66 / 118
約1年後
メルベールとレイアは社交を控えるように夫に言われて、必要な場合は男性陣だけが出席するようになり、約一年が経ち、アベリーも7歳を過ぎ、寄宿学校に入る時は刻一刻と迫っていた。
だが当のアベリーはいつか元に戻るだろうと思って、拗ねたまま過ごしていたが、寄宿学校に入ることを伝えると、外に出られると喜んでいたほどであった。
「勉強する場所なんだよ」
「分かっているわ、そこで暮らすんでしょう?ここよりずっといいわ」
「そうか…理解出来ているんだな?」
「学校に行くことくらい分かるわ」
アベリーは貴族令嬢は皆、その学校に入ると思っているようではあったが、それならそれでいいかと、連れて行く際に大暴れされることも想定していたために、何も言わないことにした。
メルベールとレイアも邸でじっとしているような性分ではないため、今は噂が消え、アベリーが寄宿学校に入るまでと思って、耐えながら過ごしていた。
オーランドは辞めることはないと言われ、王太子殿下の側近を続けていた。再婚を勧められることも増えたが、する気にはなれなかった。
サイラは未だにどこにいるか分からず、誰にも見付かっていない。
グラーフ伯爵家はアレクスはひとりで出席することが、我慢ならず、どうしても出席しなければいけない場合は、ルオンと妻・マリリアが出席するようになっていた。
アレクスは見付からない苛立ちはあったが、出て行かれたことが公になることはプライドが許さず、ますます仕事にのめり込むようになっていた。
サイラは療養中となっており、娘が亡くなって、落ち込んでいるのだろうと思われており、疑う者はいない。
マリリアはオーギス伯爵令嬢で、父親がアレクスほど傲慢ではないが、家庭を顧みない、仕事人間であった。ゆえにアレクスの態度も、似たようなものだと気にしておらず、サイラのことも仕方ないと思っていた。
元々大人しい性格で、グラーフ伯爵家で起こったことは理解しているが、黙って息子であるラースを育てることに気持ちを注いていた。ルオンもマリリアにはアレクスを見て、マリリアには優しく接しており、さらにユーリのことで傲慢さは身を潜め、静かに過ごすようになった。
あるパーティーで、ルオンはリルフォーミュア・パーシを見掛けた。
高級そうなドレスに身を包んでおり、自分で購入できるはずもないので、借金をしたのか、誰かに買って貰ったのだろうと思った。
いい相手が見付かったなら良かったとは思ったが、誰なのかが分からない。下の世代の男性の顔はあまり把握しておらず、マリリアは自分より二つ年下であったため、分かるかと思って訊ねた。
「マリリア、あのパーシの姉の方と一緒にいる方は誰か分かるか?」
ルオンはリルフォーミュアと発するのも面倒で、かと言って略して親しいと思われるのも嫌なので、いつもパーシ姉、パーシ妹と呼んでいる。
「あれは確かログラン子爵家の、アキス様だと思います。でも、確か…婚約者がいたはずでは?」
「何だって?」
「男爵家の方と婚約していると、聞いたことがあったのですけど…どこだったかしら?思い出せないです、ごめんなさい」
「いや、婚約者がいるのに、エスコートされているなら不味いだろうな」
ちゃんと婚約者がいる者は止めておくように伝えたはずだが、まさか相手に払って貰おうとでも思っているのではないだろうな。
「解消になっていなければ、あっ、そうだわ。確かジース男爵家よ。お父様が目の付け所がいいって言っていたから」
「解消になっていることを祈るしかないな、そろそろ帰ろう」
「ええ、挨拶も済ませましたし、いいですわよね」
万が一のことがあって、巻き込まれたら堪らないと、早めに帰ることにした。
だが、二人の願いは届かず、リルフォーミュア・パーシの行動は、さらにパーシ子爵家の首を絞めることになった。
だが当のアベリーはいつか元に戻るだろうと思って、拗ねたまま過ごしていたが、寄宿学校に入ることを伝えると、外に出られると喜んでいたほどであった。
「勉強する場所なんだよ」
「分かっているわ、そこで暮らすんでしょう?ここよりずっといいわ」
「そうか…理解出来ているんだな?」
「学校に行くことくらい分かるわ」
アベリーは貴族令嬢は皆、その学校に入ると思っているようではあったが、それならそれでいいかと、連れて行く際に大暴れされることも想定していたために、何も言わないことにした。
メルベールとレイアも邸でじっとしているような性分ではないため、今は噂が消え、アベリーが寄宿学校に入るまでと思って、耐えながら過ごしていた。
オーランドは辞めることはないと言われ、王太子殿下の側近を続けていた。再婚を勧められることも増えたが、する気にはなれなかった。
サイラは未だにどこにいるか分からず、誰にも見付かっていない。
グラーフ伯爵家はアレクスはひとりで出席することが、我慢ならず、どうしても出席しなければいけない場合は、ルオンと妻・マリリアが出席するようになっていた。
アレクスは見付からない苛立ちはあったが、出て行かれたことが公になることはプライドが許さず、ますます仕事にのめり込むようになっていた。
サイラは療養中となっており、娘が亡くなって、落ち込んでいるのだろうと思われており、疑う者はいない。
マリリアはオーギス伯爵令嬢で、父親がアレクスほど傲慢ではないが、家庭を顧みない、仕事人間であった。ゆえにアレクスの態度も、似たようなものだと気にしておらず、サイラのことも仕方ないと思っていた。
元々大人しい性格で、グラーフ伯爵家で起こったことは理解しているが、黙って息子であるラースを育てることに気持ちを注いていた。ルオンもマリリアにはアレクスを見て、マリリアには優しく接しており、さらにユーリのことで傲慢さは身を潜め、静かに過ごすようになった。
あるパーティーで、ルオンはリルフォーミュア・パーシを見掛けた。
高級そうなドレスに身を包んでおり、自分で購入できるはずもないので、借金をしたのか、誰かに買って貰ったのだろうと思った。
いい相手が見付かったなら良かったとは思ったが、誰なのかが分からない。下の世代の男性の顔はあまり把握しておらず、マリリアは自分より二つ年下であったため、分かるかと思って訊ねた。
「マリリア、あのパーシの姉の方と一緒にいる方は誰か分かるか?」
ルオンはリルフォーミュアと発するのも面倒で、かと言って略して親しいと思われるのも嫌なので、いつもパーシ姉、パーシ妹と呼んでいる。
「あれは確かログラン子爵家の、アキス様だと思います。でも、確か…婚約者がいたはずでは?」
「何だって?」
「男爵家の方と婚約していると、聞いたことがあったのですけど…どこだったかしら?思い出せないです、ごめんなさい」
「いや、婚約者がいるのに、エスコートされているなら不味いだろうな」
ちゃんと婚約者がいる者は止めておくように伝えたはずだが、まさか相手に払って貰おうとでも思っているのではないだろうな。
「解消になっていなければ、あっ、そうだわ。確かジース男爵家よ。お父様が目の付け所がいいって言っていたから」
「解消になっていることを祈るしかないな、そろそろ帰ろう」
「ええ、挨拶も済ませましたし、いいですわよね」
万が一のことがあって、巻き込まれたら堪らないと、早めに帰ることにした。
だが、二人の願いは届かず、リルフォーミュア・パーシの行動は、さらにパーシ子爵家の首を絞めることになった。
あなたにおすすめの小説
【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです
唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。
すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。
「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて――
一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。
今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています