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真実4
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「事実なの?覚えているんでしょう?」
「6歳の時に何かあったのか?」
マトムはおかしなことを言い出す頃に、何かあったのだろうと察した。だが、アレクスは口を開かない。
「アレクス様、ユーリに後悔の気持ちがあるのならば、ご自身で仰ってください。素直に話してくだされば、伯爵家に戻ることを考えてもいいと思っています」
サイラは最後の手段だと取って置いた手段を使うことにした。そして、グラーフ伯爵家にいた頃のようにアレクスに優しく話し掛けた。
「メ、メルベールに言われたんだ。ユーリはお父様を嫌っている、話もしたくなくて、苦しそうだと…だからあまり構わないで欲しいと」
「っな、そんなこと、お父様、そんなこと私は言ってないわ!酷い!」
メルベールはまさか自分のこと言われるとは思っておらず、声を荒げた。
「メルベール、黙りなさい」
「黙っていられないわ、冤罪じゃない!」
「ユーリの書いていたことも概ね、同じです。メルベールがお父様に私が嫌っている、話したくもないと言っているのを聞いたと」
「そんなこと言っていないわ!6歳?そんなの覚えていないわ!」
アレクスはメルベールを驚いた顔で見つめた。
「お父様に違うと言いたかったけど、いつ言えばいいのか分からない。その間にも、またメルベールが言っていたのを聞いた、違うと入っては行けなかった。そして、大公閣下夫妻に言ったようなことを、言われるようになったと…そこからはそうなのだと思うようにしたと」
「何てことだ…そんな前から…」
元々静かな子だと思っていたが、そんな風に言われていたのならば、何も言いたくはなくなるだろう。我慢してずっと耐えて、アレクスの言ったことを信じていたわけではなくても、そう生きることが、沁みついていたのかもしれない。
「アレクス!信じたというのか?」
「いや、子どもの言うことだと、始めは信じなかった。ユーリは内向的で、あまり話してはくれなかった」
「それぞれの性格だろう?」
「ああ、だが、ユーリが書いていたように、何度も何度もユーリと話そうとすると、メルベールに言われたんだ。ユーリはお父様を嫌っている。構われることが辛いのだと…確かにユーリは自ら話すことはあまりなかった、嫌がっているのだと…どんどん思うようになっていった。メルベール、本当に覚えていないのか?」
あんなに何度も言って来たことだ、始めは構って貰いたいのかと可愛く思ったが、同時にユーリのオドオドした様子も気に入らなくなり、何をしても苛立つようになった。
でもユーリは上手く伝えられなかっただけだったのかもしれない。
「覚えていないわよ!そんなこと信じることがおかしいんじゃないの!」
「…そうだな…おかしい、おかしいよな」
「それでメルベールだけがいればいいと思って、あんなことを?」
「そうだ、私のことを嫌っているユーリにぶつけることで、気分がスッとした…嫌われているが、構ってやると言う気持ちだった…」
「ほら!おかしいのはお父様じゃない!」
メルベールは勝ち誇ったような顔をしていたが、何にも勝っていない。
「メルベール!いい加減にしろ…本当に覚えていないのか?」
怒鳴ったのはキリアムだった、まさかアレクスの態度までがメルベールのせいだとは思わなかった。ただ訳もなく、メルベールが可愛いだけなのかと思っていた。
「覚えていないわ!子どもの言ったことよ?構って欲しくて言ったんじゃない?」
「いくら子どもの言ったことでも、アベリーが許されない様に、君も許されることではないだろう」
「アベリーは関係ないでしょう!」
関係がないわけがない、アベリーもおかしいと思っていたが、メルベールはおかしいまま成長していたのだ。
「6歳の時に何かあったのか?」
マトムはおかしなことを言い出す頃に、何かあったのだろうと察した。だが、アレクスは口を開かない。
「アレクス様、ユーリに後悔の気持ちがあるのならば、ご自身で仰ってください。素直に話してくだされば、伯爵家に戻ることを考えてもいいと思っています」
サイラは最後の手段だと取って置いた手段を使うことにした。そして、グラーフ伯爵家にいた頃のようにアレクスに優しく話し掛けた。
「メ、メルベールに言われたんだ。ユーリはお父様を嫌っている、話もしたくなくて、苦しそうだと…だからあまり構わないで欲しいと」
「っな、そんなこと、お父様、そんなこと私は言ってないわ!酷い!」
メルベールはまさか自分のこと言われるとは思っておらず、声を荒げた。
「メルベール、黙りなさい」
「黙っていられないわ、冤罪じゃない!」
「ユーリの書いていたことも概ね、同じです。メルベールがお父様に私が嫌っている、話したくもないと言っているのを聞いたと」
「そんなこと言っていないわ!6歳?そんなの覚えていないわ!」
アレクスはメルベールを驚いた顔で見つめた。
「お父様に違うと言いたかったけど、いつ言えばいいのか分からない。その間にも、またメルベールが言っていたのを聞いた、違うと入っては行けなかった。そして、大公閣下夫妻に言ったようなことを、言われるようになったと…そこからはそうなのだと思うようにしたと」
「何てことだ…そんな前から…」
元々静かな子だと思っていたが、そんな風に言われていたのならば、何も言いたくはなくなるだろう。我慢してずっと耐えて、アレクスの言ったことを信じていたわけではなくても、そう生きることが、沁みついていたのかもしれない。
「アレクス!信じたというのか?」
「いや、子どもの言うことだと、始めは信じなかった。ユーリは内向的で、あまり話してはくれなかった」
「それぞれの性格だろう?」
「ああ、だが、ユーリが書いていたように、何度も何度もユーリと話そうとすると、メルベールに言われたんだ。ユーリはお父様を嫌っている。構われることが辛いのだと…確かにユーリは自ら話すことはあまりなかった、嫌がっているのだと…どんどん思うようになっていった。メルベール、本当に覚えていないのか?」
あんなに何度も言って来たことだ、始めは構って貰いたいのかと可愛く思ったが、同時にユーリのオドオドした様子も気に入らなくなり、何をしても苛立つようになった。
でもユーリは上手く伝えられなかっただけだったのかもしれない。
「覚えていないわよ!そんなこと信じることがおかしいんじゃないの!」
「…そうだな…おかしい、おかしいよな」
「それでメルベールだけがいればいいと思って、あんなことを?」
「そうだ、私のことを嫌っているユーリにぶつけることで、気分がスッとした…嫌われているが、構ってやると言う気持ちだった…」
「ほら!おかしいのはお父様じゃない!」
メルベールは勝ち誇ったような顔をしていたが、何にも勝っていない。
「メルベール!いい加減にしろ…本当に覚えていないのか?」
怒鳴ったのはキリアムだった、まさかアレクスの態度までがメルベールのせいだとは思わなかった。ただ訳もなく、メルベールが可愛いだけなのかと思っていた。
「覚えていないわ!子どもの言ったことよ?構って欲しくて言ったんじゃない?」
「いくら子どもの言ったことでも、アベリーが許されない様に、君も許されることではないだろう」
「アベリーは関係ないでしょう!」
関係がないわけがない、アベリーもおかしいと思っていたが、メルベールはおかしいまま成長していたのだ。
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