私のバラ色ではない人生

野村にれ

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不愉快

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「ですが、伯爵家に介入する隙が出来て、感謝しているわ」
「再婚でしたね」
「そう、なかなか介入できませんからね。コンクレット侯爵夫妻が、確認してくれることになりましたわ」

 ソアリスは年齢性別問わず、虐待、暴力、放置の抑止に力を入れている。

 実母への当てつけでもあり、ロアンスラー公爵夫妻がソアリスに近付いて来た際は、私も事実を話してしまおうかしらと言い、遠ざけて来た。

 再婚でよく起こり得ることから、ビリジュ伯爵家も気になっていた。だが、再婚したからという理由だけで、虐待などが行われていないかなどと、王家が簡単に確認が出来るわけではない。

 貴族でも平民でも逃げられる場所を用意し、逃げたものを守れる力も与えているが、不正も行われたこともあった。

 あの日のソアリスの悪い口は酷かった。「大事な頭部を更地にしてやろうか」「大事なところをちょん切ってやろうか」はまだいい方で、「いっそ消し炭にしてやろうか」「馬として車を引かせるか」とまで言っていた。

「上手くいっていないのですか?」
「分かりません」
「え?」
「家の中まで分かるもんですか!」
「はい、その通りです」
「あの娘はキレイなドレスを着ており、そんな様子もなさそうでしたので、可能性は先妻の娘です。先の茶会で、母親の世代が着そうなドレスを、14歳の子が着ていたそうですから…」

 身なりや身体の傷など、些細な情報も、上がって来るようにしている。

「なるほど…敢えてだったのか、着る物がなかったのか、嫌がらせとも」

 ユリウスはそういった面で役に立てたのならば、良かったのかと考えていたら、ソアリスの様子が一変した。

「まあそれはそれで、あの阿呆阿呆娘は何ですか!」
「阿呆阿呆娘…」
「パールという名だそうだから、あっぱらパールの方がいいか?」
「あっぱらパール…」

 呼び名だけで酷い有様である。

「阿呆阿保娘、あっぱらパールのユリウス様に突撃の巻~って、ふざけんなよ!忙しい門番たちを困らせやがって!」
「はい」
「王宮に乗り込んでくるなど、気が狂っておるのか?そもそも好意があると思って、家まで押し掛けるのが、気色悪い!私のことが好きだから~あなたも好きでしょう~だから家まで来ちゃいましたって、誰も呼んでねえ!」
「…はい」
「しかもあの乳房丸出しのドレスは何だ?一旦帰って、着替えて来たのか?わざわざ乳房を丸出しするために?」

 パールは乳房が半分丸出しになるような、露出度の高いドレスであった。学園に行っていたのならば、制服であるはずが、ドレス姿であった。

「ドレス…着替えたのか?」
「あれは貴族の令嬢に売るもんじゃないだろう?娼婦の方々の特権だよ!どうやって買ったんだ?」
「さ、あ?」

 ユリウスは見ていないので分からないが、どのようなドレスかは分かる。貴族令嬢に勧めるようなドレスではないことは確かだろう。

「乳房丸出しのドレスをアリル、エクル、ミフルが着ていたらどう思う?」
「止めます」
「それでも着たいと言ったら?」
「止めます」
「そうだろう?普通は止めるよな?」
「はい」

 無理矢理に着せられたのでなければ、誰も止めなかったのか?しかも新しく買ったのであれば、伯爵家に入ってわざわざ買ったことになる。

「しかも、香水か何だか知らないけど、くっせえくっせえ。メディナが引っ張って行ったから、メディナまでくっせえ。おかげで執務室までくっせぇ。今、換気中だ」

 窓を全開にして、メイドが匂い消しに奮闘している。

「もしかして、風呂に入れて貰えないのか!とは思ったわね」
「…はい」

 アンセムも話を聞いて、駆け付けたのだが、私室から漏れるソアリスの「くっせぇ」という悪い口と、ユリウスはほぼ「はい」という声しか聞こえない。

 意を決して入るとソアリスの表情は、完全にしかめっ面である。
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