753 / 862
見学2
「私の一存では何ともできないのだけど、お母様に相談するといいと思うのだけど」
「ア?アリル?来ていたのか?」
「え?」
やって来たのは、今度はアンセムとオーランとクイオであった。
「お父様!」
「セレニティにも来ていたのか」
驚くアリルの横を見れば、セレニティもおり、二人で見学していたかと微笑ましく思った。
「はい、ケイト様にお誘いいただきました」
「ケイトに、そうかそうか」
それで、その当人はと目をやると、ソアリス、ケイト、オルファー、ミオト四人の姿が目に映った。
「オルファーも来ていたのか、やはり筋がいいな」
だから、アリルがいたのだと、アンセムも理解し、自分もオルファーの祖父なのだが、ミオトの場所を代わって欲しいとは口が裂けても言えない。
娘と孫息子と、当然のようにいる、いやメインでもある母で祖母であるソアリスも相変わらず、一本一本素振りを行っている。
「ええ、お義母様が行って来たらと言ってくれて」
「ソアリスのご褒美だな」
「ええ、今日は機嫌がいいですよ!絶対に」
「そうだな、何か頼み事はなかったかな。今日がチャンスだな」
オーランとクイオも何かあったかと、頭を巡らせていたが、そうだとアリルがアンセムに声を掛けた。
「お父様、セレニティ様も素振りをしてみたいそうです」
「おお、そうか。素振りならやってみたらいい」
セレニティは希望を言えるようにはなっていたが、それでも可能な限り、やってみたいという気持ちを尊重したい思いであった。
「だが、急に行うのは難しいか、ソアリスに聞いた方がいいな」
「やはり、お母様ですわよね」
しばらく皆で見ていると、三人は素振りを一旦終えて、休み始めたために、アンセムが声を掛けた。
「ソアリス!」
「まあ、陛下!」
ソアリスはあれだけ素振りをしたのに、見学席にオルファーをひょいを抱えて向かった。
「オルファー、弱い方のじいさまですよ」
「言い方!」
紛れもない事実ではあるが、それにしても言い方がある。
「地位の高い方のじいさまですよ」
「それも、言い方!」
またも事実ではあるが、それはそれで嫌味でしかない。
「りんごを片手で潰せず、果汁を出しただけのじいさまですよ」
「うるさい」
オルファーはその様子をソアリスとアンセムと交互に見ながら、興味津々で聞いていた。
「ふふふ、おじいさま、こんにちは」
「ああ、こんにちは」
「まあ、オルファー優しいわね」
「オルファーに変なことを吹き込むな」
「おじいさまとおばあさまは、おもしろいです」
ふふふと笑うオルファーは、子どもらしいはずなのだが、その表情は渋さを感じられる。
「面白くないのよ、事実なの」
「ふふふ」
イチャイチャするソアリスとオルファーに、アンセムは呼んだ理由を忘れそうになっていた。
「セレニティも素振りをしたいそうだ」
「まあ」
「急に模擬剣は難しいだろうか」
「いえ、持つことはできると思いますけど、今日は服装が無理ね。授業の合間に都合を付けましょう」
「ありがとうございます!」
セレニティは立ち上がって、ソアリスに向かって頭を下げた。
ソアリスは微笑んでいたが、アンセムに口元を隠して、小声で伝えた。
「陛下、これで私の公務を少し減らしていただけますわよね?」
「っあ、それが狙いか」
機嫌の良さから何か頼もうと思っていたはずのアンセムは、逆に頼まれることになってしまっていた。
「ふふふ」
ソアリスはオルファーを真似るように笑って、戻っていった。ケイトはミオトと嬉しそうに話をしており、アンセムの元へも来なかった。
「セレニティ様、良かったですわね」
「はい!頑張ります」
セレニティは顔は母に似ていると言われていたが、背が伸びて、母は小柄だったと思い、もしかしたら父にもどこか似ているところがあるかもしれない。
やってみたいという気持ちが、もしかしたらこれかもしれないと感じていた。
「ア?アリル?来ていたのか?」
「え?」
やって来たのは、今度はアンセムとオーランとクイオであった。
「お父様!」
「セレニティにも来ていたのか」
驚くアリルの横を見れば、セレニティもおり、二人で見学していたかと微笑ましく思った。
「はい、ケイト様にお誘いいただきました」
「ケイトに、そうかそうか」
それで、その当人はと目をやると、ソアリス、ケイト、オルファー、ミオト四人の姿が目に映った。
「オルファーも来ていたのか、やはり筋がいいな」
だから、アリルがいたのだと、アンセムも理解し、自分もオルファーの祖父なのだが、ミオトの場所を代わって欲しいとは口が裂けても言えない。
娘と孫息子と、当然のようにいる、いやメインでもある母で祖母であるソアリスも相変わらず、一本一本素振りを行っている。
「ええ、お義母様が行って来たらと言ってくれて」
「ソアリスのご褒美だな」
「ええ、今日は機嫌がいいですよ!絶対に」
「そうだな、何か頼み事はなかったかな。今日がチャンスだな」
オーランとクイオも何かあったかと、頭を巡らせていたが、そうだとアリルがアンセムに声を掛けた。
「お父様、セレニティ様も素振りをしてみたいそうです」
「おお、そうか。素振りならやってみたらいい」
セレニティは希望を言えるようにはなっていたが、それでも可能な限り、やってみたいという気持ちを尊重したい思いであった。
「だが、急に行うのは難しいか、ソアリスに聞いた方がいいな」
「やはり、お母様ですわよね」
しばらく皆で見ていると、三人は素振りを一旦終えて、休み始めたために、アンセムが声を掛けた。
「ソアリス!」
「まあ、陛下!」
ソアリスはあれだけ素振りをしたのに、見学席にオルファーをひょいを抱えて向かった。
「オルファー、弱い方のじいさまですよ」
「言い方!」
紛れもない事実ではあるが、それにしても言い方がある。
「地位の高い方のじいさまですよ」
「それも、言い方!」
またも事実ではあるが、それはそれで嫌味でしかない。
「りんごを片手で潰せず、果汁を出しただけのじいさまですよ」
「うるさい」
オルファーはその様子をソアリスとアンセムと交互に見ながら、興味津々で聞いていた。
「ふふふ、おじいさま、こんにちは」
「ああ、こんにちは」
「まあ、オルファー優しいわね」
「オルファーに変なことを吹き込むな」
「おじいさまとおばあさまは、おもしろいです」
ふふふと笑うオルファーは、子どもらしいはずなのだが、その表情は渋さを感じられる。
「面白くないのよ、事実なの」
「ふふふ」
イチャイチャするソアリスとオルファーに、アンセムは呼んだ理由を忘れそうになっていた。
「セレニティも素振りをしたいそうだ」
「まあ」
「急に模擬剣は難しいだろうか」
「いえ、持つことはできると思いますけど、今日は服装が無理ね。授業の合間に都合を付けましょう」
「ありがとうございます!」
セレニティは立ち上がって、ソアリスに向かって頭を下げた。
ソアリスは微笑んでいたが、アンセムに口元を隠して、小声で伝えた。
「陛下、これで私の公務を少し減らしていただけますわよね?」
「っあ、それが狙いか」
機嫌の良さから何か頼もうと思っていたはずのアンセムは、逆に頼まれることになってしまっていた。
「ふふふ」
ソアリスはオルファーを真似るように笑って、戻っていった。ケイトはミオトと嬉しそうに話をしており、アンセムの元へも来なかった。
「セレニティ様、良かったですわね」
「はい!頑張ります」
セレニティは顔は母に似ていると言われていたが、背が伸びて、母は小柄だったと思い、もしかしたら父にもどこか似ているところがあるかもしれない。
やってみたいという気持ちが、もしかしたらこれかもしれないと感じていた。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
旦那様、彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵夫人フルールは、夫である伯爵と愛人の秘書に長年頭を悩ませていた。
何度夫に苦言を呈しても「彼女は仕事において必要不可欠なパートナーだから」と一切聞く耳を持たない。
困り果てていたそのとき、彼女は突然前世の記憶を取り戻した。
このままだと夫と愛人の真実の愛の犠牲になってしまう。
それだけは御免だ。
結婚五年目にして、彼女はようやく夫を見限り、新たな事業を立ち上げた。
そして事業を成功させたフルールの隣には、いつも同じ男が立っていた。
その男は誰なのかと問い詰める夫に、フルールはニッコリ笑って言った。
「彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです」と。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
公爵家の次女ですが、静かに学園生活を送るつもりでした
佐伯かなた
恋愛
王国でも屈指の名門、公爵アルヴィス家。
その家には、誰もが称賛する完璧な令嬢がいた。
長女ソフィア。
美貌、知性、礼儀、すべてを備えた理想の公爵令嬢。
そして──もう一人。
妹、レーネ・アルヴィス。
社交界ではほとんど名前も出ない、影の薄い次女。
姉ほど目立つわけでもなく、社交の中心にいるわけでもない。
だが彼女は知っている。
貴族社会では、
誰が本当に優れているのかは、静かな場面でこそ分かるということを。
王立学園に入学したレーネは、
礼儀作法、社交、そして人間関係の中で、静かに周囲を観察していく。
やがて──
軽んじていた者たちは気づく。
「公爵家の妹」が、本当はどんな令嬢だったのかを。
これは、
静かな公爵令嬢が学園と貴族社会で評価を覆していく物語。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。