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訓練
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ケイトも午前中の授業は遅めであったために、行くことは可能だったが、ソアリスはケイトを行きましょうと連れて行ってくれることはまずない。
それでも結局、二人で行くことになった。
護衛も当然付いて行くことになり、二人の背中を見ていた。
「歩き方も同じですね」
「そうですね」
ソアリスの背筋を伸ばした、美しい歩き方が、ケイトが成長したことによって、そっくりになっていた。
「ソアリス様を超えないとならないそうですから」
「まあ、それはなかなか高い壁を越えなくてはなりませんね」
練習場に向かっていたが、そこへ丁度、セレニティが王宮にやって来たところであった。
「おはようございます」
「おはようございます」
親子とはいえ、同じ表情で挨拶をすることにも、セレニティも慣れた。
「おはようございます」
「授業?」
「はい、皆様はどちらへ?」
「騎士団の練習場に行くの」
「見学ですか?」
「いいえ、素振りに行くの」
「え?そうなのですか……」
ソアリスが走り込みやブランコ、木登りをしている姿を見ていたために、やってもおかしくはないのだが、そこまでしていたのかと驚いた。
「セレニティさま、じゅぎょうがおわったら、けんがくにきてもいいですよ」
「何様なのよ、そんなこと言ったら、来ないといけないって思うでしょう?」
「い、いえ!行かせてください、見てみたいです」
「打ち合いとかはしませんよ?」
ソアリスもさすがに騎士団の訓練に参加するようなことはなく、王妃である立場から打ち合いをしてはならないこともちゃんと理解している。
ゆえに準備運動や素振りをしている姿は、酷く地味でしかない。
「はい」
「じゃあ、時間があれば来るといいわ」
ケイトは私が誘ったのにと言っていたが、授業までなのだから早くしないと出来なくなってしまうと脅して、練習場に急いだ。
「バーセム公爵」
練習場に着くとミオト・バーセムもおり、ソアリスは誰よりも早く声を掛けた。
「おはようございます、お待ちしておりました」
「そうなの?」
「はい、いらっしゃると聞いておりましたので」
今日の午前中は、侍女たちが資料などを整理するために、ソアリスはお休みになったのである。そのため、急遽のお休みではなかったために、ミオトも把握していた。
「ケイト殿下も来ると思っておりましたよ」
「おはようございます、よろしくおねがいいたします」
そこへソアリスに似た顔が、近付いて来ていた。
「お母様」
「まあ、アリルまで!それよりも、オルファー!」
アリルがオルファーを連れてきており、ソアリスはひょいと5歳になったオルファーを抱えて、くるくると回った。
「おばあさま」
「おはようございます、訓練に来たの?」
「はい」
「まあまあ!お祖母様も一緒にいいかしら?」
「はい、そうおもってまっておりました」
「まあ、嬉しいわ」
ソアリスはやる気満々だったが、オルファーのおかげでさらにやる気が漲った。
「おばうえも、よろしくおねがいいたします」
「ええ、もちろんよ」
一歳しか変わらない叔母と甥であるのだが、ケイトの堂々とした出で立ちと、5歳らしからぬ凛々しい顔立ちのオルファーのおかげで、何だかおかしな空間が出来上がるのである。
それからソアリスとケイト、ミオトとオルファーは準備運動、外周を走ったり、母と娘、祖父と孫ではあるのだが、そんなことよりも異常な体力を持つ者しかいないために異常な光景である。
だが、ここは騎士団員と護衛しかいないために、もっと腕を振るといいなどと、当たり前のように見つめている。
「お義父様もだけど、お母様は凄いわね」
ひとり、こぼしたのはアリルだった。
今日、ミオトからソアリスが来ると聞き、オルファーと一緒に行ってきたらとリズに言われてやって来たのである。
それでも結局、二人で行くことになった。
護衛も当然付いて行くことになり、二人の背中を見ていた。
「歩き方も同じですね」
「そうですね」
ソアリスの背筋を伸ばした、美しい歩き方が、ケイトが成長したことによって、そっくりになっていた。
「ソアリス様を超えないとならないそうですから」
「まあ、それはなかなか高い壁を越えなくてはなりませんね」
練習場に向かっていたが、そこへ丁度、セレニティが王宮にやって来たところであった。
「おはようございます」
「おはようございます」
親子とはいえ、同じ表情で挨拶をすることにも、セレニティも慣れた。
「おはようございます」
「授業?」
「はい、皆様はどちらへ?」
「騎士団の練習場に行くの」
「見学ですか?」
「いいえ、素振りに行くの」
「え?そうなのですか……」
ソアリスが走り込みやブランコ、木登りをしている姿を見ていたために、やってもおかしくはないのだが、そこまでしていたのかと驚いた。
「セレニティさま、じゅぎょうがおわったら、けんがくにきてもいいですよ」
「何様なのよ、そんなこと言ったら、来ないといけないって思うでしょう?」
「い、いえ!行かせてください、見てみたいです」
「打ち合いとかはしませんよ?」
ソアリスもさすがに騎士団の訓練に参加するようなことはなく、王妃である立場から打ち合いをしてはならないこともちゃんと理解している。
ゆえに準備運動や素振りをしている姿は、酷く地味でしかない。
「はい」
「じゃあ、時間があれば来るといいわ」
ケイトは私が誘ったのにと言っていたが、授業までなのだから早くしないと出来なくなってしまうと脅して、練習場に急いだ。
「バーセム公爵」
練習場に着くとミオト・バーセムもおり、ソアリスは誰よりも早く声を掛けた。
「おはようございます、お待ちしておりました」
「そうなの?」
「はい、いらっしゃると聞いておりましたので」
今日の午前中は、侍女たちが資料などを整理するために、ソアリスはお休みになったのである。そのため、急遽のお休みではなかったために、ミオトも把握していた。
「ケイト殿下も来ると思っておりましたよ」
「おはようございます、よろしくおねがいいたします」
そこへソアリスに似た顔が、近付いて来ていた。
「お母様」
「まあ、アリルまで!それよりも、オルファー!」
アリルがオルファーを連れてきており、ソアリスはひょいと5歳になったオルファーを抱えて、くるくると回った。
「おばあさま」
「おはようございます、訓練に来たの?」
「はい」
「まあまあ!お祖母様も一緒にいいかしら?」
「はい、そうおもってまっておりました」
「まあ、嬉しいわ」
ソアリスはやる気満々だったが、オルファーのおかげでさらにやる気が漲った。
「おばうえも、よろしくおねがいいたします」
「ええ、もちろんよ」
一歳しか変わらない叔母と甥であるのだが、ケイトの堂々とした出で立ちと、5歳らしからぬ凛々しい顔立ちのオルファーのおかげで、何だかおかしな空間が出来上がるのである。
それからソアリスとケイト、ミオトとオルファーは準備運動、外周を走ったり、母と娘、祖父と孫ではあるのだが、そんなことよりも異常な体力を持つ者しかいないために異常な光景である。
だが、ここは騎士団員と護衛しかいないために、もっと腕を振るといいなどと、当たり前のように見つめている。
「お義父様もだけど、お母様は凄いわね」
ひとり、こぼしたのはアリルだった。
今日、ミオトからソアリスが来ると聞き、オルファーと一緒に行ってきたらとリズに言われてやって来たのである。
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