具合が悪いことに心当たりは?」
「お母様…実は、トリンス王国で親しくしていた令息がいたと話したでしょう?」
オリビアはとりあえず、話を聞こうと思い、相槌を打った。
「その方が、別人だってお父様が言うの。ディランが嘘を付くはずがないのに。それで、ショックを受けたから体調を崩したのだと思うわ」
「お父様に聞いたわ、写真を見せて貰った方とは違ったのでしょう?」
「だから、間違なの!」
「でもそのディランって名前の方はいても、公爵家は限られるわ」
ディランとだけ名乗ったのなら、カメリアの勘違いということもあるが、パスドアーツ公爵家など、間違えようがない。
「じゃあ、私が聞き間違えたのかも。きっとそうよ」
「聞き間違えるような家ではないでしょう」
「でも、ディランが私を騙すだなんて、あり得ないの」
「どんなお付き合いをしていたの?」
「食事に行ったり、出掛けたりしたわ…絵を見に行ったこともあるわ」
「そうなのね」
カメリアは公爵令息だと思っていたのだから、受け入れられないのは分かるが、関係を持っていたのなら、話は変わって来る。
王族が他国で簡単に関係を持つなんて、評判を落としかねない。オリビアですら分かっていたから、バトワスと結婚するまでは、最後まではしなかった。
「まさかその彼と、関係を持ったりしていないわよね?」
「えっ?」
「留学先で子どもが出来るようなことしていないわよね?」
「どうして…」
「あなたが親しくって言っていたから、まさかと思って、確認よ」
オリビアはそんなことはあるはずないと思い込もうとしながらも、カメリアの顔色が悪くなり、どんどん慌てている様子に、していないと言ってと思いながらも、言われても信じられないだろうと考えていた。
「持ったの…?」
「だって、婚約するから、結婚するからって、既成事実っていうのがあれば、結婚が出来るのでしょう?」
「はあ…騙されていたのだとしても、無理矢理ではないのね?」
「私たちは愛し合って」
「…結婚前に王女がそんな簡単に関係を持つなんて、あり得ないことよ。貴族令嬢だったお母様でも、そんなことしなかったわ」
「でも、今は皆しているのでしょう?」
学園にまだ通っていないカメリアは、実態を知らなかった。
「してはならないことよ」
「でも、既成事実があれば、結婚するのでしょう?」
オリビアは偏った学園での情報を鵜呑みにして、勝手に解釈した様子のカメリアを情けなくて仕方なくなった。
「王族教育でも、習ったでしょう?」
「でも、時代は違うのだと思って」
「そんなはずないでしょう!何のために受けさせていると思っているの!」
オリビアは堪らなくなって、さすがに怒鳴り付けた。
「妊娠したといった令嬢も、妊娠させたという令息も、結婚が出来た人たちだけではないのよ。無理矢理に堕胎させられたり、襲われたと訴えられたり、事故だと言われているけど、怪我をさせられたり、酷い目に遭っている人たちの方が多いのよ。しかも、既に退学になっている者もいるわ」
「そんな…」
既成事実があればという風潮になり、真面目に学ぶために通っている者から訴えもあり、学園も手に負えなくなった際に、既成事実を含む風紀を乱すことがあれば、退学して貰うという処置を取った。
そうなれば、いくら既成事実を持っても、学園を退学させられれば貴族として認められない。そこまでしなければ、収まらなかった。
勿論、妊娠したという令嬢は即刻退学になった。襲われて、希望していない妊娠なら違ったが、結婚して貰うためであった。彼女は流産して、修道院に入っている。
おかげで今は前より静かにはなったが、それでも一部ではまだ奪い合ったりしているというのだから、頭が痛い。
オリビアは私たちの頃はこんなことはなかったと、自分の行ったことは横に置いて、嘆いているのである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
お気に入りが増えて感動しております。
感謝を込めて、スポーツの日記念(こじつけ)に、
17時にもう1話投稿させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「お母様…実は、トリンス王国で親しくしていた令息がいたと話したでしょう?」
オリビアはとりあえず、話を聞こうと思い、相槌を打った。
「その方が、別人だってお父様が言うの。ディランが嘘を付くはずがないのに。それで、ショックを受けたから体調を崩したのだと思うわ」
「お父様に聞いたわ、写真を見せて貰った方とは違ったのでしょう?」
「だから、間違なの!」
「でもそのディランって名前の方はいても、公爵家は限られるわ」
ディランとだけ名乗ったのなら、カメリアの勘違いということもあるが、パスドアーツ公爵家など、間違えようがない。
「じゃあ、私が聞き間違えたのかも。きっとそうよ」
「聞き間違えるような家ではないでしょう」
「でも、ディランが私を騙すだなんて、あり得ないの」
「どんなお付き合いをしていたの?」
「食事に行ったり、出掛けたりしたわ…絵を見に行ったこともあるわ」
「そうなのね」
カメリアは公爵令息だと思っていたのだから、受け入れられないのは分かるが、関係を持っていたのなら、話は変わって来る。
王族が他国で簡単に関係を持つなんて、評判を落としかねない。オリビアですら分かっていたから、バトワスと結婚するまでは、最後まではしなかった。
「まさかその彼と、関係を持ったりしていないわよね?」
「えっ?」
「留学先で子どもが出来るようなことしていないわよね?」
「どうして…」
「あなたが親しくって言っていたから、まさかと思って、確認よ」
オリビアはそんなことはあるはずないと思い込もうとしながらも、カメリアの顔色が悪くなり、どんどん慌てている様子に、していないと言ってと思いながらも、言われても信じられないだろうと考えていた。
「持ったの…?」
「だって、婚約するから、結婚するからって、既成事実っていうのがあれば、結婚が出来るのでしょう?」
「はあ…騙されていたのだとしても、無理矢理ではないのね?」
「私たちは愛し合って」
「…結婚前に王女がそんな簡単に関係を持つなんて、あり得ないことよ。貴族令嬢だったお母様でも、そんなことしなかったわ」
「でも、今は皆しているのでしょう?」
学園にまだ通っていないカメリアは、実態を知らなかった。
「してはならないことよ」
「でも、既成事実があれば、結婚するのでしょう?」
オリビアは偏った学園での情報を鵜呑みにして、勝手に解釈した様子のカメリアを情けなくて仕方なくなった。
「王族教育でも、習ったでしょう?」
「でも、時代は違うのだと思って」
「そんなはずないでしょう!何のために受けさせていると思っているの!」
オリビアは堪らなくなって、さすがに怒鳴り付けた。
「妊娠したといった令嬢も、妊娠させたという令息も、結婚が出来た人たちだけではないのよ。無理矢理に堕胎させられたり、襲われたと訴えられたり、事故だと言われているけど、怪我をさせられたり、酷い目に遭っている人たちの方が多いのよ。しかも、既に退学になっている者もいるわ」
「そんな…」
既成事実があればという風潮になり、真面目に学ぶために通っている者から訴えもあり、学園も手に負えなくなった際に、既成事実を含む風紀を乱すことがあれば、退学して貰うという処置を取った。
そうなれば、いくら既成事実を持っても、学園を退学させられれば貴族として認められない。そこまでしなければ、収まらなかった。
勿論、妊娠したという令嬢は即刻退学になった。襲われて、希望していない妊娠なら違ったが、結婚して貰うためであった。彼女は流産して、修道院に入っている。
おかげで今は前より静かにはなったが、それでも一部ではまだ奪い合ったりしているというのだから、頭が痛い。
オリビアは私たちの頃はこんなことはなかったと、自分の行ったことは横に置いて、嘆いているのである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
お気に入りが増えて感動しております。
感謝を込めて、スポーツの日記念(こじつけ)に、
17時にもう1話投稿させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
4,131
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?
白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。
王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。
だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。
順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。
そこから始まる物語である。
親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。
縁の鎖
T T
恋愛
姉と妹
切れる事のない鎖
縁と言うには悲しく残酷な、姉妹の物語
公爵家の敷地内に佇む小さな離れの屋敷で母と私は捨て置かれるように、公爵家の母屋には義妹と義母が優雅に暮らす。
正妻の母は寂しそうに毎夜、父の肖像画を見つめ
「私の罪は私まで。」
と私が眠りに着くと語りかける。
妾の義母も義妹も気にする事なく暮らしていたが、母の死で一変。
父は義母に心酔し、義母は義妹を溺愛し、義妹は私の婚約者を懸想している家に私の居場所など無い。
全てを奪われる。
宝石もドレスもお人形も婚約者も地位も母の命も、何もかも・・・。
全てをあげるから、私の心だけは奪わないで!!
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
妹は謝らない
青葉めいこ
恋愛
物心つく頃から、わたくし、ウィスタリア・アーテル公爵令嬢の物を奪ってきた双子の妹エレクトラは、当然のように、わたくしの婚約者である第二王子さえも奪い取った。
手に入れた途端、興味を失くして放り出すのはいつもの事だが、妹の態度に怒った第二王子は口論の末、妹の首を絞めた。
気絶し、目覚めた妹は、今までの妹とは真逆な人間になっていた。
「彼女」曰く、自分は妹の前世の人格だというのだ。
わたくしが恋する義兄シオンにも前世の記憶があり、「彼女」とシオンは前世で因縁があるようで――。
「彼女」と会った時、シオンは、どうなるのだろう?
小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる