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噴火7
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「受け入れてもらえると思っていたのですか?」
「当然じゃないか」
そこへようやく、ソアリスが戻って来た。
アンセムはソアリスは、一体誰を連れて来る気か、やはりユリウスとルルエだろうかと考えていたが、二人は出て行ったままの姿で戻って来た。
だが、ソアリスは少しスッキリした顔をしており、おそらく隣の部屋に吐き出しに行ったのだろうと思った。
「ケイト、そろそろ降りて頂戴」
「しかたありませんね」
ケイトはようやく降りて、ソアリスは首を左右に曲げて、揉みほぐして、元の籍に戻った。ケイトも席に戻り、カイルスがお茶を勧めている。
「お話は纏まりましたか?」
「いや、受け入れるまで粘るつもりなのかと問い、別の相手を探す方が有意義だと勧めていたところだよ」
「そうですか」
「王妃陛下も我が国なら安心でしょう?」
「先程から、堂々巡りしておりませんか?なぜ、別の相手を探しませんの?もしかして、どなたかと張り合っておりますの?」
ポシッジュは眉を動かした程度だったが、チェチリーとピュアジュエルは目を大きくしており、どうして知っているのかと言っているような表情であった。
「そうなのか?」
ソアリスは知っていたのか、情報を得ていたのか、今誰かから聞いたのか。
「おそらく当たりですわね、お相手は王家のコリュン第一王女殿下かしら?それとも、エベリョン第二王女殿下かしら?」
さらにチェチリーとピュアジュエルは、分かり易くビクリとした。
エクラオース王国の王家には、ポシッジュの従兄弟に当たる王太子夫妻の間に、19歳のコリュン第一王女殿下と17歳のエベリョン王女殿下、13歳のリッカス王子殿下がいる。
コリュン第一王女殿下は幼い頃から侯爵令息と婚約しており、結婚式を控えている。焦りというものがあるのなら、今さらだろう。となれば、最近婚約が決まったというエベリョン第二王女殿下ではないかと、ソアリスは考えていた。
エベリョン王女殿下の婚約者は、公爵令息だという。
「関係ありません」
「大変人気のおありになる美男子だと伺ったものですから、羨ましくなってしまったのかと思いましたわ」
「そんなことはありません」
そう言いながらも、ピュアジュエルは両手でドレスを握り締めていた。その手をチェチリーが心配そうに撫でた。
「息子を利用されては、たまらないわ」
「王妃様、誤解です!」
声を上げたのは、ピュアジュエルではなく、チェチリーであった。
「どこが誤解なの?それとも、他の縁談というのも嘘なの?」
「嘘じゃないわ!」
「だったら、その縁談相手から選べばいいじゃない。自国の方の方が、分かり合えることも多いでしょう」
自国なら離縁することも理解した上で生きているのだから、分かり合えるだろう。
王女殿下たちも、婚約者はやはり自国の相手であった。
だからこそ、ピュアジュエルは勝つために自分の婚約者をその上をと思ったのだろう。婿に来るのだから、公爵家と侯爵家なら上になるだろう。
だが、それでも元王女という立場がなくなるわけではないために、決定的に勝ちたいのかもしれない。
もしかしたら、エベリョン王女殿下の婚約した公爵令息に好意を抱いていたのかもしれない。
「でも、国同士が繋がる方がよろしいでしょう!分かるでしょう!」
「確かに一理ありますが、それはお互いの相性が良いという前提です。明らかに相性も良くないのに、お互いが不幸になるだけではありませんか?」
言葉は穏やかであるが、ソアリスは首をコキコキと鳴らしており、アンセムにはまるで準備運動をしているのではないかと、感じていた。
折角、多少スッキリしていたのに、チェチリーは物静かな様子だったが、気が短い方だったらしい。
「だから、合わせればいい話でしょう!婿に来るのだから当然でしょう!」
「それは申し込んだ相手が言う言葉じゃないか?」
「当然じゃないか」
そこへようやく、ソアリスが戻って来た。
アンセムはソアリスは、一体誰を連れて来る気か、やはりユリウスとルルエだろうかと考えていたが、二人は出て行ったままの姿で戻って来た。
だが、ソアリスは少しスッキリした顔をしており、おそらく隣の部屋に吐き出しに行ったのだろうと思った。
「ケイト、そろそろ降りて頂戴」
「しかたありませんね」
ケイトはようやく降りて、ソアリスは首を左右に曲げて、揉みほぐして、元の籍に戻った。ケイトも席に戻り、カイルスがお茶を勧めている。
「お話は纏まりましたか?」
「いや、受け入れるまで粘るつもりなのかと問い、別の相手を探す方が有意義だと勧めていたところだよ」
「そうですか」
「王妃陛下も我が国なら安心でしょう?」
「先程から、堂々巡りしておりませんか?なぜ、別の相手を探しませんの?もしかして、どなたかと張り合っておりますの?」
ポシッジュは眉を動かした程度だったが、チェチリーとピュアジュエルは目を大きくしており、どうして知っているのかと言っているような表情であった。
「そうなのか?」
ソアリスは知っていたのか、情報を得ていたのか、今誰かから聞いたのか。
「おそらく当たりですわね、お相手は王家のコリュン第一王女殿下かしら?それとも、エベリョン第二王女殿下かしら?」
さらにチェチリーとピュアジュエルは、分かり易くビクリとした。
エクラオース王国の王家には、ポシッジュの従兄弟に当たる王太子夫妻の間に、19歳のコリュン第一王女殿下と17歳のエベリョン王女殿下、13歳のリッカス王子殿下がいる。
コリュン第一王女殿下は幼い頃から侯爵令息と婚約しており、結婚式を控えている。焦りというものがあるのなら、今さらだろう。となれば、最近婚約が決まったというエベリョン第二王女殿下ではないかと、ソアリスは考えていた。
エベリョン王女殿下の婚約者は、公爵令息だという。
「関係ありません」
「大変人気のおありになる美男子だと伺ったものですから、羨ましくなってしまったのかと思いましたわ」
「そんなことはありません」
そう言いながらも、ピュアジュエルは両手でドレスを握り締めていた。その手をチェチリーが心配そうに撫でた。
「息子を利用されては、たまらないわ」
「王妃様、誤解です!」
声を上げたのは、ピュアジュエルではなく、チェチリーであった。
「どこが誤解なの?それとも、他の縁談というのも嘘なの?」
「嘘じゃないわ!」
「だったら、その縁談相手から選べばいいじゃない。自国の方の方が、分かり合えることも多いでしょう」
自国なら離縁することも理解した上で生きているのだから、分かり合えるだろう。
王女殿下たちも、婚約者はやはり自国の相手であった。
だからこそ、ピュアジュエルは勝つために自分の婚約者をその上をと思ったのだろう。婿に来るのだから、公爵家と侯爵家なら上になるだろう。
だが、それでも元王女という立場がなくなるわけではないために、決定的に勝ちたいのかもしれない。
もしかしたら、エベリョン王女殿下の婚約した公爵令息に好意を抱いていたのかもしれない。
「でも、国同士が繋がる方がよろしいでしょう!分かるでしょう!」
「確かに一理ありますが、それはお互いの相性が良いという前提です。明らかに相性も良くないのに、お互いが不幸になるだけではありませんか?」
言葉は穏やかであるが、ソアリスは首をコキコキと鳴らしており、アンセムにはまるで準備運動をしているのではないかと、感じていた。
折角、多少スッキリしていたのに、チェチリーは物静かな様子だったが、気が短い方だったらしい。
「だから、合わせればいい話でしょう!婿に来るのだから当然でしょう!」
「それは申し込んだ相手が言う言葉じゃないか?」
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