私のバラ色ではない人生

野村にれ

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エリザベータ王妃陛下1

『いいえ、楽しみにお待ちしておりましたわ』
『ふふっ、やはりあなたは気持ちのいい方ね。見るだけで、嘘ではないことが分かって、こちらも気持ちが良いわ』

 出迎え時は静かにしていたが、ソアリスは珍しく穏やかに微笑んでいる。

『まあ、珍しく褒められたわ』
『あっ、ああ……エリザベータ王妃陛下はソアリスの口の悪さをご存知ということで、間違いございませんか?』
『っふ、ええ、存じております。絵が上手なこともね』
『やはりそうでございましたか、心配が一つ減りました』

 アンセムは聞けそうであれば、エリザベータに聞こうと思っていたことであった。

『まあ、陛下、そんなこと思っていたの?』
『そうだよ』
『エリザベータ王妃陛下にはお手紙で、少々そのような内容はお知らせしておりますわ。私、大人しそうに見えるそうですから、口の悪い化け物だとギャップ?がありますでしょう』
『口の悪い化け物って……うん』

 夕食後に話していたはずなのに、おそらく聞いていなかったのだろう。

『うふふ、口の悪い化け物でも構いませんわよ。公式訪問ではありませんし、こちらからご相談に来たのですから、無礼講ですわ』
『いえ、ソアリスにそのようなこと言えば、爆発いたします』
『まあ、そうなの?爆発?うふふ、面白いわね』

 エリザベータは困った様子のアンセムと、翻弄する気はないのだが、翻弄しているソアリスの姿に良い夫婦だなと心から思った。

『はい、気を付けてください』
『分かりましたわ』

 アンセムは思わず、アロワ王国の護衛たちにも目で訴え、頷いていた。

『では、私は席を外しますので、ごゆっくりされてください』
『ありがとうございます』

 アンセムは常時同席するつもりはなかったたために、クイオと退室した。

『真面目な国王ね』
『そうですね、細かいことが気になる方なので、助かっております』
『それは国王としては良いことね』
『私に対しては、どんどん私の友人に似て来ておりますの』
『まあ、友人に?それ良いことね、国を育てるのは夫婦ではなくとも、友人でも構わないわ。私も夫とは友人だったから』
『まあ、そうでしたの?それはとても心強いですわ』

 ソアリスは両親がまともではなかったために、年上のまともな方に懐く傾向にある。その反面、まともではない年上には非常に厳しい。

『あなたたちはもう立派に率いているじゃない』
『私は向いておりませんから』
『まあまあ、それで、相談なのだけど……』

 エリザベータも肝心の相談を話さなくてはならないと、切り出すことにした。

『はい、私にできることでしたら』
『この、セレニティをこちらに留学させてもらえないかと思って』

 セレニティは居心地悪そうに、お茶を飲んでおり、自分の話なのにソアリスの方も、エリザベータの方も見ない。

『留学ですか、14歳ですわよね?』
『ええ、高等部まで一年弱』
『失礼ですが、痩せているのは体質ですの?』

 ドレスはブカブカなどではないのだが、あまりに痩せており、気になっていた。だが、病気であればおそらく連れては来ないだろう。そうだとすると、体質か事情があるのだろうと答えを出していた。

『いいえ、この子の親は息子の側妃の子どもなのだけど、側妃は亡くなっていて、息子は……はあ、子どもにも興味がなくて』

 エリザベータは、息子のことであるために、こめかみを軽く押さえた。

『嫌がらせなどでしょうか』
『ええ、満足に食事が摂れていなくて、教育もなの』

 ぎこちないカーテシーを見れば、ソアリスもおかしいと感じていた。それでもあまりにぎこちないために、健康状態の方を心配したほどであった。

『本来は王太子妃の仕事なのだけど、手が回らないと言い訳していたけど、実際は側妃の子どもだから無視していたのだと思うわ。かと言って、私がこの子だけを優遇するとまた面倒なの』
『反感を買いそうですわよね』

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