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談話
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カイルス幼いために早々に寝てしまうが、五人の子どもたちは同じ部屋によく集まって話をしていた。
「アリルはいい相手と婚約したよな」
「どういう意味?」
「母上の友人の子どもだぞ?間違いなく、母上の本性を分かっているだろう?理解して貰う必要がないじゃないか」
「確かにそうね、いつもお母様の話で盛り上がっているわ」
「羨ましい…」
ユリウスとマイノスは、じーっとアリルを見つめている。
「お母様、気に入らなかったらいびるのかしら?」
「いや、悪い口が酷くなるだけだろう?変な相手を連れてきたら、とんでもない罵詈雑言を聞く羽目になるぞ」
「テストにもなるかもしれない。お相手を連れて来て、お母様に会わせて、部屋に聞きに行くのよ」
「エクル、賢いわねって、…好きな相手だったら聞くの怖いわよ」
「そうだったわね…」
「私も聞きたくない」
ミフルも美しい顔を珍妙な表情に歪ませて、賛同した。
「父上は娘たちには渋い顔をするだけだが、母上は容赦ないぞ」
「使える物は何でも使うから、情報網も抜かりないだろうな」
「カイルスが大きくなって、お母様のような人と結婚したいと言い出したら、いないわよ?いたらいたで困るけど」
「絶対言うだろうな。だが、母上と結婚するって言い出すのが先だろう」
「ああ…もう言い出すんじゃないか?」
「あの可愛さに負けてしまうけど、愛が激重いのよ」
皆、ミフルですらカイルスは手放しで可愛い。ソアリスにお父さんとお母さんよと言われた影響なのか、我が子の様に守り、愛している。
「この前、お母様、カイルスを背中に乗せて、腕立て伏せをしていたわ」
言い出したのはエクルである。
「何しているのって言ったら、カイルスが最近重くなったから、元凶を乗せて腕を鍛えているのだと…私もやってみたけど、ちょっと無理だったわ」
「私も」
「ミフルもやったのか?」
「うん!」
「それは肩車くらい平気でするわよね」
「ああ…顔合わせでしたんだろう?」
あのカオスなルーファを肩車からの、カイルスを肩車である。
「ええ、ひょいって乗せていたわ。カイルスが可愛かったけど」
「私は改めてお母様は凄いと思ったわ、だから私も結婚する方は、お母様と仲良くできる方が良いわ」
「私も!」
「それだよな」「いるかな?」
母親を受け入れてくれる人、母親に嫌われない人がいい。
そんな話をしていた数日後、事件が起こる。
ソアリスが素振りを終えて、次は走ろうとしていた時だった。門で揉めている声がして、護衛の一人が確認に向かった。
「何だった?」
「ユリウス殿下に会いに来たと言うのですが、そんな約束は聞いていないので、追い返そうとしているのですが、伝え忘れているのだとか何とか…」
ユリウスは16歳になり、学園に通っている。
「何者?」
「ビリジュ伯爵家の令嬢だそうですが…おそらく連れ子の姉の方だと思います」
「ああ、再婚した」
ビリジュ伯爵は半年前に、子どものいる未亡人と再婚した。前妻とは死別し、娘が一人いるが、連れ子の娘が二人いる。
「ソアリス様の絶対に嫌いな質だと思います」
「へえ…」
護衛は関わらなくていいという意味だったが、ソアリスは悪い顔をしていた。
「行ってみましょう、連れ子の様子で伯爵家の様子も分かるかもしれないわ」
「それは、そうですが…イラっとしますよ、絶対」
「後で走るから大丈夫よ」
絶対大丈夫じゃないと思いながらも、皆でついて行くこととなった。
「どうしたの?」
「王妃陛下っ!!」
門番は声を掛けられたことに驚いたが、すぐさま敬礼をした。
「えっ、王妃様?あっ、あの私、パール・ビリジュと言います。ユリウス様と親しくさせて貰っていてぇ~」
ソアリスではなくとも、一言目で嫌われたことが分かった。
「アリルはいい相手と婚約したよな」
「どういう意味?」
「母上の友人の子どもだぞ?間違いなく、母上の本性を分かっているだろう?理解して貰う必要がないじゃないか」
「確かにそうね、いつもお母様の話で盛り上がっているわ」
「羨ましい…」
ユリウスとマイノスは、じーっとアリルを見つめている。
「お母様、気に入らなかったらいびるのかしら?」
「いや、悪い口が酷くなるだけだろう?変な相手を連れてきたら、とんでもない罵詈雑言を聞く羽目になるぞ」
「テストにもなるかもしれない。お相手を連れて来て、お母様に会わせて、部屋に聞きに行くのよ」
「エクル、賢いわねって、…好きな相手だったら聞くの怖いわよ」
「そうだったわね…」
「私も聞きたくない」
ミフルも美しい顔を珍妙な表情に歪ませて、賛同した。
「父上は娘たちには渋い顔をするだけだが、母上は容赦ないぞ」
「使える物は何でも使うから、情報網も抜かりないだろうな」
「カイルスが大きくなって、お母様のような人と結婚したいと言い出したら、いないわよ?いたらいたで困るけど」
「絶対言うだろうな。だが、母上と結婚するって言い出すのが先だろう」
「ああ…もう言い出すんじゃないか?」
「あの可愛さに負けてしまうけど、愛が激重いのよ」
皆、ミフルですらカイルスは手放しで可愛い。ソアリスにお父さんとお母さんよと言われた影響なのか、我が子の様に守り、愛している。
「この前、お母様、カイルスを背中に乗せて、腕立て伏せをしていたわ」
言い出したのはエクルである。
「何しているのって言ったら、カイルスが最近重くなったから、元凶を乗せて腕を鍛えているのだと…私もやってみたけど、ちょっと無理だったわ」
「私も」
「ミフルもやったのか?」
「うん!」
「それは肩車くらい平気でするわよね」
「ああ…顔合わせでしたんだろう?」
あのカオスなルーファを肩車からの、カイルスを肩車である。
「ええ、ひょいって乗せていたわ。カイルスが可愛かったけど」
「私は改めてお母様は凄いと思ったわ、だから私も結婚する方は、お母様と仲良くできる方が良いわ」
「私も!」
「それだよな」「いるかな?」
母親を受け入れてくれる人、母親に嫌われない人がいい。
そんな話をしていた数日後、事件が起こる。
ソアリスが素振りを終えて、次は走ろうとしていた時だった。門で揉めている声がして、護衛の一人が確認に向かった。
「何だった?」
「ユリウス殿下に会いに来たと言うのですが、そんな約束は聞いていないので、追い返そうとしているのですが、伝え忘れているのだとか何とか…」
ユリウスは16歳になり、学園に通っている。
「何者?」
「ビリジュ伯爵家の令嬢だそうですが…おそらく連れ子の姉の方だと思います」
「ああ、再婚した」
ビリジュ伯爵は半年前に、子どものいる未亡人と再婚した。前妻とは死別し、娘が一人いるが、連れ子の娘が二人いる。
「ソアリス様の絶対に嫌いな質だと思います」
「へえ…」
護衛は関わらなくていいという意味だったが、ソアリスは悪い顔をしていた。
「行ってみましょう、連れ子の様子で伯爵家の様子も分かるかもしれないわ」
「それは、そうですが…イラっとしますよ、絶対」
「後で走るから大丈夫よ」
絶対大丈夫じゃないと思いながらも、皆でついて行くこととなった。
「どうしたの?」
「王妃陛下っ!!」
門番は声を掛けられたことに驚いたが、すぐさま敬礼をした。
「えっ、王妃様?あっ、あの私、パール・ビリジュと言います。ユリウス様と親しくさせて貰っていてぇ~」
ソアリスではなくとも、一言目で嫌われたことが分かった。
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