【完結】似て非なる双子の結婚

野村にれ

文字の大きさ
46 / 118

家族会議(トスター侯爵家1)

 シュアト公爵家での茶会のことで、トスター侯爵家本邸に集まったマトム、レイア、キリアム、オーランド、メルベール。

 楽しく食事をしながら話せることではないので、各々済ませており、話をするためだけに集まっている。

 マトムとレイアも微妙な距離があり、レイアはオーランドに話に行こうと思っていたが、キリアムから茶会のことで話をする場を作って欲しいと言われて、オーランドに会いに行く時間はなかったが、また後日改めて話せばいいと思っていた。

 メルベールはキリアムから、まずレイアに謝ってから、問われた時だけ答えるように言われている。思ったままを言ってしまっては、嫁と姑の関係をさらに悪化させてしまうからだ。

「メルベールが行ったことは、恥ずべきことです。それは私からも謝ります、申し訳ありませんでした」
「お義母様、愚かな真似をして申し訳ありませんでした」
「今さら、何を言われても遅いわ」

 レイアはふんと、メルベールからの視線を退けた。

「キリアムも知らなかったのか?」
「はい。恥ずかしながら、知りませんでした」
「私も許されるとは思っておりません。ユーリにも申し訳ないことをしたと思っています」

 義母に恥ずかしい思いをさせたことは、自分の責任だと思っているが、反省はしていない。とりあえず、謝って置くべきだと思っている。

 ただ、いくら義母への憂さ晴らしでも、メルベールはユーリを軽んじたつもりはないが、気分の悪い思いをさせたかもしれないことは反省していた。

「このことはオーランドとも相談して、きちんとしたいと思っています」
「はい、確認をします」
「そうだな、茶会で言われた以上、決着を付けなくてはならないだろう」
「申し訳ありませんでした」

 メルベールは謝罪が終わってからは黙って座り、成り行きを見守ることにした。

「それで、母上は妻と、メルベールにもか。どうしてこのようなことをしたのか、教えて欲しい」
「えっ」

 レイアは何を問われているのか、まさか贈り物のことを言っているのだろうか。そのことを話されるとは思っていなかった。マトムにも事実だろうが、事実でなかろうが、信用して貰えないことに変わりはないと、危うい状況なのに。

「私も知りたい。値段はまだ確認していないが、どうしてユーリにそのような高額な物をたかるような真似をしたんだ?」
「たかるなんて!」
「キリアム!たかりとは何だ!お前まで失礼なことを言うな!メルベールやユーリの方から、誕生日の贈り物が何がいいから分からないから、要望を伝えていたんだ。強請っていたのは、どうせアレクスだろう!」

 マトムは立ち上がって怒鳴ったが、キリアムとオーランド、そしてメルベールもなぜアレクスの名前が出て来るのかが分からなかった。

「父上、それは違います」
「は?」
「なぜ義父上のことをおっしゃるのかは分かりませんが、母上は買ってくれと言っているわけじゃない、要らない物は欲しくないからと、わざわざ伝えていたんですよ。私がメルベールから聞いて、注意もしていました。まさかユーリにも言っていたなんて、信じられません」
「レイア、そうなのか?君は言ったよな、メルベールとユーリは希望を知りたいと言っていると、だから私は…」
「なるほど、父上はそう聞かされていたんですね。デタラメですよ」

 レイアは何と言い訳をしようか巡らせていた、メルベールの浅はかな行いを謝罪する場だと思っていた。確かに一度、キリアムに注意されたことがあるが、強請っているいるつもりはなかったので、その後も続けてた。

「妻は給料は貰っていましたが、それ以上の物を、私は出していないので、一人で買わされています」

 オーランドは結婚してからの両親の誕生日辺りの帳簿を全て確認したが、そのような出金はなかった。

「あなたは働いているから、高い物でもいいでしょうと言ったと、聞いています」
「何だと?」

 マトムはレイアを信じられない目で見ると、怯えるように肩が跳ねた。

あなたにおすすめの小説

愛していました苦しくて切なくてもう限界です

ララ愛
恋愛
アリサは騎士の婚約者がいる。彼が護衛している時に弟が飛び出してしまいそれをかばうのにアリサが怪我をしてしまいその償いに婚約が決まった経過があり愛されているわけではない。わかっていたのに彼が優しい眼で女騎士の同期と一緒にいる時苦しくてたまらない・・・切ないのは私だけが愛しているから切なくてもう限界・・・

私を欠陥品と呼ぶ執事長が鬱陶しいので、侯爵夫人として排除することにしました

菖蒲月(あやめづき)
ファンタジー
「欠陥品に払う敬意など無い」 結婚後もそう言って嫌がらせを続けるのは、侯爵家の執事長。 どうやら私は、幼少期の病が原因で、未だに“子を産めない欠陥品”扱いされているらしい。 ……でも。 正式に侯爵夫人となった今、その態度は見過ごせませんわね。 証拠も揃ったことですし、そろそろ排除を始めましょうか。 静かに怒る有能侯爵夫人による、理性的ざまぁ短編。 ________________________________ こちらの作品は「小説家になろう」にも投稿しています。

<完結>金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

【完結済】25年目の厄災

恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。 だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは…… 25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。