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お詫び4
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「陛下、もうよろしいのではありませんか」
「ああ、罰も与えられているようだし、こちらももう関わって来なければ、それで構わないからな」
「ええ」
ソアリスは罰には興味がなく、関わって来なければどうでもいい。
「申し訳ございませんでした、こちらでしっかりと管理いたします」
「よろしくお願いいたします」
「はい、お任せください。お詫びとしてバナナとマンゴー、パイナップルをお持ちいたしましたので、是非食べていただければと思います」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
ポシッジュも、チェチリーもお土産すら思って来なかったために、ありがたくいただくことにした。
最後まで申し訳なさそうなクジモア侯爵たちを見送り、ソアリスは戻りながら、口を開いた。
「チッチは勘違い女で、羞恥心がないから、ピュアっ子の名前が付けられたことが分かりましたわね」
「そんなことを考えていたのか」
「ええ、謝罪は受け取るつもりでしたし、折角だからチッチがどのような存在なのか聞いてみたかったのよ」
折角、宰相が来るのならば、俯瞰で見れるような方だろうと、期待をしていた。
「ポシッジュではなく?」
「あれは陛下の嫌いな相手でしょう?」
「ソアリスも絶対、好ましくないだろう?」
「やり合ってもいいけど、自己愛が強いと勘違いしがちでしょう?勘違いって面倒なのよって思っていたけど、チッチも同じだったわね。似た者同士ってことが分かったじゃない」
「それはまあそうだな……」
ソアリスはどうしてなのかということを知ることで、相手を知れるのではないかと思っている。だが、寄り添えるかは別の話らしい。
「王太子妃殿下も大変だな、だが共通語とマナーが取得できるまで、社交禁止らしいから関係ないか」
「まあ、そんなことに?でも確かに横に立っているだけだったものね」
「公女もだそうだから、どうなるかだな」
「そのくらいした方がいいかもしれないわね」
ピュアジュエルが頑張るか、無理だと諦めるかは、本人次第であるために、
「あ!ピュアっ子の名前を、誰が付けたのか聞くのを忘れていたわ!」
「どちらが付けても納得だろう」
「確かに」
ピュアジュエルを反対しなかった時点で、似た者同士だろう。
もしアンセムがそんな名前を付けていたら、名前について何も言わなかったソアリスに、完膚なきまで悪い口を開かれただろう。
「で、今日は何を揉めていたのだ?髪を掴んで振り回すほどだったのか?」
なぜ、ドアの前で話しているのだと思ったが、長引いたことからも、揉めていたことは明らかである。
「そうなの!前も改善するように言ってあった託児所よ!」
「ああ」
予算も付けているのに、先に直すべきところではなく、託児所の見た目をよくしないといけないからと、外壁の色を変えていたのである。
「今度は何をしたんだ?」
「家具よ!本や書類を整理する家具を買ったって、先に床の修繕の要望があるのに、馬鹿なのか?ずっと、もぞもぞしやがって、おしっこか?と聞かなかっただけ優しいと思いなさい」
「そんなにもぞもぞしていたのか?」
ソアリスではなく、後ろを付いて来ていた侍女たちに問い掛けた。
「はい。喋る度に、左右に小さく動かれておりました」
「おかしいでしょう?」
それはもぞもぞではなく、もじもじしていたのではないかと思ったが、そうだったとしても、ソアリスの前でする必要はないことである。
「口だけの女性でして、思ったことを考えずに行動するのです。それなのに、真面目にやっているんですと繰り返すばかりでした」
「女性だったのか」
「カイメル子爵の嫡男の妻です」
「ずっともぞもぞされておりまして、ソアリス様は三回もお手洗いか聞かれましたが、違いますというやり取りをして、うんざりされました」
アンセムも、それはうんざりするだろうなと思った。
「ああ、罰も与えられているようだし、こちらももう関わって来なければ、それで構わないからな」
「ええ」
ソアリスは罰には興味がなく、関わって来なければどうでもいい。
「申し訳ございませんでした、こちらでしっかりと管理いたします」
「よろしくお願いいたします」
「はい、お任せください。お詫びとしてバナナとマンゴー、パイナップルをお持ちいたしましたので、是非食べていただければと思います」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
ポシッジュも、チェチリーもお土産すら思って来なかったために、ありがたくいただくことにした。
最後まで申し訳なさそうなクジモア侯爵たちを見送り、ソアリスは戻りながら、口を開いた。
「チッチは勘違い女で、羞恥心がないから、ピュアっ子の名前が付けられたことが分かりましたわね」
「そんなことを考えていたのか」
「ええ、謝罪は受け取るつもりでしたし、折角だからチッチがどのような存在なのか聞いてみたかったのよ」
折角、宰相が来るのならば、俯瞰で見れるような方だろうと、期待をしていた。
「ポシッジュではなく?」
「あれは陛下の嫌いな相手でしょう?」
「ソアリスも絶対、好ましくないだろう?」
「やり合ってもいいけど、自己愛が強いと勘違いしがちでしょう?勘違いって面倒なのよって思っていたけど、チッチも同じだったわね。似た者同士ってことが分かったじゃない」
「それはまあそうだな……」
ソアリスはどうしてなのかということを知ることで、相手を知れるのではないかと思っている。だが、寄り添えるかは別の話らしい。
「王太子妃殿下も大変だな、だが共通語とマナーが取得できるまで、社交禁止らしいから関係ないか」
「まあ、そんなことに?でも確かに横に立っているだけだったものね」
「公女もだそうだから、どうなるかだな」
「そのくらいした方がいいかもしれないわね」
ピュアジュエルが頑張るか、無理だと諦めるかは、本人次第であるために、
「あ!ピュアっ子の名前を、誰が付けたのか聞くのを忘れていたわ!」
「どちらが付けても納得だろう」
「確かに」
ピュアジュエルを反対しなかった時点で、似た者同士だろう。
もしアンセムがそんな名前を付けていたら、名前について何も言わなかったソアリスに、完膚なきまで悪い口を開かれただろう。
「で、今日は何を揉めていたのだ?髪を掴んで振り回すほどだったのか?」
なぜ、ドアの前で話しているのだと思ったが、長引いたことからも、揉めていたことは明らかである。
「そうなの!前も改善するように言ってあった託児所よ!」
「ああ」
予算も付けているのに、先に直すべきところではなく、託児所の見た目をよくしないといけないからと、外壁の色を変えていたのである。
「今度は何をしたんだ?」
「家具よ!本や書類を整理する家具を買ったって、先に床の修繕の要望があるのに、馬鹿なのか?ずっと、もぞもぞしやがって、おしっこか?と聞かなかっただけ優しいと思いなさい」
「そんなにもぞもぞしていたのか?」
ソアリスではなく、後ろを付いて来ていた侍女たちに問い掛けた。
「はい。喋る度に、左右に小さく動かれておりました」
「おかしいでしょう?」
それはもぞもぞではなく、もじもじしていたのではないかと思ったが、そうだったとしても、ソアリスの前でする必要はないことである。
「口だけの女性でして、思ったことを考えずに行動するのです。それなのに、真面目にやっているんですと繰り返すばかりでした」
「女性だったのか」
「カイメル子爵の嫡男の妻です」
「ずっともぞもぞされておりまして、ソアリス様は三回もお手洗いか聞かれましたが、違いますというやり取りをして、うんざりされました」
アンセムも、それはうんざりするだろうなと思った。
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