【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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抗議文

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「ルークア、どういうことなんだ」

 ハビット王国では、メーリンが戻る前に届けられた王家からの抗議文を、ルークアは父であるプレスト陛下に見せられ、問い詰められていた。

「メーリンは何か手掛かりをと思い、少し言い過ぎたのかもしれません」
「どうして、このような失礼な態度を取ったのだ?そもそも、許可は得られなかったから、お願いしに行ってみるという話だっただろう?」

 お願いに行くということだったから、許可したのであって、無理矢理に聞き出そうとするようなことをするのであれば、許可などしなかった。

「はい…そのはずです」
「なのに、もう二度と訪問は許さないなどと…」
「フォンターナ家は、関係はなかったのでしょうか?」
「そう書いているではないか」
「それなのに、失礼な態度を取ったということですか?」

 何か見付かるのではないかと、焦る気持ちもあったのだろうが、ようやく不味いことになっていることに気付いた。

「そうだろう。相手は王族、大公、伯爵家だぞ…何てことをしてくれたんだ」
「伯爵家…?」
「フォンターナ家は、フォンターナ伯爵家だ」
「平民ではなかったのですか…」
「そうだ、平民だとしても、令嬢は大公夫人だったのだろう?失礼な態度も許されるとでも思っているのか?」
「そこまでは思っていません」

 平民なのだから、直接行けば話は簡単に聞けるだろうと思いはしたが、大公家が横槍を入れる可能性は考えていた。

「はあ…失礼のないようにと伝えたはずだ、それなのに…これで、メーリンの縁談は厳しいな」
「どういう意味ですか?」
「オルタナ王国、そして親しい国には話が伝わるだろう。ハビット王国の王女は、大変不愉快だったと」
「ですが、メーリンには多くの縁談があったはずです」

 他国の王族、貴族、自国の貴族からも縁談があった。

 研究を続けたいからとメーリンは断っていたが、良い人がいれば、結婚した方がいいとルークアも思ってはいた。

 だが、研究も大事である。

 ルークアは王太子であるために、なかなか動けないこともあり、メーリンの存在は王女ということで、とても重宝していた。

「前はな」
「今は…ないのですか?」

 ルークアは縁談については知らず、メーリンが断っているだけで、今でも縁談の申し込みがあると思っていた。

「年齢も年齢だ。結婚する意志はないと思うだろう。そもそもが断ったのだから、縁談が残っているはずがない。だから、早く決めるように言っていたのに」
「それは、研究のことがあるからで」
「分かっている。結婚する気がないのなら、王家に残る何かがあれば残れるかもしれぬし、一代限りの爵位を与えて、研究を続けさせる方がいいかもしれないな」
「そう、ですね…」

 メーリンは結婚の話をあまり話したがらず、どう思っているのか分からないが、その方がいいのかもしれないと思った。

「まずはメーリンが戻って来たら、事情を聞く。それから謝罪と…私が訪問しても、不愉快にさせるだけだろうが、一応はお伺いを立ててみる」
「はい…」
「メーリンは大事に育てられ、研究ばかりしていたからな、世間の恐ろしさを知らな過ぎたのだろうな。まさか他国での礼儀が出来ないとは思わなかった」
「そんな…」

 メーリンの礼儀におかしいと思ったことは、ルークアはなかった。

 だが、現実にオルタナ王国から抗議文が届いているということは、出来ていなかったということになる。

「王女だということが、オルタナ王国でも通用すると思っていたことが間違いだ…王妃はショックで寝込んでおる」
「え…」

 二人の母である王妃は陛下から見せられた抗議文に、頭に血が上り、ふらついた拍子にサイドテーブルで腰を強打して、寝かされることになった。

「どうしてこのようなことになったのか…」
「ですが」
「お前も同じか?」
「い、いえ。ですが、アジェル王国では問題ありませんでした」

 その言葉にプレストは、深い溜息を付くしかなかった。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は予定通り17時にもう1話、投稿いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。
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