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授業を終えたセレニティは、授業の先生に練習場の場所を聞いて、少しドキドキしながらやって来た。
それもそのはず、アロワ王国では騎士を見ることですら、ほとんどなく、当然だが練習場にも行ったこともなかった。
「セレニティ様」
「ア、アリル様、いらしていたのですね」
そろりそろりと入って来た様子に気付いたアリルが声を掛け、セレニティも見知った顔にホッとした。
「ええ、息子とお邪魔しておりますの」
「そうだったのですか、私はケイト様に誘われて来てしまいました」
「まあ、そうでしたの。セレニティ様、背が伸びましたね」
「はい、皆にそうおっしゃっていただいています」
セレニティは栄養がたっぷり足り始めて、どんどん成長しており、ソアリスは背が高い方ではないが、既にソアリスよりも背が高くなっていた。
ソアリスもご飯って大事ねと改めて思った。
「お母様とケイトはそこよ、オルファーとお義父様もいるわ」
「バーセム公爵ですね」
「まあ、ご存知なのね。お母様かしら?」
「とても格好いいけど、妻子がおりますからねと言われております」
「お義母様が聞いたら、何を言っているのだと言いそうだわ……でも、素敵な方なのは事実だと思うわ」
正直、ソアリスの教育の賜物かもしれないが、アリルもミオトのことは格好いいと思っている。
「お強いと伺っています」
「ええ、引退をずっと止められているそうですから……」
ミオトも次代に渡した方がいいだろうと思うことは何度もあった、縋りついて止められたこともあるが、アンセムとソアリスが退位される際に、引退した方がいいと考えるようにもなっていった。
リズからもソアリスを支えてあげて欲しいと言われており、ルーファが家のことはしてくれているために、バーセム公爵家の総意とも言える。
「ああ、戻って来たわ」
外周から戻って来て、今度はようやく模擬剣を握り、ソアリスとケイトとオルファーは素振りを始めた。その様子をミオトが頷きながら、見守っている。
「お母様、絶対、今日はいい日だと言うわね……」
ソアリスは真面目な顔で剣を振っているが、ミオトとオルファーがいることに、きっと最高だと思っているだろう。
「ソアリス様もですが、ケイト様とオルファー様も素晴らしいですね」
「普通だとは思わないでね」
「そ、そうなのですか」
セレニティは初めて見る光景であったために、普通なのだと思っていた。
「そうよ?お母様はまあ、想定内だと思うけど、ケイトはずっと続けていますからね。オルファーは、お義父様の血のおかげで筋がいいの」
「まあ、そうなのですね」
「カイルスが羨ましがっているわ」
オルファーは顔立ちもだが、身体つきもミオトに似ており、どっしりしている。ゆえにソアリスはひょいと抱えたが、アリルはギリギリ、リズはもうできない。
カイルスはオルファーの成長を見る度に、羨ましいと言っている。
「だったら、私も才能があったりするのでしょうか」
「確かに、お父様はとてもお強いと聞いております」
セレニティの父・ジュリアンは豪傑と呼ばれており、ミオトとどちらがとは言えないが、どちらも強いだろう。
だが、アリルはミオトの息子であるルーファは全く才能がなく、孫であるオルファーは才能があるために、あるかもしれないとは言えなかった。
「はい」
「興味がありますの?」
「勉強も大切だとは思っておりますが、私は体を動かす方が嬉しい気持ちになります。私も素振りをしてみたいです……」
実はセレニティは三人の様子を見ながら、自分もやってみたいという気持ちが湧き上がっていた。
「まあ、お母様と同じね」
「はい……」
ソアリスは明らかに椅子に座っているより、体を動かしている方が生き生きしている。セレニティは照れくさそうにしながら、頷いた。
それもそのはず、アロワ王国では騎士を見ることですら、ほとんどなく、当然だが練習場にも行ったこともなかった。
「セレニティ様」
「ア、アリル様、いらしていたのですね」
そろりそろりと入って来た様子に気付いたアリルが声を掛け、セレニティも見知った顔にホッとした。
「ええ、息子とお邪魔しておりますの」
「そうだったのですか、私はケイト様に誘われて来てしまいました」
「まあ、そうでしたの。セレニティ様、背が伸びましたね」
「はい、皆にそうおっしゃっていただいています」
セレニティは栄養がたっぷり足り始めて、どんどん成長しており、ソアリスは背が高い方ではないが、既にソアリスよりも背が高くなっていた。
ソアリスもご飯って大事ねと改めて思った。
「お母様とケイトはそこよ、オルファーとお義父様もいるわ」
「バーセム公爵ですね」
「まあ、ご存知なのね。お母様かしら?」
「とても格好いいけど、妻子がおりますからねと言われております」
「お義母様が聞いたら、何を言っているのだと言いそうだわ……でも、素敵な方なのは事実だと思うわ」
正直、ソアリスの教育の賜物かもしれないが、アリルもミオトのことは格好いいと思っている。
「お強いと伺っています」
「ええ、引退をずっと止められているそうですから……」
ミオトも次代に渡した方がいいだろうと思うことは何度もあった、縋りついて止められたこともあるが、アンセムとソアリスが退位される際に、引退した方がいいと考えるようにもなっていった。
リズからもソアリスを支えてあげて欲しいと言われており、ルーファが家のことはしてくれているために、バーセム公爵家の総意とも言える。
「ああ、戻って来たわ」
外周から戻って来て、今度はようやく模擬剣を握り、ソアリスとケイトとオルファーは素振りを始めた。その様子をミオトが頷きながら、見守っている。
「お母様、絶対、今日はいい日だと言うわね……」
ソアリスは真面目な顔で剣を振っているが、ミオトとオルファーがいることに、きっと最高だと思っているだろう。
「ソアリス様もですが、ケイト様とオルファー様も素晴らしいですね」
「普通だとは思わないでね」
「そ、そうなのですか」
セレニティは初めて見る光景であったために、普通なのだと思っていた。
「そうよ?お母様はまあ、想定内だと思うけど、ケイトはずっと続けていますからね。オルファーは、お義父様の血のおかげで筋がいいの」
「まあ、そうなのですね」
「カイルスが羨ましがっているわ」
オルファーは顔立ちもだが、身体つきもミオトに似ており、どっしりしている。ゆえにソアリスはひょいと抱えたが、アリルはギリギリ、リズはもうできない。
カイルスはオルファーの成長を見る度に、羨ましいと言っている。
「だったら、私も才能があったりするのでしょうか」
「確かに、お父様はとてもお強いと聞いております」
セレニティの父・ジュリアンは豪傑と呼ばれており、ミオトとどちらがとは言えないが、どちらも強いだろう。
だが、アリルはミオトの息子であるルーファは全く才能がなく、孫であるオルファーは才能があるために、あるかもしれないとは言えなかった。
「はい」
「興味がありますの?」
「勉強も大切だとは思っておりますが、私は体を動かす方が嬉しい気持ちになります。私も素振りをしてみたいです……」
実はセレニティは三人の様子を見ながら、自分もやってみたいという気持ちが湧き上がっていた。
「まあ、お母様と同じね」
「はい……」
ソアリスは明らかに椅子に座っているより、体を動かしている方が生き生きしている。セレニティは照れくさそうにしながら、頷いた。
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