24 / 118
夫の恋人
しおりを挟む
オーランドはもう二度と主が帰って来ないユーリの部屋を開けると、どうしようもないほどの喪失感が襲って来た。
「お荷物などはいかがしますか」
「掃除だけはして、何も動かさずに、そのままにして置いてくれ」
「承知しました」
部屋に入ろうかと思ったが、入ってはならぬ気がして、自室に戻った。
王太子殿下から一週間は休暇を貰っていたため、押し掛けて来た騎士である、リリア・コートに話を付けなくてはならないと思った。執事を呼んで、どこにいるか聞いたか訊ねると衝撃的な出来事が飛び出した。
「実は二日前に奥様が亡くなったとお知りになったようで、再び押し掛けていらっしゃいました」
「はあ?」
「子どもがいる、私が妻になると大騒ぎしましたので、騎士団に連絡をするというと、ようやく帰って行きました」
「愚か者が…迷惑を掛けたな」
「いえ、旦那様の子ではないのですよね?」
「ああ、絶対に違う」
しきりにパースホテルに滞在しているから、オーランドに伝えてと叫んでいたそうなので、翌日、護衛を連れて向かうことにした。
「オーランド!会いたかったわ」
リリアは満面の笑みで、オーランドに抱き着こうとしたが、肩を押されて、遠ざけられ、不思議そうな顔をしたが、すぐに自身の腹を撫で始めた。
「私たちの子がここにいるのよ?ねえ、触ってみて、この子もお父さんに触って貰ったら喜ぶわ」
「話がしたい、座ってくれ」
「勿論よ!奥様、死んだんでしょう?私もようやく離縁したの、だから」
離縁していたのか、リリアは母は幼い頃に亡くし、父も亡くし、継ぐ気はなかったが、弟はまだ十三歳で、親戚に乗っ取られそうになったために、夫とは弟が十八になって、爵位を譲るまでの間の形式だけの結婚で、一緒に暮らしてもおらず、互いに自由で、咎められることはないと話していた。
ただそれもリリアに聞いただけなので、事実かどうかは分からない。
「黙れ!お前が妻のこと口に出すな!」
「えっ、でも」
「その腹の子が私の子だと言ったそうだな」
「そうよ!あなたと私の子どもよ」
「そんなわけないだろう?何ヶ月だ?」
「七ヶ月よ…あの時の皆で演習の際に、泊った時があったじゃない」
確かにリリアに会ったのは、その演習が最後だ。騎士団と他の領地や地方騎士たちの合同演習があり、皆、宿舎やホテルに泊まっていた。
「私はあの日、自邸に帰っている。お前を抱いてはいない」
「そんなはずないわ」
「もし私との子であれば、既に産まれていないとおかしい」
オーランドがリリアと関係を持ったのは、二年以上前である。万が一、オーランドの子であったとするならば、既に産まれていないとおかしい。相手がリリアだと分かった時に、自分の子ではないと確信があった。
「そんなはずないわ」
「それはこちらの台詞だ、何の目的だ?妻を貶めたかったとでも言うのか!」
実際に妊娠しており、絶対に私の子ではないのに、目的が分からない。私がいないのをいいことに、はったりでユーリを追い出そうとしたとでもいうのか。
「ち、違うわ…でも本当にあなたの子なの」
「生まれてみれば分かるさ、私の子ではない」
「そんな…」
「どうせ、酔っていたんだろう?」
「でも、オーランドだって…そう思って」
本当に私と間違えたというのか、まさかキリアム?いや、キリアムは演習に参加していない。別の騎士の方が可能性が高い。
「本当に違うの?じゃあ、誰の子なの…」
「知らない、だが妻に言ったこと、虚偽を触れ回ったことは責任を取って貰う」
「私はどうすればいいの…」
「産まなくてはならないだろう。処罰は出産後にしてやる。いいな?」
「嘘、嘘よ…」
リリアの弟に連絡を入れて、引き取りに来てもらい、出産まで出来る医院に入院したそうだ。弟も騎士も辞めて行方が分からなかったらしい。
「お荷物などはいかがしますか」
「掃除だけはして、何も動かさずに、そのままにして置いてくれ」
「承知しました」
部屋に入ろうかと思ったが、入ってはならぬ気がして、自室に戻った。
王太子殿下から一週間は休暇を貰っていたため、押し掛けて来た騎士である、リリア・コートに話を付けなくてはならないと思った。執事を呼んで、どこにいるか聞いたか訊ねると衝撃的な出来事が飛び出した。
「実は二日前に奥様が亡くなったとお知りになったようで、再び押し掛けていらっしゃいました」
「はあ?」
「子どもがいる、私が妻になると大騒ぎしましたので、騎士団に連絡をするというと、ようやく帰って行きました」
「愚か者が…迷惑を掛けたな」
「いえ、旦那様の子ではないのですよね?」
「ああ、絶対に違う」
しきりにパースホテルに滞在しているから、オーランドに伝えてと叫んでいたそうなので、翌日、護衛を連れて向かうことにした。
「オーランド!会いたかったわ」
リリアは満面の笑みで、オーランドに抱き着こうとしたが、肩を押されて、遠ざけられ、不思議そうな顔をしたが、すぐに自身の腹を撫で始めた。
「私たちの子がここにいるのよ?ねえ、触ってみて、この子もお父さんに触って貰ったら喜ぶわ」
「話がしたい、座ってくれ」
「勿論よ!奥様、死んだんでしょう?私もようやく離縁したの、だから」
離縁していたのか、リリアは母は幼い頃に亡くし、父も亡くし、継ぐ気はなかったが、弟はまだ十三歳で、親戚に乗っ取られそうになったために、夫とは弟が十八になって、爵位を譲るまでの間の形式だけの結婚で、一緒に暮らしてもおらず、互いに自由で、咎められることはないと話していた。
ただそれもリリアに聞いただけなので、事実かどうかは分からない。
「黙れ!お前が妻のこと口に出すな!」
「えっ、でも」
「その腹の子が私の子だと言ったそうだな」
「そうよ!あなたと私の子どもよ」
「そんなわけないだろう?何ヶ月だ?」
「七ヶ月よ…あの時の皆で演習の際に、泊った時があったじゃない」
確かにリリアに会ったのは、その演習が最後だ。騎士団と他の領地や地方騎士たちの合同演習があり、皆、宿舎やホテルに泊まっていた。
「私はあの日、自邸に帰っている。お前を抱いてはいない」
「そんなはずないわ」
「もし私との子であれば、既に産まれていないとおかしい」
オーランドがリリアと関係を持ったのは、二年以上前である。万が一、オーランドの子であったとするならば、既に産まれていないとおかしい。相手がリリアだと分かった時に、自分の子ではないと確信があった。
「そんなはずないわ」
「それはこちらの台詞だ、何の目的だ?妻を貶めたかったとでも言うのか!」
実際に妊娠しており、絶対に私の子ではないのに、目的が分からない。私がいないのをいいことに、はったりでユーリを追い出そうとしたとでもいうのか。
「ち、違うわ…でも本当にあなたの子なの」
「生まれてみれば分かるさ、私の子ではない」
「そんな…」
「どうせ、酔っていたんだろう?」
「でも、オーランドだって…そう思って」
本当に私と間違えたというのか、まさかキリアム?いや、キリアムは演習に参加していない。別の騎士の方が可能性が高い。
「本当に違うの?じゃあ、誰の子なの…」
「知らない、だが妻に言ったこと、虚偽を触れ回ったことは責任を取って貰う」
「私はどうすればいいの…」
「産まなくてはならないだろう。処罰は出産後にしてやる。いいな?」
「嘘、嘘よ…」
リリアの弟に連絡を入れて、引き取りに来てもらい、出産まで出来る医院に入院したそうだ。弟も騎士も辞めて行方が分からなかったらしい。
1,024
あなたにおすすめの小説
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結済】25年目の厄災
紫
恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。
だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは……
25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる