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訪問
「いえいえ、楽しくやらせてもらっております」
「それならいいのだが、しかし圧巻だな」
中央は開けているが、周りには栗の木が所狭しと並んでいる。
しかも、休めるようなベンチも数か所に用意されており、まさに栗拾いのための状態になっている。
「そうでございましょう?どこかここは暗かったですからね、ソアリス様と作り上げましてね」
「ソアリスは口だけではなく手伝ったんだろうな」
「勿論でございます。穴を一緒に掘って、肥料を入れて、倒れないように支柱を立てたり、全部してくださいました」
「戦力になりそうだものな」
一般的な王妃は指示を出してやったと言うだろうが、ソアリスは絶対自らやっている。全く驚くことはない、嬉しそうにやっている。
セイントの笑顔が最初の頃は止めたのだろうが、すっかり慣れてしまって、おかしいとも思っていない。
「子どもたちは手伝っていないのか?」
「はい。ですが、新人騎士団員には穴を掘らせておりました」
「ソアリスに言われたら、埋められそうだがな」
ソアリスに穴を掘れと言われたら怖いのではないかと、新人騎士団員の心中が心配になった。
「いえいえ、そのようなことはございません。良い運動になると、騎士団長様も協力してくださいました」
「バーセム公爵を巻き込んでいたのか……」
「即戦力が欲しかったのでしょう」
オーランが口を挟むと、アンセムも納得である。バーセム公爵なら、迷うことなく手伝いそうである。
「栗とは八年も掛かるのだな」
「はい……私も栗の木は初めてでしたので、虫が付いたり、実が大きくならなかったり、学園にも相談に行かれたりして、試行錯誤しまして、ようやく大きな実がなるようになりましてね」
「ソアリスもとても嬉しそうだった」
「ええ、皆で感激しております」
ソアリスに無理矢理付き合っているような顔ではないために、皆も楽しいならいいかと思った。
「エリザベータ王妃陛下のことは聞いているのか?」
「は、はい。ソアリス様からお伺いしました」
セイントの表情が急に穏やかな微笑みから、緊張を伴った表情になった。
「危険なところはないか?」
「はい。先程、ソアリス様と騎士団長様が騎士たちを連れていらして、確認をしてくださいました。当日にも事前に確認をしていただくことになっております」
「そうか、それなら安心だな」
警備も必要になるために当然の行動だが、いつも以上に仕事が早く、栗拾いへの熱意を感じていた。
そして、アロワ王国からエリザベータ王妃陛下が、孫である王女を連れてやって来た。
『お出迎えありがとうございます』
『ようこそお越しくださいました、お疲れではございませんか』
当然だが、会話は共通語であるロア語となる。
『お気遣いありがとう、大丈夫ですわ。セレニティ、ご挨拶なさい』
『は、はい。セレニティ・ハイズ・アロワコンティでございます』
セレニティはおぼつかない様子で、カーテシーをして、挨拶を行った。
一緒にやって来た孫である王女は、4歳でも、19歳でもなく、14歳のセレニティであった。
『ご丁寧にありがとうございます。私はアンセム・グレンバレンでございます。こちらは妻のソアリスでございます』
ソアリスは目を細めながら、会釈して微笑んだが、セレニティはおどおどした様子で、こくこくと頷いた。
『まずはお茶でもいかがでしょうか、お荷物は滞在いただく離宮に運ばせていただいてもよろしいですか』
『ええ、助かりますわ。うちの者も使って頂戴』
『はい、ではご案内させていただきます』
アロワ王国側は警備がしやすいということで、離宮の方がいいということになり、クイオとポーリアが離宮の案内を行い、エリザベータとセレニティと護衛は応接室に案内されることになった。
『ご無理を言ってごめんなさいね』
エリザベータとセレニティの前にお茶が用意されて、二人にアンセムとソアリスは向き合った。
「それならいいのだが、しかし圧巻だな」
中央は開けているが、周りには栗の木が所狭しと並んでいる。
しかも、休めるようなベンチも数か所に用意されており、まさに栗拾いのための状態になっている。
「そうでございましょう?どこかここは暗かったですからね、ソアリス様と作り上げましてね」
「ソアリスは口だけではなく手伝ったんだろうな」
「勿論でございます。穴を一緒に掘って、肥料を入れて、倒れないように支柱を立てたり、全部してくださいました」
「戦力になりそうだものな」
一般的な王妃は指示を出してやったと言うだろうが、ソアリスは絶対自らやっている。全く驚くことはない、嬉しそうにやっている。
セイントの笑顔が最初の頃は止めたのだろうが、すっかり慣れてしまって、おかしいとも思っていない。
「子どもたちは手伝っていないのか?」
「はい。ですが、新人騎士団員には穴を掘らせておりました」
「ソアリスに言われたら、埋められそうだがな」
ソアリスに穴を掘れと言われたら怖いのではないかと、新人騎士団員の心中が心配になった。
「いえいえ、そのようなことはございません。良い運動になると、騎士団長様も協力してくださいました」
「バーセム公爵を巻き込んでいたのか……」
「即戦力が欲しかったのでしょう」
オーランが口を挟むと、アンセムも納得である。バーセム公爵なら、迷うことなく手伝いそうである。
「栗とは八年も掛かるのだな」
「はい……私も栗の木は初めてでしたので、虫が付いたり、実が大きくならなかったり、学園にも相談に行かれたりして、試行錯誤しまして、ようやく大きな実がなるようになりましてね」
「ソアリスもとても嬉しそうだった」
「ええ、皆で感激しております」
ソアリスに無理矢理付き合っているような顔ではないために、皆も楽しいならいいかと思った。
「エリザベータ王妃陛下のことは聞いているのか?」
「は、はい。ソアリス様からお伺いしました」
セイントの表情が急に穏やかな微笑みから、緊張を伴った表情になった。
「危険なところはないか?」
「はい。先程、ソアリス様と騎士団長様が騎士たちを連れていらして、確認をしてくださいました。当日にも事前に確認をしていただくことになっております」
「そうか、それなら安心だな」
警備も必要になるために当然の行動だが、いつも以上に仕事が早く、栗拾いへの熱意を感じていた。
そして、アロワ王国からエリザベータ王妃陛下が、孫である王女を連れてやって来た。
『お出迎えありがとうございます』
『ようこそお越しくださいました、お疲れではございませんか』
当然だが、会話は共通語であるロア語となる。
『お気遣いありがとう、大丈夫ですわ。セレニティ、ご挨拶なさい』
『は、はい。セレニティ・ハイズ・アロワコンティでございます』
セレニティはおぼつかない様子で、カーテシーをして、挨拶を行った。
一緒にやって来た孫である王女は、4歳でも、19歳でもなく、14歳のセレニティであった。
『ご丁寧にありがとうございます。私はアンセム・グレンバレンでございます。こちらは妻のソアリスでございます』
ソアリスは目を細めながら、会釈して微笑んだが、セレニティはおどおどした様子で、こくこくと頷いた。
『まずはお茶でもいかがでしょうか、お荷物は滞在いただく離宮に運ばせていただいてもよろしいですか』
『ええ、助かりますわ。うちの者も使って頂戴』
『はい、ではご案内させていただきます』
アロワ王国側は警備がしやすいということで、離宮の方がいいということになり、クイオとポーリアが離宮の案内を行い、エリザベータとセレニティと護衛は応接室に案内されることになった。
『ご無理を言ってごめんなさいね』
エリザベータとセレニティの前にお茶が用意されて、二人にアンセムとソアリスは向き合った。
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