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お詫び3
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「まあ!本当に大公夫人のように痩せている方が魅力的なお国なのですね」
「え?いえ、そういったことは……えっ、私は男なので……少々お待ちください。どうだ?」
クジモア侯爵は思いがけない質問に、護衛には女性騎士もいたために、振り返って声を掛けた。
「そう思っている方はいるとは、思います」
「一般的ではないのかしら?」
「お答えしなさい」
「はい、ドレスが張り裂けそうな方は問題かと思いますが、細くないと人間ではないという国でもありません。中肉が魅力的だと女性目線でも考えられております」
コルセットはドレスを着る時には付けるが、体重を管理して、ウエストを異常に細く締め上げることが当然のお国柄ではない。
「男性もお好きな方はいるかもしれませんが、少数派だと思います。あまり痩せていると、体力もありませんし、暑い国ですから、体調を崩してしまうのです」
「そうよね」
エクラオース王国は年の三分の二は暑く、慣れていても体調を崩すことも多い。
だからこそ、普段の服もドレスも軽やかな風通しの良い物が好まれている。それをガリガリに痩せた女性が着ると、貧相に見えてしまうことにもなり、チェチリーはまさにそうであった。
クロンデール王国からすると肌色が健康的には見えたが、エクラオース王国ではそのようには見えない。
「チェチリー大公夫人は、よくしゃがみ込んだりしておられました。それが、か弱く見えて、魅力的に感じるという方もいたのかもしれないです」
「庇護欲というものですわね?」
「その通りでございます」
「でしたら、ご自身の感覚だけだったのかしらね?」
「そうかもしれません」
女性騎士はチェチリー大公夫人の謝罪に行くことになり、母親からチェチリーについて話を聞いていた。
母はチェチリーと同世代で、子爵令嬢と伯爵令嬢であった。
見た目は悪くはないが、好む人は少数派であること。それ以上に出来が良くないことは有名なのに、なぜか魅力的だと思っているような女性であった。
ポシッジュが見初めたことに、皆驚いたという。
大公家に嫁ぎできちんとするかと思ったら、変わらなかった。それなのに大公夫人になったことで、高飛車な性格ではないが、さらに自慢話が増えることになった。
ある意味、ポシッジュとチェチリーは自己愛を持つ同士であった。
大公家だからと付き合う人はいるが、学生の頃は色んなグループに付いて行ったりはしていたが、親しい令嬢と言われても思いつかない。もしかしたら、友人もいないのではないかとまで考えられる。
母親は関わりがないから、嫌だとかいう感情はなかったが、レエリーナは大公家に嫁いだせいで、下手に近しい存在になってしまい、ライバル視されるようになって、大変だろうということだった。
「そうなのか?」
「はい、大公閣下はお好みだったのでしょうけど、エクラオース王国は適度に肉付きの良い方を美しいとされる傾向にあると思います」
「では、やはり大公夫人と公女様は痩せ過ぎということですの?」
「はい、そう思います」
「まあ、そうでしたのね。お答えいただき、ありがとうございます」
「いいえ、恐れ入ります」
女性騎士は恐縮し、深々と頭を下げた。すると、すぐにクジモア侯爵はチェチリーがそのようなことを言ったことを申し訳なくて仕方なかった。
「大公夫人は、そのようなことも申していたのでしょうか」
「ええ」
「大変申し訳ございません」
「いいえ、私の周りにも痩せていることが誇りであるという者がおりまして、大公夫人もエクラオース王国はそれが一般的のようにおっしゃられたので、お国柄ならば答えが出るかと思いましたの。こちらこそ変なことを聞いて申し訳ございません」
「いいえ、滅相もございません」
ソアリスは痩せた姿が正しいというお国柄ならば、ララシャが痩せていることを喜んでいた理由が分かるかもと思ったからであった。
「え?いえ、そういったことは……えっ、私は男なので……少々お待ちください。どうだ?」
クジモア侯爵は思いがけない質問に、護衛には女性騎士もいたために、振り返って声を掛けた。
「そう思っている方はいるとは、思います」
「一般的ではないのかしら?」
「お答えしなさい」
「はい、ドレスが張り裂けそうな方は問題かと思いますが、細くないと人間ではないという国でもありません。中肉が魅力的だと女性目線でも考えられております」
コルセットはドレスを着る時には付けるが、体重を管理して、ウエストを異常に細く締め上げることが当然のお国柄ではない。
「男性もお好きな方はいるかもしれませんが、少数派だと思います。あまり痩せていると、体力もありませんし、暑い国ですから、体調を崩してしまうのです」
「そうよね」
エクラオース王国は年の三分の二は暑く、慣れていても体調を崩すことも多い。
だからこそ、普段の服もドレスも軽やかな風通しの良い物が好まれている。それをガリガリに痩せた女性が着ると、貧相に見えてしまうことにもなり、チェチリーはまさにそうであった。
クロンデール王国からすると肌色が健康的には見えたが、エクラオース王国ではそのようには見えない。
「チェチリー大公夫人は、よくしゃがみ込んだりしておられました。それが、か弱く見えて、魅力的に感じるという方もいたのかもしれないです」
「庇護欲というものですわね?」
「その通りでございます」
「でしたら、ご自身の感覚だけだったのかしらね?」
「そうかもしれません」
女性騎士はチェチリー大公夫人の謝罪に行くことになり、母親からチェチリーについて話を聞いていた。
母はチェチリーと同世代で、子爵令嬢と伯爵令嬢であった。
見た目は悪くはないが、好む人は少数派であること。それ以上に出来が良くないことは有名なのに、なぜか魅力的だと思っているような女性であった。
ポシッジュが見初めたことに、皆驚いたという。
大公家に嫁ぎできちんとするかと思ったら、変わらなかった。それなのに大公夫人になったことで、高飛車な性格ではないが、さらに自慢話が増えることになった。
ある意味、ポシッジュとチェチリーは自己愛を持つ同士であった。
大公家だからと付き合う人はいるが、学生の頃は色んなグループに付いて行ったりはしていたが、親しい令嬢と言われても思いつかない。もしかしたら、友人もいないのではないかとまで考えられる。
母親は関わりがないから、嫌だとかいう感情はなかったが、レエリーナは大公家に嫁いだせいで、下手に近しい存在になってしまい、ライバル視されるようになって、大変だろうということだった。
「そうなのか?」
「はい、大公閣下はお好みだったのでしょうけど、エクラオース王国は適度に肉付きの良い方を美しいとされる傾向にあると思います」
「では、やはり大公夫人と公女様は痩せ過ぎということですの?」
「はい、そう思います」
「まあ、そうでしたのね。お答えいただき、ありがとうございます」
「いいえ、恐れ入ります」
女性騎士は恐縮し、深々と頭を下げた。すると、すぐにクジモア侯爵はチェチリーがそのようなことを言ったことを申し訳なくて仕方なかった。
「大公夫人は、そのようなことも申していたのでしょうか」
「ええ」
「大変申し訳ございません」
「いいえ、私の周りにも痩せていることが誇りであるという者がおりまして、大公夫人もエクラオース王国はそれが一般的のようにおっしゃられたので、お国柄ならば答えが出るかと思いましたの。こちらこそ変なことを聞いて申し訳ございません」
「いいえ、滅相もございません」
ソアリスは痩せた姿が正しいというお国柄ならば、ララシャが痩せていることを喜んでいた理由が分かるかもと思ったからであった。
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